2020年01月16日

2020.1.15 国立劇場初春歌舞伎公演

2020.1.15 国立劇場初春歌舞伎公演

演目
通し狂言「菊一座令和仇討」4幕9場
   (きくいちざれいわのあだうち)
    四世鶴屋南北=作『御国入曽我中村』より
    尾上菊五郎=監修、国立劇場文芸研究会=補綴
序 幕 鎌倉金沢瀬戸明神の場
    飛石山古寺客殿の場
    六浦川堤防の場
  (休  憩)
二幕目 朝比奈切通し福寿湯の場
    鈴ヶ森の場
  (休  憩)
三幕目 下谷山崎町寺西閑心宅の場
    大音寺前三浦屋寮の場
    元の寺西閑心宅の場
  (休  憩)
大 詰 東海道三島宿敵討の場
 (配役)幡随院長兵衛、寺西閑心実ハ蒲冠者範頼=尾上菊五郎、
     笹野権三=尾上松緑、白井権八=尾上菊之助、
     源頼家=尾上左近、八重梅=尾上右近、
     おさい=中村梅枝、三日月おせん、政子御前=中村時蔵、
     茶道順斎、湯屋番頭=市村橘太郎、
     同宿残月、さぼてんの源六、和田義盛=片岡亀蔵、
     笹野三太夫、大江広元=市川團蔵    外

国立劇場の初芝居は、毎年、凧に彩られる。
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今年は、新元号最初の新年なので、もう一枚。
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正月ももう半分すぎたけれど、いざ、初芝居へ。

プログラムの解説によれば、正月には曽我ものが上演
されるのが恒例だったそうで、今回はその伝統を活か
して、大南北作の『御国入曽我中村』から・・ただし、
改訂の段階で、曽我兄弟は姿を消し、権三・権八に、
その“気持ち”のみ託したようだ。

序幕の冒頭は、曽我ものらしく鎌倉の神社で幕開け。
中央に将軍・頼朝の名代として、息子の頼家が座り、
執権・大江広元の嫡子、千島之助が父の後継者とし
て挨拶に出る。

しかし、大江の庶子である志摩五郎はこれに反発、大
江家では、家督相続の条件となる「陰陽の判」を紛失
していることを暴露する。

頼家が千島之助に、その家宝の捜索を命じたところへ、
一羽の鶴が鷹に追われて来るが、放たれた二本の矢が、
見事、この鷹を落として、鶴を救う。

ここで今回のW主役、権三と権八の登場・・両花道か
らの登場は、なんとも颯爽としてカッコいい。
ちなみに、演じている松緑・菊之助両丈は、今のわた
しのいちばんの御贔屓・・嬉しい配役です。

その後は、破れ寺での化物退治・・・実は権三と権八
を慕う娘たちの仕業なのだが・・考え方によっては、
こっちの方が化物よりも怖いかも?

さらに、六浦川では、両人の養父が志摩五郎の悪事に
加担していることが明らかとなり、ふたりは互いの養
父を手に掛けることに。・・お互いの父の仇となって
しまって、斬り合いとなるところを、幡随院長兵衛が
仲裁・・・あー、もう、時代背景メチャクチャ。

一方、大江家の家宝は志摩五郎の配下が盗み出してい
る。この男は湯屋の三助として働き、そこへ客として
来た志摩五郎にこれを手渡す・・が、三日月おせんの
色香に迷った志摩五郎、鼻の下を伸ばすうちに、まん
まと板の間稼ぎにやられてしまう。

この湯屋の場面、壁に落語や講談の“ポスター”がいっ
ぱい貼られていて、ついつい、そちらに目が行く。
そして、タピオカドリンクやケロリンの?桶なども登
場して、毎度、菊一座の正月芝居は、やりたい放題。

さて、殺しの罪で追われるふたりのうち、権八はつい
に鈴ヶ森で処刑・・を危機一髪逃れて、名医と言われ
る寺西閑心の家に匿われ・・権三と再会。

この閑心、親切なのか腹黒いのか今ひとつわからない。
そして、家宝を手にした三日月おせんは、この閑心の
女房だった。

ドタバタの挙句、権八は女と間違われて、廓に売られ
てしまい、権三はその身代金百両を手に入れる。
また、この間に、権三・権八のふたりが、ともに同じ
肌守りを持っていることが判明・・さて、その意味は?

