2018年11月12日

2018.11.11 左龍・甚語楼二人会@お江戸日本橋亭

2018.11.11 第20回 左龍・甚語楼二人会

演目
左龍&甚語楼      (トーク)
柳亭市若        のめる
柳家甚語楼       粗忽長屋
柳亭左龍        不動坊
  (仲 入 り)
柳亭左龍        浮世床
柳家甚語楼       火事息子

オープニングトークは、松戸の仕事から駆け付けたと
いう甚語楼師は“休憩時間”。左龍師、頑張ってしゃべっ
たけれど、5分でおしまいに。

市若「のめる」。市若さんのこの噺はお初かな。表情
が豊かで、見ていて楽しい。時に大きすぎると感じた
声も、だいぶコントロール出来てきたようで。

甚語楼「粗忽長屋」。これ、めちゃくちゃ面白かった。
たぶん初めてではないと思うが・・えー、前からこん
なだった?って感じ。

真剣に混乱しちゃってる粗忽なふたりが、奇妙にリア
ル。特に長屋に呼びに来られた熊さんが、「あ、熊、
俺だ!」って気づくところ・・その絶妙の間が、わた
しにはツボでした。

左龍の二席。
「不動坊」。初演とのこと。そういえばさん喬師匠の
不動坊って、聞いた記憶がないが演られるのだろうか。

左龍師版は、権太楼師匠に似てるかな。鉄瓶提げて湯
屋に行っちゃうところとか。

ただ、後半、やや間延びしたような感が無きにしも非
ずで、屋根の上でのお馬鹿トリオのドタバタのところ
で、しばし意識喪失してしまったのは残念だった。

「浮世床」。やや端折り気味の“本”から続けて“夢”へ。
半ちゃんの艶っぽい夢の話が佳境に入っても、なお、
読めない本を読み続けている源ちゃんの姿を、一瞬、
描写したのは上手い工夫。

甚語楼「火事息子」。こちらも初演とのこと。そうい
えば権太楼師匠の火事息子って、聞いた記憶がないけ
れど・・・。

今回は、それぞれ、相手の師匠のニンに合った噺をネ
タ下ろし・・という趣向なんだろうか?

そして、甚語楼版は、さん喬師匠に似てたりする・・
バァさんが猫を放り投げちゃうところとか。まあ、他
にも演る人はいるけれどね。

ただ、湿っぽさのない明るい雰囲気は、やはり権太楼
師匠譲りかな。おっ母さんの繰り言も、こっけいさが
先に立つ・・・あふれる愛は、どこかこっけいなもの
なのかもしれない。

トークよりも、それぞれのマクラにオフレコの裏話が
満載されたようで、それも含めて聞きごたえのある良
い会でした。
posted by JTm at 09:47| 落語 | 更新情報をチェックする

2018年11月11日

2018.11.10 国立能楽堂普及公演

2018.11.10 国立能楽堂普及公演

演目
解説・能楽あんない
  「橋姫伝説、鬼、呪術」  林 望(作家・書誌学者)
狂言「梟山伏(ふくろうやまぶし)」(和泉流)
   シテ(山伏)=井上松次郎、
   アド(兄)=鹿島俊裕、(弟)=今枝郁雄
  (休   憩)
能「鉄輪(かなわ)-早鼓之伝」(観世流)
   シテ(前・女、後・女の生霊)=観世恭秀、
   ワキ(安倍晴明)=舘田善博、ワキツレ(男)=野口啄弘、
   アイ(社人)=佐藤友彦
   囃子方 笛=寺井宏明、小鼓=幸清次郎、
       大鼓=柿原崇志、太鼓=梶谷英樹
   後見=寺井 榮、清水義也
   地謡=木月章行、津田和忠、武田祥照、中島志津夫、
      坂井音晴、坂井音重、坂井音隆、関根知孝

丑の刻詣の“原型”とも言える「鉄輪」という演目が出る
というのに、なぜか、女子中高生の団体が・・・確かに
初心者にもわかりやすい演目ではあるけれど。

というわけで、リンボウ先生の解説は、「鉄輪」の物語
を、噛み砕いてわかりやすく。中高生からは程遠い当方
も、おおいに助かった。

まずは狂言「梟山伏」。今回は和泉流だが、大蔵流では
「梟」という題で何度か見ている。

山へ行った弟が、病?に倒れ、兄は山伏に祈祷を依頼す
る。山伏の見立てでは、山で梟の巣を取り下ろしたため、
梟が取り憑いた・・で、早速に梟の嫌うカラスの印を結
んで呪文を唱えるが・・・

後半になると、セリフは「ポーッ!」だけ。客席の女子
中高生たちに大ウケ・・・なんか、いつもより余分に鳴
いてたんじゃない?

そんなのんきな狂言から一変して、いよいよおどろおど
ろしい「鉄輪」へ。

夫に新しい妻が出来たために離縁された女が、夫と後妻
を呪い殺そうと、真夜中の京の町を駆け抜けて、貴船の
山中へ。

冒頭の解説によると、女のたどる道筋は、貴船に続く本
街道ではなく、一直線に山を目指す、険しくて恐ろしい
道だとか。一刻も早く貴船に着きたい女の思いの強さ。

一方、呪われた元夫は、身体の不調を感じて、陰陽師の
安倍晴明を訪れる。

ひと目で呪いの存在を察知する晴明・・そして女の呪い
を「転じ変え」る祈祷を行うことに。

結局、女の呪いは晴明に退けられて、女は「時節を待つ
べしや、まづこの度は」と、帰って行く・・って、つま
り、まだ諦めてないのね。

後半の、女と晴明の“呪い合戦”の方に、つい、意識が向
いてしまうけれど、今回は、リンボウ先生の解説のおか
げで、前半の女の“変貌”ぶりに大いに心を惹かれた。

この演目、能としては珍しく、最初に狂言方の演じるア
イが登場する。「狂言口開」と言うそうだ。

これが貴船神社の社人で、神様の夢のお告げを、深夜に
訪れる女に伝えに来た、と言う。

そのお告げが、「鉄輪を被ってその三つ足に火を灯し、
身に赤い丹(赤い土、またそれからとれる染料)を塗り、
赤い衣を着て、怒る心を持つならば、女の願いはかなう」
というのだ。

