2019年12月15日

2019.12.14 東次郎家伝十二番@横浜能楽堂

2019.12.14 東次郎家伝十二番 第九回

演目
狂言「木六駄」
 シテ(太郎冠者)=山本凛太郎、
 アド(主)=山本則秀、アド(茶屋)=山本泰太郎、
 アド(伯父)=山本則俊    後見=山本則重
  (休  憩)
狂言「米市(よねいち)」
 シテ(米市)=山本東次郎、
 アド(有徳人)=山本則孝、
 立衆(通行人)=山本則重、山本凛太郎、
       山本修三郎、寺本雅一、山本則秀
 後見=若松 隆

「木六駄」。山本家の木六駄は、他の家のそれと大きく
異なり、6頭の牛に家の普請に用いる材木を積んで行く
という設定。それも30本という大量の材木・・牛がつぶ
れちゃうんじゃ?と、心配になる。

そして、太郎冠者が休憩する峠の茶屋で、進物の酒に手
を(口を)つけてしまい、茶屋の亭主ともども大騒ぎ・・
挙句に、この30本もの材木を牛ごと茶屋に進呈して酔っ
ぱらって寝ているところへ、実は最前から茶屋の奥で休
んでいた伯父にみつかる・・。

太郎冠者も太郎冠者だが、茶屋の亭主もまた・・奥に客
がいることをすっかり忘れて、牛たちを引いて帰ってし
まうのだから。

シテの凛太郎さんは1993年生というから、26歳。20代
でこの曲を演じるのは、かなり早いのではないか。心な
しか、緊張が見て取れた。

若い太郎冠者を父の泰太郎師、大叔父の則俊師が、茶屋
と伯父役で盛り立てる。一門の絆を感じた。

「米市」。初めて見る演目。
越すに越されぬのは、大井川ばかりでなく、年の瀬とい
う"大河"もまた、貧しいものには越しがたい・・なんか、
落語の演目のような、年越しのお話だ。

貧しい米市は、毎年暮れになると親切な有徳人(お金持
ち)からいただく米で年を越している。

しかし、この暮れは、どうしてかその贈り物が届かない
・・このままでは年が越せぬと、米市は催促に・・。

催促と言っても、当然のこととして要求出来るものでは
ない・・やんわりと、下手に出て・・ま、おねだりです。

なんとか、俵の半分の半分(つまり四分の一)の米と、
女房のための有徳人の妻の古着をいただいて、背負って
帰ることに。

背負った俵の上から女物の着物を掛けたので、まるで女
性を背負っているような・・・

これに目を付けたのが通行人の若者たち。なんとかこの
女性と盃をかわしたいと、米市に強談判。

米市が「真相」を明かさず、米俵を女性と見せたまま、
この若者たちに挑むのは、いったいなぜ?

人の施しを当てにしないと年越しが出来ない貧しい自分
と、いかにも良い生活をしていそうな若者たちを比べ、
威丈高なもの言いをされたことが悔しかったのだろうか。

一度は若者たちを撃退した米市だが、多勢に無勢、最後
は背負っていたのが米俵とバレて、嘲笑われることに。

それでも米市は、しっかりと俵を抱えて歩き出す。
たとえ施しの米だろうと、これで年が越せる・・という
明るい希望が芽生えているかのようだ。
posted by JTm at 08:28| 狂言 | 更新情報をチェックする