2018年12月24日

2018.12.23 三世茂山千之丞襲名披露公演@金剛能楽堂

2018.12.23 三世茂山千之丞襲名披露公演 京都公演

友人が見事ゲットしてくれたプラチナチケットを携えて、
京都に日帰り遠征。

演目
狂言「福の神」
   福の神=茂山あきら、
   参詣人=茂山竜正、茂山虎真、 後見=山下守之
狂言「萩大名」
   大名=茂山千作、太郎冠者=島田洋海、
   庭の亭主=網谷正美、  後見=井口竜也
狂言「無布施経(ふせないきょう)」
   出家=丸石やすし、
   檀家=茂山千三郎、 後見=茂山逸平
  (休  憩)
小舞「神鳴」     茂山鳳仁
  「小原木」    茂山慶和
  「明の明星」   茂山 蓮
  「猿聟」     茂山忠三郎
    以上、地謡=茂山千五郎、逸平、田賀屋夙生、島田
新作狂言「新成上り」(二世千之丞=作)
   太郎冠者=茂山七五三、主人=茂山宗彦、
   すっぱ=井口、  後見=島田
狂言「長光(ながみつ)」
   すっぱ=あきら、田舎者=松本 薫、
   目代=増田浩紀、 後見=田賀屋
狂言「蟹山伏(かにやまぶし)」
   山伏=茂山 茂、合力=山下、
   蟹の精=鈴木 実、  後見=網谷
  (休  憩)
童司改め三世茂山千之丞襲名披露狂言
  「花子(はなご)」
   男=三世茂山千之丞、妻=千五郎、
   太郎冠者=逸平、 後見=あきら、丸石
附祝言   茂山あきら

茂山童司さんが、祖父の名であった千之丞を三世として
襲名、“極重習”の大曲「花子」を披く。

狂言を見るようになって以来、何人かの「花子」の披き
を見てきたが、今回はそれに襲名という、もうひとつの
慶事が加わり、より一層の“重み”を感じる。

おめでたい公演とあって、客席には各界の著名人多数・・
お名前はわからなくても、顔に見覚えのある方がたくさん。

ロビーには、いっぱいのお花、そして、山本太郎画伯の
デザインによる衣装の展示も。華やかです。

演目も新・千之丞らしいチョイスで、上演時間は短いけ
れど、笑いの多い楽しい曲が並ぶ。上は千作師から、最
年少は蓮ちゃん7歳まで、お弟子さんたちも含めて全員
が勢ぞろい・・・というのもいかにも千之丞風。

「福の神」。パパ・あきら師の福の神に、すっかり青年
らしくなった双子の兄弟が殊勝にお参り。お酒をねだる
神様に、客席から(賛同の?)笑いが。

「萩大名」。御大・千作師の大名は、抜群の貫禄で。歌
を覚える力はなくても、訴訟ごとにはちゃんと勝てる人
という感じ。どうしても歌を詠ませたい庭の亭主は、ち
と変な人?

「無布施経」。お檀家がいつものお布施を忘れてる・・
貰いたいけどなかなか言い出せない出家。いろいろ理由
をつけては何度も戻り、「ふせ・・」とつく言葉を連ね
てみるのだが・・?

この発想、落語にもあるよな・・玉の輔師のあの噺とか。

最初の休憩後は、茂山家の次々代を担う子どもたちの小
舞から。そして、最後にゲストの茂山忠三郎師が登場し
て、「猿聟」を。忠三郎師は、京都のもうひとつの狂言
のお家の当主。昨年、五世忠三郎を襲名した。

「新成上り」。古典狂言から二世千之丞が改作。

古典の「成上り」は、太刀を盗まれた太郎冠者が、いろ
いろと“成り上って”名前や形が変わるものを並べたとこ
ろで、太刀とすり替えられた竹杖を見せる・・というお
話のようだが、これに、主従ふたりが盗人を捕えようと
する場を付け加えたもののようだ。

襲名という一種の“成り上り”にふさわしい演目といえる
のだろうが・・太刀⇒竹杖では、“成り下り”のような・・・

「長光」。これもまた、すっぱの登場する話で、寄席だっ
たらout!かも。

田舎者の持つ太刀を奪おうとするすっぱが、仲裁に入っ
た目代(役人)と、丁々発止?のやりとり。このすっぱ
は、大きな立派なひげを蓄えていて、本来の持ち主であ
る田舎者よりも、太刀にふさわしい・・というのが、妙
に可笑しい。人は見かけで判断してはダメ。

