2018年09月17日

2018.9.16 茂山狂言会・秋@金剛能楽堂

2018.9.16 茂山狂言会・秋 まだまだ若いもんには負けません

演目
狂言「比丘貞(びくさだ)」
   尼=茂山千作、
   親=茂山 茂、子=茂山鳳仁
   囃子方 笛=左鴻泰弘、小鼓=成田達志、大鼓=谷口正壽
   後見=茂山あきら、松本 薫
   地謡=島田洋海、茂山千五郎、茂山宗彦、山下守之
新作狂言「濯ぎ川(すすぎがわ)」(飯沢匡=作)
   聟=茂山七五三、
   女房=茂山童司、姑=茂山千三郎
   後見=増田浩紀
  (休   憩)
小舞 「雪山」      茂山 蓮
   「神鳴」      茂山竜正
   「暁の明星」    茂山虎真
     地謡=増田、茂、童司、井口竜也
狂言「老武者(ろうむしゃ)」
   宿老=あきら、宿の亭主=千五郎、
   稚児=茂山慶和、伴僧=茂山逸平、
   若い衆=宗彦、島田、山下、鈴木 実、
   年寄衆=千三郎、網谷正美、丸石やすし、松本   
   囃子方 笛=左鴻泰弘、小鼓=成田達志、大鼓=谷口正壽
   後見=七五三
   地謡=増田、茂、童司、井口
附祝言「猿唄」   増田、茂、童司、井口

敬老の日の前日ということで、今回の茂山狂言会は、
お年寄りが活躍する三曲。そのうち、二曲が初めて
見る演目なので、期待は大きい。

「比丘貞」。「枕物狂」「庵梅」と並ぶ、三老曲・・
つまり、老人がシテの曲。あとの二曲は、以前に見
ているが、いずれもかなり難しかったという記憶が
ある。

この比丘貞もまた、“重習(おもならい)”と呼ばれ
る難曲。

近所の男に、息子に名をつけて欲しいと頼まれた尼。
烏帽子名を「庵太郎」、名乗りを「比丘貞」とし、
祝いに米や銭を贈る。

さて、ここでまずつまづく。赤ん坊ならともかく、も
う大きくなった子に、今まで名がないって・・?
そして、烏帽子名と名乗りの違いは?

これは要するに、元服を迎えた男の子に、大人として
の名をつける・・ということのようだ。ただ、烏帽子
名も名乗りも、同じような意味が出てくるだけで、ど
うにも違いがはっきりしない。
・・これは、ちょっと解説が欲しかった。

それはさておき、お話の方は、祝いの酒宴となって、
老骨にムチ打って?舞いを舞う老尼・・これが、なか
なか色っぽいのだ。意外に娑婆っ気の抜けない尼さん
なのかもしれない。

「濯ぎ川」。これはお馴染みの演目。主人公は七五三
師の演じる、養子の聟だが、活躍する老人は、千三郎
師の姑である。

女房と姑に、いいようにこき使われる聟が、一計を案
じて「やるべきことを全部書いて」と言う。
書いてあることは全部やる、でも書いてないことは一
切やらない・・というお約束。

と、足を滑らせた女房が川に落ち・・・
「川に流された女を助けよ、とはどこにも書いてない」
果たして、聟殿、家長としての権威を確立できるのか?

それにしても、この女房と姑、狂言の中でも、5本の
指に入る、わわしい女たちだね。聟殿がお気の毒。

休憩後は、次代を担う坊やたちの小舞を三曲。
・・といっても、竜正・虎真ご両人は、もう、立派な
少年・・を通り越して、青年と言ってもいいくらい。

毎年見ていると、その成長ぶりに、親戚の子を見るよ
うな喜びを感じてしまう。これもまた、伝統芸能のお
家を見る楽しみのひとつなんだろう。

「老武者」。これもお初の演目。
美しい稚児が宿に宿泊したと聞きつけて、土地の若い
者たちが、お盃を頂戴したいと訪れる。

酒宴をしていると、今度は土地の宿老も、お盃を・・
と訪れる。しかし、宿の主人に断られてしまう。

恨んだ宿老は、仲間の年寄衆を連れ、手に手に武器を
持って、仕返しに・・・迎え撃つ若い衆と亭主。
まさに、くんずほぐれつの大立ち回り・・と言いたい
ところだが、いささか年寄の冷や水の感が・・。

ずっと腰を曲げたままの(特に千三郎師は濯ぎ川から
ずっと!)年寄衆、どうもお疲れ様です・・どこまで
が本当で、どこからが演技なの?という感じも、無き
にしも非ずでしたけれどね。

地謡の4人がそのまま残って、附祝言。
「楽しゅうなるこそ、めでたけれ」・・・まさに。
posted by JTm at 17:39| 狂言 | 更新情報をチェックする

2018.9.15 特別企画公演 天の岩戸開きの芸能@国立文楽劇場

2018.9.15 特別企画公演 天の岩戸開きの芸能・第一部

演目
新作落語「天の岩戸」(小佐田定雄=作)
    桂 九雀
京舞「倭文(やまとぶみ)」
    踊り=井上八千代
    地方=小ます、だん佑、小桃、ます穂
    囃子方 笛=斗美千代、小鼓=まめ鶴、
       大鼓=小萬、太鼓=里美
  (休   憩)
銀鏡神楽(しろみかぐら)
  「伊勢神楽」
  「手力男命(たぢからおのみこと)」
  「戸破明神(とがくしみょうじん)」 
    銀鏡神楽保存会(宮崎県西都市)
  (休   憩)
半能「絵馬」(観世流)
   シテ(天照大神)=大槻文藏、ツレ(天鈿女命)=武富康之、
   ツレ(手力雄命)=大槻裕一、ワキ(勅使)=福王茂十郎、
   ワキツレ(従者)=福王和幸、是川正彦
   囃子方 笛=竹市 学、小鼓=成田達志、
       大鼓=山本哲也、太鼓=中田弘美
   後見=赤松禎友、上野雄三
   地謡=寺澤拓海、寺澤幸祐、上野雄介、齊藤信隆、
      上野朝彦、上野朝義、齊藤信輔、山本博通