女と出会った社人は、「あなたがその方ですか?」と問
うけれど、女は否定。

しかし、この神様からの“伝言”を聞くうちに、女は次第
に恐ろしく見えて来るのだ・・・

まさに、女が「鬼」に変じる瞬間。
いやー、恐ろしい・・・やっぱり、こんなの中高生に見
せちゃダメ!

それにしても、こんな恐ろしいご託宣を下される神様っ
て、いったい何?と、思わざるを得ない。

これ、キリスト教だったら、絶対に、悪魔の声だよなぁ。
・・・もっとも、旧約の神様なら、あり、かも?だけど。
posted by JTm at 10:17| | 更新情報をチェックする

2018年11月10日

2018.11.9 国立演芸場上席・夜の部

2018.11.9 国立演芸場上席・夜の部
       落語協会 真打昇進披露公演

演目
金原亭駒六          ざる屋
春風亭一花          やかん
林家彦いち          熱血怪談部
青空一風、千風        (漫才)
・真打昇進
 さん若改メ 柳家小平太     棒鱈
・真打昇進
 花ん謝改メ 柳家勧之助     熊の皮
  (仲 入 り)
「真打昇進披露口上」
 (下手から)彦いち、駒治、小平太、勧之助、たこ蔵、駒子
柳家小菊           (粋曲)
・真打昇進
 ちよりん改メ 古今亭駒子    泣き塩(∔踊り「かっぽれ」)
・真打昇進
 駒次改メ 古今亭駒治      泣いた赤い電車(紙芝居付き)
鏡味仙三郎社中        (太神楽曲芸)
・真打昇進
 たこ平改メ 林家たこ蔵     紙入れ
           (三味線:金山はる)

駒六「ざる屋」。「金庫ごと持ってけー!」の威勢の良さ。
「四十九日め、です」は、逆説的祝辞?

一花「やかん」。ふとした間違いをちゃんと笑いに変える
・・・余裕しゃくしゃくですね。

彦いち「熱血怪談部」。確かに“化ける”噺としては、他に
比べられるものはない。

1109(3).JPG
さん若改め小平太。今回昇進の5人の中では、一番、おな
じみの方。「うちの弟子は誰もあたしに似てない」と嘆く
さん喬師匠だが、中ではこの人が一番、師匠に近いかも。

「棒鱈」。アル中のマクラから、ほんと、師匠のまんま。
このカラーを崩さすに、どこまで独自色を出すか?
・・・いつまでも師匠のコピーではいないでしょう。

1109(7).JPG
花ん謝改め勧之助。花ん謝時代には4回くらいしか遭遇し
ていない。「熊の皮」はお初。柳家らしからぬ?ブッ飛ん
だところのある噺を演る人・・という印象があったが、今
回はかなりまともに。


「口上」。毎度のことながら、国立の口上は、口上という
より“トーク”。いろいろ暴露?話も交えて、にぎやかに。

小菊。「梅は咲いたか」「並木駒形」「寄席スタンダード
ナンバーへの八番」「さのさ」「櫓太鼓~相撲甚句」。
あれ、都々逸、なかったな?

1109(5).JPG
ちよりん改め駒子。なんか、堂々たる風情になったなぁ。
「泣き塩」。かなり以前に2度ほど聞いているが、そのこ
ろに比べると、雲泥の差・・・上手くなりました。

1109(4).JPG
駒次改め駒治。音は変わらず、文字だけ変えたのね。出囃
子も変わらず、「鉄道唱歌」で。師匠だった志ん駒師が亡
くなって、昇進直前に志ん橋門下に移籍したが、そんな苦
労は感じさせない、明るい笑顔。志ん駒師も、草葉の陰で
喜んでおられることでしょう。

「泣いた赤い電車」。2015年以来2度めの遭遇。
前回は、紙芝居が主役みたいな感じだったが、今回はちゃ
んと、落語が主役に。そして、紙芝居の絵の方もグレード
アップしたような?

1109(6).JPG
たこ平改めたこ蔵。申し訳ないが、この5人の中では、い
ちばん印象が薄い。大阪出身で、上方落語と江戸落語、半
分くらいずつ?演っているらしい。

「紙入れ」。東京でも演じる人は多いけれど、今回は上方
落語で・・・って、筋は同じです。

以前に繁盛亭で桂春蝶師のこの噺を聞いて、お色気過剰な
演出に辟易した記憶があるが、それに匹敵するほどのお色
気ムンムン。

でも、不思議に、さほどのイヤらしさは感じない。意外に
健康的色っぽさ。


今回昇進の5人のお披露目を、一度で済ますロクデモナイ
魂胆で行った会だったけれど、5人とも、堂々たる真打の
貫禄で、大いに感心した次第。これからも頑張って!と、
三本締めでは手が痛くなるくらい手拍子させていただきま
した。
(写真は、口上の時に、許可を得て撮影したものです)
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