2018年12月12日

2018.12.11 国立劇場十二月歌舞伎公演

2018.12.11 国立劇場十二月歌舞伎公演

演目
通し狂言「増補双級巴ー石川五右衛門ー」
       四幕九場   三世瀬川如皐=作
 発 端     芥川の場
 序 幕     壬生村次左衛門内の場
          浄瑠璃=竹本葵太夫、三味線=鶴澤寿治郎
  (休  憩)
 二幕目 第一場 大手並木松原の場
     第二場 松並木行列の場
 三幕目 第一場 志賀都足利別館奥御殿の場
          浄瑠璃=竹本道太夫、三味線=豊澤勝二郎
     第二場    同   奥庭の場
     第三場 木屋町二階の場
          大薩摩=鳥羽屋里長事 大薩摩文清太夫林雀
          三味線=稀音家新之助
  (休  憩)
 大 詰 第一場 五右衛門隠家の場
          浄瑠璃=竹本樹太夫、竹本葵太夫
          三味線=鶴澤祐二、鶴澤寿治郎
     第二場 藤の森明神捕物の場
          浄瑠璃=竹本樹太夫、三味線=鶴澤祐二
  (配役)石川五右衛門=中村吉右衛門、次左衛門=中村歌六、
      此下藤吉郎久吉=尾上菊之助、足利義輝=中村錦之助、
      傾城芙蓉・五右衛門女房おたき=中村芝雀  外

「増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)」は、三世瀬川如皐が、
先行の“五右衛門物”をいくつかつなぎ合わせるようなかたち
で創作した作品だそうで、嘉永4(1851)年、江戸中村座初
演。ただしこの外題が用いられたのは、10年後の再演(文久
元年、江戸守田座)時からとのこと。

この「つなぎ合わせ」の結果、ということなのか、発端から
三幕二場までと、それ以降がまったく別物のような印象。

時代物的雰囲気と、世話物の要素、両方を楽しめる、一粒で
二度美味しい演目と言えるかもしれない。

前段で、五右衛門の生い立ちが明らかになるのには少々びっ
くり。実は西国の大名のご落胤とか、子どものころから手癖
が悪く、奉公先から金を盗んで蓄電したとか・・なんか、先
月の天一坊や、落語「双蝶々」の長吉を思い出す。

父と兄の確執の犠牲になるように命を落とす、妹の小冬が哀
れだ・・演じる中村米吉丈の、なんと可憐なことか。

自らの出自を知った五右衛門は、天下取りを目指す。手はじ
めに天皇家から足利義輝への勅状を奪い、ご勅使に化ける。
その偽勅使の行列が、久吉の一行とすれ違う・・まんまと、
久吉をだまし果せたと、声を出さずに笑う五右衛門・・吉右
衛門丈の“大きさ”を感じる。

このふたりが、義輝の別宅で対決・・と、実はふたりはかつ
てのワル仲間だったことが分かり・・・

でもね、これが実は全部、夢!・・・えー、うっそぉ!

隠れ家の二階で昼寝から目覚めた五右衛門と、下を通りかか
る久吉。この場面は、“五右衛門物”の白眉「金門(楼門)五
三桐」のパロディだ。

豪華な南禅寺山門とは全く異なる、質素なしもたやというそ
の対照が、奇妙に可笑しい。

大詰は、なんと、五右衛門の家庭生活が描かれる。先妻が生
んだ子である五郎市を、五右衛門の後妻、おたきがいじめ抜
く。この場面は、最近よく聞くニュースを思い出し、正直、
見るのが辛い。

しかし、実はおたきには、ある思惑が・・・
だが、その思いが明らかになった時にはもう遅いのだ。

結局、五右衛門はお縄になり、「世に盗人の種はつきまじ」
と辞世を残すことに。

大詰、五郎市を演じる子役が、実に達者で感心する。ダブル
キャストだが、この日の出演は、プログラムの写真から判断
すると、安藤然くん・・かな? よく頑張りました。

よく頑張ったといえば、御年74歳の吉右衛門丈もまた然り。
つづら抜けの宙乗り、そして大詰の立ち回りと、大活躍だ。
・・・お疲れさまでした。

もちろん、裏方さんや、立ち回りのからみの三階さんたちの
力もとっても大きいけれどね。
posted by JTm at 09:46| 芝居 | 更新情報をチェックする

2018年12月11日

2018.12.10 三三・左龍の会@内幸町ホール

2018.12.10 第89回 三三・左龍の会

演目
三三&左龍       (ご挨拶)
春風亭与いち      手紙無筆
柳家三三        粗忽の釘
柳亭左龍        人形買い
  (仲 入 り)
柳亭左龍        釜どろ
柳家三三        夏の医者

予定されていた9月30日が、台風襲来で列車運休と
なり、会が中止になった。そのリベンジの会である。

私事だが、その前日の29日に足を痛めて、30日はと
ても歩ける状態でなかったわたしには、大変にあり
がたい台風だった(「富久」の一八の心境だ)。

なお、その翌日の10月1日以降は、予定していたす
べての会に、もれなく参加したので、どうぞご心配
なく・・って、誰も心配してないか。

というわけで、オープニングトークはその会の払い
戻しの話。おひとり、払い戻さなかった方がいらし
たそうだが、どんな事情?

与いち「手紙無筆」。聞いていて思い浮かんだのは、
文蔵師匠の顔だった。やっぱり、第一人者だもんね。

三三「粗忽の釘」。3日に行った独演会で、マクラ
で試していた?、ゴーン氏がらみのクスグリを、噺
本篇に挿入・・それが演りたかったのかも?

