2019年05月25日

2019.5.24 国立能楽堂狂言の会

2019.5.24 国立能楽堂狂言の会 -家・世代を越えて-

演目
素囃子「神舞」
   笛=小野寺竜一、小鼓=森 貴史、
   大鼓=大倉栄次郎、太鼓=大川典良
狂言「末広かり」(和泉流)
   シテ(果報者)=野村 萬、
   アド(太郎冠者)=野口隆行、小アド(すっぱ)=佐藤友彦
   囃子方 笛=小野寺竜一、小鼓=森 貴史、
           大鼓=大倉栄次郎、太鼓=大川典良
  (休  憩)
狂言「二人袴」(大蔵流)
   シテ(親)=山本東次郎、アド(舅)=山本則俊、
   アド(太郎冠者)=大藏教義、アド(聟)=大藏基誠
狂言「蝸牛」(和泉流)
   シテ(太郎冠者)=野村万作、
   アド(山伏)=井上松次郎、小アド(主)=奥津健太郎
   囃子方 笛=小野寺竜一、小鼓=森 貴史、大鼓=大倉栄次郎
   
国立能楽堂の狂言の会、春はいつも三人の人間国宝と、
同流でも他家の若手の競演で。今回の演目は、かなり
ポピュラーで分かりやすいものが並んだ。

「末広かり」。「附子」と並んで教科書にも出ている
(らしい)有名な曲。これを御年89歳の萬師が演じる
のだから、落語で言えば、大真打が前座噺を演じるよ
うなものか。

騙されたとはいえ、扇と傘を間違える太郎冠者はとん
だ与太郎だけれど、これ、言ってみれば“催眠商法”み
たいな感じかな?

太郎冠者の必死の?囃子ものに、浮かれて身体が動き
出してしまう主人が、なんとも可愛らしい。

「二人袴」。小柄な東次郎師の親に、背の高い基誠師
の息子(聟)という組み合わせが、まず秀逸。

そして、この大きな息子が、「聟入りなんてイヤ」と
駄々をこね、「弁慶の人形を買って・・犬ころも欲し
い」と言い出すのだから、ふるってる。

この場面、わたしはいつも落語「明烏」の若旦那を思
い出すなぁ。

東次郎師演じる父親は、いかにも優しそうで息子を甘
やかしている・・なるほど、だからこんなふうに育っ
ちゃったんだねと、納得した次第。

「蝸牛」。これもまた、粗忽な太郎冠者がこともあろ
うに、カタツムリと山伏を取り違えるという・・ま、
現実にはあり得ないお話。

そのあり得なさを、まったく感じず素直に笑っていら
れるのは、やはり、演者の力だろう。

山伏をカタツムリと信じた太郎冠者が、「忙しい」と
言う山伏に「他の約束を取り消してぜひともうちへ」
と言うと、「背負ってくれるなら行く」と山伏。

山伏役の松次郎師は、かなりの重量級・・万作師、つ
ぶれちゃうよ!

これもまた、家・世代を越えての共演の成果か。

そして、見慣れた大蔵流の「蝸牛」とは、結末が少し
違う・・これはわたしには新発見だった。

最後、大蔵流では主人もまた、囃子に浮かれて踊り出
すのだけれど、和泉流では主人は最後まで冷静なまま。

もっとも、主人まで浮かれるとなると、「末広かり」
に似すぎちゃうから・・これで良かったってことかな。


萬師89歳、万作師87歳、東次郎師82歳(いずれも観
劇日の満年齢)。ますますのご活躍を!
posted by JTm at 09:48| 狂言 | 更新情報をチェックする