「蟹山伏」。旅の山伏が、蟹が沢というところに差し掛
かると、なにやらアヤシイ異形のものが。場所が蟹が沢
だけに、こいつは蟹の精。

これを退治しようとする合力が「捕まえてご主人の今夜
の酒の肴に」というセリフがあるのだが、これを「捕ま
えて今夜の打ち上げの鍋に・・」と変えていた。

これを受けた山伏が「打ち上げはすき焼きだろう?」と
すかさず切り返す・・こういうお遊びが、お豆腐狂言の
大きな魅力。

ここで、二度目の休憩が入り、いよいよ「花子」へ。

ツィッターで「京都は完全クラシックバージョン、東京
は二世千之丞バージョン」で演じる、と書いていた新千
之丞さん。

でも、その完全クラシックのはずの京都でも、見ていて
新しさを強く感じた。

今まで、狂言を活かした現代のコントや、百年先まで演
じられる「新しい古典狂言」などを手掛けてきた、童司
改め新・千之丞さんの、集大成と言って良いだろう。

見ていて、涙があふれてしまい、大いに困った・・今も
涙で画面がにじんでます。

打ち上げのすき焼き、きっととても美味しかったことで
しょう・・蟹すきだったかどうかはわからないけれど。 
posted by JTm at 11:16| 狂言 | 更新情報をチェックする

2018年12月22日

2018.12.22 国立能楽堂特別企画公演

2018.12.22 国立能楽堂特別企画公演
     -明治150年記念 苦難を乗り越えた能楽-

演目
狂言「呼声(よびこえ)」(大蔵流)
    シテ(太郎冠者)=山本東次郎、
    アド(主)=山本則孝、(次郎冠者)=山本則俊
  (休   憩)
能「道成寺」(宝生流)
    シテ(前・白拍子、後・蛇体)=宝生和英、
    ワキ(道成寺住僧)=宝生欣哉、
    ワキツレ(従僧)=御厨誠吾、野口琢弘、
    アイ(能力)=山本則重、山本則秀、
    囃子方 笛=一噌隆之、小鼓=観世新九郎、
        大鼓=柿原弘和、太鼓=金春國直、
    後見=朝倉俊樹、當山淳司、
    鐘後見=野口 聡、水上 優、和久荘太郎、
        東川尚志、川瀬隆士、
    狂言鐘後見=山本東次郎、山本則俊、
          山本則孝、若松 隆、
    地謡=佐野弘宜、金井雄資、内藤飛能、
       武田孝史、小倉伸二郎、大友 順