左龍の二席。
「人形買い」。9月に演ったとしても季節外れだけ
ど、節句のマクラを振ったから、重陽の節句には近
いという理由で選んだのかな?

長い噺という意識があったので、途中で切るだろう
と思っていたが、サゲまで通した。それで30分。ど
こかで詰めていたのかもしれないが、どこだかはわ
からなかった。おしゃべりで生意気な小僧が可愛い。

「釜どろ」。三三師ではよく聞くが、左龍師で聞く
のはお初。豆腐屋のバァさんが、今にもジィさんを
入れたまま、釜を焚きつけそうで・・怖いねぇ。

三三「夏の医者」。こちらはドンピシャの夏噺で、
暑かったこの夏に聞きたかったなーという感じ。

木の股に首を引っ掛けて、参っちゃってるウワバミ
という“絵柄”が、ともかくも愉快。

ひとつ疑問だったのは、下し薬でウワバミは腹の中
空っぽと言いながら、薬箱はまだ中なの?ってこと。

その辺、探したら転がってるんじゃないかなぁ・・?
もっとも、そんな目にあった薬・・飲まされるのは
どう考えてもイヤ!だよね。
posted by JTm at 09:44| 落語 | 更新情報をチェックする

2018.12.10 人形浄瑠璃12月文楽公演@国立小劇場

2018.12.10 人形浄瑠璃12月文楽公演

演目
「鎌倉三代記」
  局使者(つぼねししゃ)の段
   太夫=豊竹希太夫、三味線=鶴澤清馗
  米洗いの段
   太夫=豊竹靖太夫、三味線=野澤錦糸
  三浦之助母別れの段
   太夫=竹本文字久太夫、三味線=鶴澤藤蔵
  高綱物語の段
   太夫=竹本織大夫、三味線=鶴澤清介
   人形役割(各段共通)
    時姫=吉田勘彌、三浦之助=吉田玉助、
    安達藤三郎実は佐々木高綱=吉田玉志、
    富田六郎=吉田文哉、三浦之助母=吉田和生  外
  (休   憩)
「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)」
  八百屋内の段
   太夫=竹本津駒太夫、三味線=竹澤宗助
  火の見櫓の段
   太夫=豊竹芳穂太夫、竹本南都太夫、
      豊竹亘太夫、竹本碩太夫
   三味線=野澤勝平、鶴澤清公、野澤錦吾、
       鶴澤燕二郎
    人形役割(各段共通)
    八百屋お七=吉田一輔、小姓吉三郎=吉田玉勢、
    下女お杉=吉田蓑紫郎、丁稚弥作=吉田玉翔、
    親久兵衛=吉田勘市、武兵衛=桐竹勘介  外
  囃子=望月太明藏社中

「鎌倉三代記」。2014年に上演された「近江源氏先陣館」
の続きの物語で、大坂夏の陣を背景にしているが、幕府を
憚って、舞台を源平の時代にしている。

人物相関図としては、三浦之助=木村重成、時姫=千姫、
佐々木高綱=真田幸村、北条時政(時姫の父)=徳川家康
となっているそうだ。

正直、冒頭から三浦之助母別れの段までは、もう、眠くて
眠くて・・・あまり動きがないうえに、次々にいろいろな
人物が登場して、その関係をたどるだけで精一杯という感
じだった。

しかし、最後の高綱物語は、それまでの様々な伏線が、過
不足なく回収されて行く爽快感がある。そして、1時間弱
のこの段を、ひとりで語り切った織大夫師が、なんともお
見事!・・圧倒的な声量に気持ちよく酔わせていただいた。

「伊達娘恋緋鹿子」。おなじみ、八百屋お七の物語である。
歌舞伎はもちろん、落語にもちょこちょこと登場する。

ただ、文楽では、お七は放火をしないんだ・・というのは、
今回初めて知って、本当に驚いた。放火はしないけれど、
なにもないのに火事の合図である半鐘を打つことは、放火
と同罪として裁かれるのだという(本当なのか?は不明)。

前段の八百屋内では、借金のかたに娘を嫁に出そうとする
親たちの苦悩、親も捨てられないが恋人も裏切れないお七
の苦悩が、なんとも重苦しい。

現代の感覚では、もちろん、お七に肩入れするのが自然だ
けれど、「一度嫁入ったあとは、めちゃくちゃやって、亭
主に嫌われ離縁を勝ち取れ」とアドバイス?する、親たち
の気持ちも、まあ、わからないではない・・・。

お七の恋人、吉三郎は、主家のために、紛失した名剣を探
している。そして、この剣を持っているのが、お七と祝言
を上げようとする武兵衛。

女中のお杉と丁稚・弥作の助けで、この剣を盗んだものの、
明け六つまでに吉三郎のもとに届けなくては、彼は切腹し
てしまう・・町の木戸はすでに閉じられている・・

というわけで、お七は処刑覚悟で半鐘を打つのだ。

お七の人形を、どうやって櫓に登らせるのか?というのが
疑問だったのだが、ちょっと意表を突く工夫で驚く。こう
いう外連味も、見どころなんだね。

4人の太夫、三味線の“合唱”と“合奏”が、いやが上にも緊
迫感を盛り上げ・・・頭がクラクラするくらいだった。
posted by JTm at 09:11| 文楽 | 更新情報をチェックする