日本神話の天照大神の物語、天の岩戸。古くから様々な
芸能に取り入れられてきたそれを、“集大成”する公演。

落語「天の岩戸」。この伝説は古典落語にもあるそうだ
が(知らなかった!)、 今回は敢えて新作落語で・・
というのは、要するに物語を知らない人のために、簡単
に紹介しようという試みだったようだ。

吞んで帰って、女房に締め出された男に、物識りの甚兵
衛さんが“講釈”。ついでに、今回上演される演目の解説
も兼ねていたらしいが・・うー・・・早起きが祟って
(朝6:26東京発の新幹線に乗った)、あえなく沈没。

京舞「倭文」。まったく縁なき衆生だが、京舞というの
は、上方舞のうち京都で発達した二流派を指すそうだ。
井上流はそのひとつで、現家元、五世井上八千代師は、
人間国宝。

「倭文」とは、日本書紀のことだそうで、そのうちから、
天の岩戸の物語を舞踊にした、おめでたい演目。毎年、
年の初めに、京都・祇園で演じられるとのこと。

三番叟の鈴の段に用いられる鈴を持っての舞など、古く
から伝わる様々な芸能を取り入れているようだ。
なお、地方を務めるのは、祇園の芸妓さんたちだそうだ。

銀鏡神楽。神話の里・宮崎の米良地方に伝わる神楽で、
毎年、12月12~16日に演じられるそうだ。全部で33番
あるうちから、今回は天の岩戸伝説に密接な三番を。
(なお、この日の第二部には銀鏡神楽のみが上演されたが、未見)

神楽を拝見する機会は、今までにも何度かあったが、お
そらく、どこの神楽にも、この物語はあるに違いない。

ちょっと面白かったのは、舞台下手に畳んで立てられた
屏風を、岩戸に見立てているというところ。天照大神が
登場すると、この屏風が開かれて、中の絵が見える・・
天鈿女が楽し気に舞い、多くの神々がこれを嬉しそうに
見ている絵が描かれていた。

半能「絵馬」。半能というのは、前シテの部分を省略し
て、後半の後シテの場面だけを演じたから・・らしい。

前半では、題名になっている絵馬に関するエピソードが
出てくるらしいが、今回はその部分は省略なので、絵馬
という題とのつながりが分かりにくい。

天照大神が、手力雄と天鈿女を従えて登場し、天の岩戸
隠れを再現して見せる・・

これ、あくまで再現ってところが面白い。昔、こんなこ
とがあったんだよー・・と、神様たちも懐かしがってい
るんだね。

もう少し、きちんと予習して行けば、もっと楽しめたか
もしれない。少々、浅はかだったと反省しつつ、終演。 

posted by JTm at 14:53| 雑記 | 更新情報をチェックする

2018.9.14 赤坂 小里んを聴く会@赤坂会館

2018.9.14 赤坂 小里んを聴く会

演目
柳家り助        たらちね
柳家小里ん       天災
  (仲 入 り)
柳家小里ん       山崎屋

少人数で、お座敷で、小里ん師匠という、贅沢な会。
もう少し入っても・・と思う反面、このくらいが丁度
いい・・という思いも多々。

り助。海舟師の弟子で、小里ん師の孫弟子である。お
顔は何度か拝見しているが、噺を聞くのはお初。
緊張しているのか、顔が怖いよ・・。

「たらちね」。いやー、ブッ飛びましたね。こんなた
らちね、聞いたことない。なにせ、出てくる女性が、
みんなバァさんだ・・二十歳の新妻は、どこ行った!?
(後から上がった小里ん師匠によれば、この日がネタ下ろし
だったとのこと。)

客席爆笑でちょっと安心したのか、ようやく表情が緩
む・・あら、笑うと意外に可愛い。もっと、にこやか
にね。

小里んの二席。
「天災」。小里ん師のこの噺は昨夏以来。八五郎のハ
チャメチャが強調されがちな噺だが、小里ん師版は、
むしろ、紅羅坊奈丸の泰然自若さが印象に残る。

まさに「気に入らぬ風もあろうに柳かな」、そのもの。

「山崎屋」。こちらはたぶん、お初。冒頭に色々と仕
込みがあって大変だが、その部分を丁寧に演っていた。

本篇は、若旦那がネチネチと、番頭を“強請る”場面か
らだが、どうやら店の金を誤魔化して若い女を囲って
いるらしい番頭が、不思議と、お人好しっぽい。

他の方だと、こいつ、今に店を乗っ取るゾ・・という
感じがすることもあるんだけどね。

そして、美しいお嫁さんに見せる、大旦那の(って、
つまり小里ん師匠の、ですが)とろけるような笑顔・・・
まさに絶品です。

次回、11月2日(金)開催とのこと。
posted by JTm at 09:01| 落語 | 更新情報をチェックする