どうしても見たいと思った公演だったが、諸般の事情
でチケットが買えなかった。それが直前にお譲りいた
だけることになり・・もう、今年の運は使い切ったね。

狂言「呼声」。大蔵流茂山千五郎家では何度か見てい
るが、山本東次郎家のはたぶんお初。

主人に無断で仕事をサボって遊びに行った太郎冠者が
帰宅したと聞いて、主人は叱りに行く。しかし、察し
た太郎冠者は居留守を使う。

普段の声ではわかってしまうと、声色を使ったり、俗
曲に乗せて読んでみたりする主人・・・やっているう
ちにすっかり浮かれ・・そして、太郎冠者もまた。

この呼び声の唄のメロディが、どうやら各お家、独自
のものらしい。楽しくなってくるのは一緒だけれど。

能「道成寺」。お目当てはもちろんこちら。歌舞伎舞
踊の道成寺は何度か見ているし、昨秋には黒川能の「鐘
巻」という同内容の曲を見ている。

ただ、この鐘の大きさは、黒川能よりずっと大きいし、
歌舞伎のような大掛かりな舞台機構ではなく、すべて
人力で設置し、上げ下げする・・・これは迫力がある。

そして、舞台にこの鐘を設置するのが、狂言方の役目
というのは、今回、初めて知った。御年81歳の東次郎
先生のご登場に驚く。

道成寺の鐘供養が行われることになったが、この行事
は絶対に女人禁制だという。

しかし、ひとりの白拍子が「ぜひ供養を見せてほしい」
と現れ、その懇願に負けた能力(名使役の下級僧)は、
こっそりと招き入れてしまう。

鐘を前に、舞を舞う白拍子・・能力たちは次第に眠く
なり・・・

いやー、能力ばかりでなく、わたしも眠かったー・・
だってこの舞、ほとんど動きがないんだもの。

ところがこれが突然、風雲急を告げる早いテンポの舞
になり・・・吊り上げてあった大鐘が大音響と共に落
下する。

ここからは、もう、息詰まる展開。慌てた能力たちが
住僧たちに報告し、この寺の鐘にまつわる“秘密”が語
られて、僧たちの必死の祈りが始まるのだ。

そして再び鐘が上がると・・・蛇体となった女が中か
ら登場。

シテの役者さんは、鐘の中でひとり、面や衣装を変え、
蛇体に変ずるのだ。・・中、いったいどうなっている
んだろう??

後半は、もう、眠くなる暇もなく。面白かったー!

すべての能舞台には、屋根裏と笛柱(正面右奥の柱)
に金具が取り付けられている。これは唯一、この道成
寺の上演の時にだけ使用される金具なのだそうだ。

大掛かりで、上演機会の少ない大曲だが、設備がない
から出来ないという言い訳は出来ない・・ということ
だ。「道成寺」が、能にとっていかに大事な曲かを示
している。

そしてもうひとつ。先月、今月と2か月続けて見た
「小鍛冶」のワキは、橘道成。つまり、道成寺の創設
者だと伝えられる人物だ。

なーるほど・・って、思っちゃったり。
posted by JTm at 21:56| | 更新情報をチェックする

2018.12.21 正太郎百貨店 赤坂支店@赤坂会館(その4)

2018.12.21 正太郎百貨店 赤坂支店 
          歳末感謝祭五夜・第五夜

演目
林家きよひこ    狸の札
春風亭正太郎    ふぐ鍋
春風亭一朝     紙屑屋
  (仲 入 り)
一朝&正太郎    (対談)
春風亭正太郎    芝浜
       (三味線:柳沢きょう)

きよひこ「狸の札」。噺を聞くのは3回目で、噺も3
種類。きりっとした口調はなかなか小気味よい。

正太郎「ふぐ鍋」。正太郎さんのこの噺はたぶんお初。
訪ねてくる人物(大橋さんだったかな?)が、見事に
幇間タイプで・・そういう商売なのかな??

会場が満員御礼で熱気ムンムン・・ふぐ鍋食べたいなー
と思わせるには、ちと暑すぎたかも。

一朝「紙屑屋」。居候の若旦那から入る噺はいくつか
あるけれど、一朝師匠の場合はこの噺が一番好き。マ
クラの間、ずっと「紙屑屋、紙屑屋・・」と心で唱え
てしまう。

明るくご陽気に、ひたすら楽しい。聞いていてホント
に嬉しくなるねぇ。

対談。今回は同じ一門の総領の師匠ということで、前
日までよりもアットホームな雰囲気。五代目柳朝師や
八代目正蔵師の話、歌舞伎の下座時代のことなど。

そして、「正太郎をよろしく」と客席に頭を下げてく
ださる・・・頼りになる師匠です。

正太郎「芝浜」。以前は暮れになると「他に噺はない
のか?」と思うくらい聞いた噺だけれど、最近は、遭
遇率が低くなっているように思う。この冬も初遭遇。

前日の「死神」同様、聞いていてぐんぐん引き込まれ
るものを感じた。そして、42両の金のことを「夢だ、
夢だ」と亭主を騙している女房の“演技”に、その心の
中のかっとうが見えて、息が詰まりそうな思いだった
・・ってまぁ、結末を知っているせいもあるけどね。

サゲのひと言は、意外にあっさりとさらっと言った感
じ・・・妙に重苦しくせず、明るくサゲるのは、春風
亭のお家芸、かな?


最後に、恒例?の、ゲストの師匠方の似顔絵。制作は
もちろん、正太郎画伯。
 1218(3).JPG
ごめん、ちょっとピンボケだった・・・
posted by JTm at 08:47| 落語 | 更新情報をチェックする