2018年03月05日

2018.3.4 立合狂言会@宝生能楽堂

2018.3.4 第四回 立合狂言会・東京公演

演目
ご挨拶と解説        野村万蔵・茂山千三郎
              +山本則秀
小舞競演「府中」      万蔵&千三郎&則秀
狂言「樋の酒(ひのさけ)」(和泉流・三宅狂言会)
        太郎冠者=三宅右矩、次郎冠者=三宅近成、
        主人=高澤祐介    後見=万蔵
狂言「樋の酒(ひのさけ)」
     (大藏流・山本東次郎家/茂山千五郎家)
        太郎冠者=山本則孝、次郎冠者=山本則秀、
        主人=茂山千三郎   後見=鈴木 実
  (休   憩)
狂言「水汲(みずくみ)」(和泉流・狂言共同社)
        新発意=鹿島俊裕、
        女=井上松次郎    後見=万蔵
狂言「御茶の水」(大蔵流・茂山千三郎家)
        新発意=島田洋海、老僧=千三郎、
        女=鈴木       後見=則秀
  (休   憩)
狂言「仁王」(大蔵流・善竹十郎家)
        博奕打=善竹富太郎、善竹大二郎、
        参詣人=則秀、島田、近成、井上、鈴木、高澤、
        足の悪い参詣人=万蔵   後見=千三郎
附祝言「猿唄」   出演者全員

昨年行って、とっても面白かった狂言会・・昨年は
京都公演まで行ってしまったが、今年は東京のみ。
(残念ながら)

オープニングの解説は、“仕掛人”であるおふたりに、
山本東次郎家から、山本則秀さんが加わって、大名
の名乗りと、「柿山伏」の山伏を実演。

先祖が武士出身という山本家がいちばん固く、茂山
千五郎家はやわらかい・・お豆腐狂言だからね・・
和泉流の野村万蔵家はその中間、だそうで、その違
いが面白い。

中で、山本家の柿山伏は、舞台の脇柱を木の幹に見
立てて、それにつかまって演じる・・というのは、
ホントに驚いた。

やっばり、茂山家だけでなく、他家の公演も見に行
かなくちゃ。

今回は、よりいっそう違いが分かるようにとの配慮
で、同じ演目を和泉流・大蔵流で続けて上演。

まずは「樋の酒」。主人の留守に、召使のふたりが、
酒を盗み呑んで大宴会・・・という大筋は一緒。

三宅狂言会では、ふたりの召使は、米蔵と酒蔵の番
を命じられるものの、蔵からの出入りは自由。最初
は命じられた通り「米蔵を離れない」と、樋を使っ
て酒を呑ませて貰っていた太郎冠者が、酔うほどに
大胆になって、酒蔵へ・・・職務放棄。

これが大蔵流では、主人は酒を呑まれまいとして、
吞んべぇの太郎冠者を軽物(反物など)蔵に、下戸
の次郎冠者を酒蔵に閉じ込める・・・本当は、次郎
冠者も大酒吞みなのだが。

つまり、大蔵流では、最後までふたりは別々の蔵の
中・・・それでも、謡い、舞い、宴会を満喫。

そして、樋の形が、三宅家では半円形、大蔵流では
丸のままの竹という違いも。

「水汲」と「御茶の水」。題名は異なるが、ほぼ同
じストーリー。夕刻になって森の清水に水を汲みに
行ったいちゃという女に、新発意(しんぼち。見習
い僧)が、唄で言い寄る・・・

二流で、結末が真逆になる。
和泉流では、いちゃは新発意を寄せ付けず、水を掛
けて逃げてしまう。

大蔵流では、ふたりは仲良くなって、いい感じで連
舞を舞ったりしている。それを師匠である老僧に見
つかって怒られる(女犯の罪だ)と、逆ギレした新
発意が、老僧を投げ飛ばし、いちゃと手をつないで
去って行く。

大蔵流では、和泉流には登場しない老僧を出す。
・・・このことで、風刺的意味合いが強くなるよう
に思う。

なぜなら、新発意を叱る老僧は、弟子の監督不行き
届きということで、「自分も共に寺を追い出される」
と、そのことを一番心配しているのだから。

偉そうなこと言ったって、結局、自分が大事なんだ
なぁ・・・ということだ。

「仁王」。博奕ですってんてんになったふたりが、
仁王尊に化けて、お供物をいただいてしまおうとい
う、企み。

仁王に化ける善竹富太郎さん、堂々たる体格は、ま
さに仁王尊にピッタリ。

立衆の参詣人は、流派・家を越えてのオールスター
キャスト。こもごもに口にする願い事も、ケッサク。

最後に、ずっと裏方に徹していた万蔵師が、足の悪
い参詣人役で登場して・・・ぜーんぶ、攫って行き
ました。

そうそう、茂山千五郎家の「仁王」では、この足の
悪い参詣人と共に、他の参詣人たちも居合わせるの
だが、善竹十郎家では、他の参詣人とは別に、ひと
りで登場した。・・・同じ大蔵流でも、家によって
の違いもあるのだ。

最後は、恒例通り、全員での附祝言。謡のときのス
タイルが、扇を膝の上に載せて構える大蔵流に対し、
和泉流では、右手で持って膝前につく。
・・・こんなところにも、違いがあるのですね。

恒例、最後の記念撮影。
 IMG_2611.JPG 

仁王尊(中央)
 IMG_2608.JPG
posted by JTm at 11:27| 狂言 | 更新情報をチェックする