2019年01月19日

2019.1.18 国立能楽堂狂言の会

2019.1.18 開場35周年記念 国立能楽堂狂言の会

演目
狂言「居杭(いぐい)」(大蔵流)
   シテ(算置)=大藏彌右衛門、
   アド(何某)=大藏基誠、(居杭)=大藏康誠
  (休   憩)
素囃子「黄鐘早舞(おうしきはやまい)」
   笛=栗林祐輔、小鼓=田邊恭資、
   大鼓=大倉栄太郎
狂言「楽阿弥」(和泉流)
   シテ(楽阿弥)=野村万蔵、ワキ(旅僧)=野村万禄、
   アイ(所の者)=野村万之丞
   囃子方 笛=栗林祐輔、小鼓=田邊恭資、
       大鼓=大倉栄太郎
   地謡=野村 萬、
      山下浩一郎、小笠原匡、能村晶人、上杉啓太
復曲狂言「竹松」(井関義久=台本、羽田昶=演出)
   シテ(山立)=茂山七五三、
   アド(主)=茂山 茂、(竹松)茂山逸平、
     (伯父)=丸石やすし  後見=鈴木 実

「居杭」。少年・居杭には、なにかと世話になる人が
いるが、その人が、やたらと自分の頭をたたくのが迷
惑。清水様に請願して、ある頭巾を手に入れる。これ
を被ると姿が消えて・・

姿の見えなくなった居杭を心配する何某は、占い師・
算置に卦をたてさせるのだが、調子に乗った居杭は、
ふたりを揶揄うことに・・

可愛いからちょっかいを出したくなる何某・・その気
持ちも分かるけれど、坊やには迷惑、というのもよく
わかる。

居杭役の大藏康誠くんは、2008年生れ。父、祖父と
三代そろっての舞台は、新春らしく縁起良く。

「黄鐘早舞」。黄鐘というのは、日本古来の音律の名
称。早舞は、能の舞の一種で、謡を伴わず楽器のみで
舞われる、貴人の霊などのテンポの速い爽快な舞・・
だそうだ。

そして、普通はより高い調子の伴奏だが、少し低めの
この黄鐘で舞う場合もある・・「錦木」「松虫」など
・・と、プログラムには書いてありました。

「楽阿弥」。大蔵流にもある演目とのことだが、見る
のはお初。以前に見た「通圓」と同じように、能の形
式に則った曲。

伊勢詣りの旅の僧が、伊勢国別峰というところで、一
本の松に多くの尺八が掛けてあるのを見る。

自身、尺八を吹くのが好きな僧が、気になって土地の
者に問うと、「かつて尺八を吹きに吹いて吹き死にし
た者があり、その供養のためです」とのこと。

僧もまた、供養のためにと、持参の尺八を吹く・・

僧の吹く尺八を聞いて、そのかつての尺八吹き・楽阿
弥の霊が現れて、ふたりのつれ吹きに・・・この尺八
の音色を、楽器ではなく“セリフ”でやってしまうのが、
狂言らしいところ。

「トラ、フラリフ、リ、トラ、フラフリロ、フウ」

楽阿弥はやがて自らの最期を語る・・尺八を吹いて門
付けをしていたが、あまりにしつこくしすぎたため、
土地の者に嫌われてしまった・・・と。

この最期はあまりにも悲しすぎる。人々にせがまれて
茶を立て続けた通圓とはえらい違いだ。

「竹松」。現存最古の狂言台本「天正狂言本」に概略
のみ伝わる曲を、平成元年に復曲、その後の再演を経
て、今回が3回目の上演とのこと。

祭りの山鉾の趣向に、能を演じようとする主人が、召
使の女・竹松に、伯父のところまで能の道具一式を借
りにやる。
その帰り道、山賊に出くわしてしまった竹松は・・・?

能を舞うと言う主人が、実はさっぱり下手くそらしい
のに、山賊の方はかつては山鉾で実際に能を舞った経
験者。

そして、おとなしく荷物を差し出した竹松が、実は、
女に似合わぬほどの剛の者。

この逆転の構図は、いかにも狂言らしい。

だけど、よくある“わわしい女”ではない、しとやかな
タイプなのに、実はとっても力強い、という竹松は、
あまり狂言らしからぬ存在かもしれない。

そして、この竹松をスリムな逸平さんが演じたという
のも意外性あり・・大柄な千五郎師だったら、山賊も
最初から近寄らないかも?・・・(ごめん!)
posted by JTm at 14:12| 狂言 | 更新情報をチェックする