2017年10月14日

2017.10.13 錦秋四景@浅草見番

2017.10.13 錦秋四景

演目
金原亭馬久     近日息子
古今亭志ん橋    だくだく
柳家小のぶ     野ざらし
  (仲 入 り)
五街道雲助     ずっこけ
八光亭春輔     旅の里扶持
         (三味線:???)

馬久「近日息子」。昨年以来一年ぶり。お馬鹿
な息子の可愛さアップ。

志ん橋「だくだく」。近眼で乱視の泥棒が、絵
に描かれた家財道具を見極めようとする、その
目つきがたまらなく可笑しいけれど、同様に近
眼で乱視の者として、少々、身につまされる・・・

小のぶ「野ざらし」。噺の成立過程を詳しく紹
介した後、サゲが分かりにくいので、とその説
明も。

向島近辺に皮革を扱う商売が多かったことは、
なんとなく知っていたが、そのために、河原に
牛や馬の骨が捨てられていたとか、噺の最後に
登場する幇間の名が、シンチョウという地名と
も掛かっているとか・・・勉強になります。


隣家のセンセイが、実は結構、女好き?・・
幽霊に肩や腰をもませるという状況を、すごく
楽しんでおられたようで。

雲助「ずっこけ」。雲助師ではお馴染みの噺だ
が、25分強というフルバージョンで聞いたのは
久しぶり・・かもしれない。

ふんどし一丁の酔っぱらいが、道の真ん中で息
巻いている様子が、本当に目に浮かぶ。もう、
笑うっきゃないです。

春輔「旅の里扶持」。初めて聞く噺。赤子を里
子に出し、里扶持(養育費)を払う・・という
経緯のところで、もしかして?と思う。

長谷川伸の原作で、主人公が三代目正蔵である
ことから、八代目正蔵(彦六)師が、ぜひに、
と作者に乞うて、高座に掛けたのだそうだ。

師匠をしくじって、旅興行に出たものの、上手
く行かず喰い詰めた噺家・正喬(のちの三代目
正蔵)が、ふとしたことから、乳飲み子を抱え
た新内語りの夫婦と連れになる。

しかし、女房と赤子を残して亭主が出奔、正喬
は、この女・お駒と、赤子の面倒を見ることに。

最初はお駒の三味線で正喬が新内を語っていた
が、お駒が病に倒れ、正喬は噺で稼ぐ・・よう
やく、思いがけない贔屓を得たものの、赤子を
残してお駒は亡くなり、正喬は赤子を里親に預
けて江戸に帰る。

やがて、師匠の許しを得て、江戸の寄席に復帰、
ついには三代目正蔵を名乗ることに。

ある時、高崎での仕事の途中に、赤子を預けた
本庄の近くまで来て、ふと思い出し、消息を尋
ねると・・・と、ふたりは再会。

ここでちょっと、わたしは混乱した。
前半で、正喬が、この赤子に「坊よ」と呼びか
けたので、この子はてっきり、男の子だと思い
込んでいたのだ。

ところが、実は女の子で・・・この時代、「坊」
という呼び方は、男女かかわりなく、「赤ん坊」
を呼ぶ語だったのだろうか?

(追記:デジタル大辞泉によると「(坊という呼称は)
江戸時代中期までは男児女児どちらにも使われた」と
ある。この噺の背景は幕末から明治なので、時代はち
と合わないが)

閑話休題。

最後、かつての赤子である娘に見送られる正蔵
が、新内「蘭蝶」の一節を歌う・・
「四ツ谷で初めて逢うたとき、好いたらしいと
思うたが・・・」

あ、正喬は、やっぱりお駒に惚れてたんだなぁ・・・
posted by JTm at 12:05| 落語 | 更新情報をチェックする

2017.10.13 浅草演芸ホール中席・昼の部

2017.10.13 浅草演芸ホール中席・昼の部
        柳亭こみち真打昇進披露興行

演目
橘家かな文       真田小僧
古今亭駒次       ガールズトーク
柳家小八        旅行日記
めおと楽団ジキジキ   (音曲漫才)
金原亭世之介      辰巳の辻占
春風亭栄枝       蜀山人狂歌ばなし
ロケット団       (漫才)
春風亭一之輔      牛ほめ
三遊亭圓丈       新寿限無
林家楽一        (紙切り)
      横綱土俵入、藤娘、宝船、こみち師匠、ダイアナ妃
柳亭左龍        長短
五明楼玉の輔      財前五郎
江戸家小猫       (物まね)
桂 文楽        権兵衛狸
柳家小里ん       手紙無筆
  (仲 入 り)
「真打昇進披露口上」
  (下手から)玉の輔(司会)、吉窓、こみち、燕路、文楽、馬風
すず風にゃん子、金魚  (漫才)
柳亭燕路        お菊の皿
三遊亭吉窓       山号寺号(+踊り「なすかぼ」)
鈴々舎馬風       (漫談と美空ひばりメドレー)
鏡味仙三郎社中     (太神楽曲芸)
柳亭こみち       姫と鴨(+踊り「かっぽれ」)
          (三味線:あさ、まい、かよ)

浅草のお披露目は、開演時間が11時40分とちと早い。
11時少し前に着いた。雨だったためか、列はさほど
長くない。

熱心なこみち応援団がいるようで、最前列から席が
埋まる・・一部に団体も入ったが、逆にお披露目と
は知らずに来たお客も、鈴本や末廣より多そうな・・。

コメントは、一部のみで失礼。

小八。出囃子が「梅の栄」。師匠から引き継いだの
かな?と思ったが、協会の紹介記事は「外記猿」の
まま。「旅行日記」。噺の方は、確実に師匠譲り。

栄枝「蜀山人狂歌ばなし」。栄枝師匠、この題で、
本を書いておられるそうだ。調べたら、近所の図書
館にある・・今度、借りて読もう。

圓丈。話には聞いていたが、小さな見台?を持ち出
すのを初めて見た。「新寿限無」は、寿限無くんの
弟の命名・・・年齢の離れた弟です。

小里ん「手紙無筆」。「本当は読めないんじゃない?」
と図星を差された兄貴分の、居直りぶりが鮮やか。

「口上」。代演が多かったせいか、“柳家”ではない
方の割合高し。ずっと出てるのは馬風師匠。

燕路「お菊の皿」。お菊饅頭は元祖と本家が争い、
お菊ちゃんラーメンは廃業・・危ない、危ない。

こみち「姫と鴨」。白鳥作の新作、お姫様版目黒の
秋刀魚である。主人公のお姫様が、お世辞にも、美
人とも、可愛らしいとも、おしとやかとも言えない
・・という設定が、落語らしくて良い。

燕路師匠の居る場で演るのは、初めてだそう・・・
「破門になると困るから」と。披露目の席なら、怒
られても、破門まではならないだろう。

でも、燕路師匠はきっと怒らないでしょう・・鴨の
照り焼きが食べたくはなるかもしれないが。

「吉窓師匠が踊られたあとなので、本当は江戸前じゃ
ない」と言いながら、踊りも見せてくれた。

「かっぽれ」。今まで見た中で、一番長い?・・
ほぼ、フルバージョンらしい。最後は、赤子をあや
す仕草になるんですね・・さすが、ママこみち。
posted by JTm at 11:01| 落語 | 更新情報をチェックする

2017年10月13日

2017.10.12 東京茂山狂言会@国立能楽堂

2017.10.12 第22回 東京茂山狂言会

演目
狂言「八幡前(やわたのまえ)」
  聟=茂山童司、舅=茂山あきら、教え手=茂山 茂、
  太郎冠者=鈴木 実、  後見=山下守之
狂言「蟹山伏(かにやまぶし)」
  山伏=茂山宗彦、強力=茂山逸平、
  蟹の精=茂山千五郎   後見=山下
  (休   憩)
狂言「縄綯(なわない)」
  太郎冠者=茂山千作、主人=茂山千三郎、
  何某=茂山七五三    後見=鈴木
附祝言「猿唄」   鈴木 実

「八幡前」。有徳人が一芸に秀でた者を娘の聟に・・と
高札を立てる。これを見て、聟入りを画策する男は、何
か芸を身につけようと、教え手を訪れる・・。

わずか数日で、一芸を身につけようと考える聟・・見て
いて、落語「稽古屋」を思い出した。

一計を案じた教え手、「弓の名人だと名乗り、鳥を射て
見せて外したら、当意即妙な歌を読め」と。

後の展開は、「萩大名」に似る。歌を覚えられない愚鈍
な聟に、教え手もあきれ果てて・・という展開。

しかし、この歌の一件は、萩大名よりちと難しい。

元の歌は、「いかばかり神も嬉しと覚すらん 八幡の前
に鳥いたてたり」。
・・つまり、鳥居を立てると、鳥を射たてるを掛けて、
殺生禁断の八幡前で鳥を射損ねたら神様は喜ぶだろう、
というところか。

しかし、教え手がいなくなって、聟は最後の五文字が分
からない・・でっち上げたのが、「どうがめいたてた」。

これが分からない。おそらく、ひとつには銅甕を鋳ると
いう意味なのだろうが、何かと掛けているのかどうか?
・・ま、あまり考えずに、聟の愚かさを笑っていれば良
いのだろうが。

「蟹山伏」。修行を終えて故郷の羽黒山に帰る山伏主従
が、蟹ヶ沢というところで、異形の者に出会う。恐れな
がらも名を聞くと、「両眼点にあり、一甲地につかず、
大足二足、小足八足、右行左行して・・云々」と、なぞ
なぞでの答。

すなわち、「カニだ!」と見破ったふたり、強力は、こ
いつを捕まえて、今夜の主人の酒の肴に・・と、六尺棒
を振り上げるが・・・

狂言に出て来る山伏や僧には、あまり人格者はいないよ
うで・・殺生を禁じられているはずの宗教者が、カニで
一杯・・?

もちろん、この企ては、蟹の精の逆襲に遭う訳で。
・・・つまりは、宗教的権威を笠に、威張っている連中
への揶揄。

15分弱の短い曲だが、最初から最後まで、大笑い。

「縄綯」。千作・七五三・千三郎、兄弟の三師共演。
さすがに、貫禄が違う。

博打好きな主人のために、借金のカタにされてしまった
太郎冠者。この仕打ちに腹を立て、まったく働こうとし
ない。

譲り受けた何某は、持て余して元の主人に相談・・いっ
たん、太郎冠者を返すことに。

すっかり機嫌を直した太郎冠者、縄を綯いながら、何某
一家の悪口を・・・

ここからが、太郎冠者のひとり芝居。身振り手振りを交
えつつの語りは、まるで落語家さん・・カミシモも振っ
ていたしね。

それにしても、簡単に借金のカタにされてしまう中世の
下人の哀れさよ・・そして、そんな仕打ちをされながら、
元の主人を思い、「博打は止めて」「わたしはともかく、
おかみさんまで賭けてはいけない」と、やさしく諭す太
郎冠者・・・

この太郎冠者はたぶん、先代からの召使で、この主人を
子どものころから見てきているのだろうな・・と、ふた
りの関係を思いやった。

後見の鈴木実さんがそのまま残って附祝言「猿唄」。
これを聞かずに立ち上がったお客さんが、ぱらぱらと見
えたのは、ちと残念だった。
posted by JTm at 08:55| 狂言 | 更新情報をチェックする