廓に売られても、まさか客を取る訳にはいかず、権八
こと小紫花魁は、病気と称して寮に籠りきり・・そこ
へ権八を見初めた今市屋という商人が探し求める家宝
を持って現れる。

これ幸いと盗んで逃げる権八、妹のおさいとも再会す
るが、鈴ヶ森で受けた傷が悪化して、ようやく閑心の
家に逃げ込む・・と、こちらでも、権三の傷が悪化・・

医師閑心は、実は将軍頼朝の弟・範頼で、秘かに天下
を狙い、大江家の家宝も、実は権八が手に入れたのは
偽物、本物は閑心が持っているという。傷の手当にと
飲ませた薬も、実は毒薬・・・

勝ち誇った閑心=範頼は、三日月おせんに後を託して
悠々と引き上げるが・・おせんは・・

あー・・もう、実は実はばかりで、メチャクチャやや
こしい。

おせんは、実は範頼に殺された佐々木秀義の娘であり、
権三・権八と同じ肌守りを持つ・・三人はきょうだい
だったのだ。

という訳で、おせんは仇に身を許した自分を恥じて自
害し、弟ふたりに、飲めばたちどころに本復する妙薬
を与える・・そんな薬、あったらいいよなぁ。

で、ようやく、大団円、仇討の場面に到達・・という
物語です。

先に、ややこしいと書いたけれど、おそらく、南北の
原作は、もっとややこしくてごちゃごちゃしているに
違いない。それをここまでスッキリさせて、しかも元
の意外性を損なわない改訂、補綴は、なかなかお見事
ではある。

そして、国立では8年ぶりという両花道を上手く使っ
た演出も面白かった。

特に、大詰の立ち回り、両花道の七三で、ふたりの主
役が、得物は刀と槍という違いがあるものの、見事に
シンクロした動きを見せるのが素晴らしい。

この派手な立ち回りは、若いふたりを主役に据えた賜
物であり、立師の山崎咲十郎師、花四天を務めた三階
さんたち全員の力の結集だと思う。

11月の「髪結新三」では年齢を感じさせない若々しさ
を見せた菊五郎丈が、今回は、動きは少ないものの、
堂々たる大物悪役で貫録を見せつけた・・弥太五郎源
七のセリフではないが、「貫目が違う」のである。
posted by JTm at 13:54| 芝居 | 更新情報をチェックする

2020年01月15日

2020.1.14 日本演芸若手研精会@日本橋社会教育会館

2020.1.14 日本演芸若手研精会

演目
三遊亭歌つを       牛ほめ
桂 宮治         権助魚
柳亭市童         洒落小町
三遊亭わん丈       矢橋船(やばせぶね)
  (仲 入 り)
春風亭正太郎       四段目
入船亭小辰        富久
        (三味線:井上りち)

新年最初の研精会。顔付もよく、お客さんの出足
がいつもよりずっと早い。最終的にほとんど満席
・・・空席以外は。

歌つを「牛ほめ」。与太郎が最初から口上の暗記
を諦めて、お父っつぁんが書いてくれた原稿を読
み上げる・・奇妙なイントネーションが愉快。

宮治「権助魚」。体調が悪いと言いながら、噺に
入ったら、いったいどこが?と思うような、いつ
ものパワフル宮治さん。
権助は、カルロス・ゴーンスケで、音響の箱から
登場した。

市童「洒落小町」。亭主の心をつなぎ留めるため
に?駄洒落連発のお松さん。先日見た狂言「酢薑」
にも共通するような。

いろいろと現代的要素を取り込んでいたのは、さ
すがに今どきの若者って感じ。前の宮治さんに、
影響された?

わん丈「矢橋船」。上方落語の東の旅の一話。わ
ん丈さんの故郷、滋賀の噺・・だから習ったのか
な。ネタ元は笑福亭たま師だそうで。

琵琶湖を渡る船の、にぎやかな乗船風景。言葉遊
びあり、奇妙な物での酒盛りあり・・挙句にとん
でもない事態が発生。馬鹿らしくておかしくて、
少々呆れます。

仲入り休憩でのチケット販売も好調で、手持ち完
売に。研精会ファンは好景気。

そして後半は、前半とガラッと変わって、本寸法
の古典落語へ。

正太郎「四段目」。2018年の暮れに赤坂の会で聞
いて以来。なんか、四段目自体を近頃あまり聞か
ないなぁ。

正太郎さん、歌舞伎がお好きなようで・・そういえ
ば師匠の正朝師を、国立の歌舞伎でお見かけしたっ
け。・・師匠譲りなのかな。

ただ、さだ吉の芝居ぶりは、あまり上手くなりすぎ
ずに、あくまで小僧が真似しているかたちを崩さず。

ちょっと気になったのは、蔵に入れられたさだ吉が、
外を覗くのに両手で格子をつかむ仕草を見せたこと。
・・これ、どうなんでしょう?・・細い扉の隙間か
ら目だけ覗かせる演者が多いように思うのだが。

小辰「富久」。小辰さんのこの噺は2016年以来で、
本当に久しぶり。そして富久自体も昨年は遭遇せず・・
大河ドラマ「いだてん」でちらっと聞いたけれど。

あまりに久しぶりなので、どこがどう変わったのか、
あるいは変わってないのか、まったくわからない。
帳付けをする久蔵が、「ナンゴの目刺し」を肴にす
るところを見ると、ネタ元はあの師匠?と思わない
でもないのだが・・未確認。

そんな詮索は置いといて、久蔵と一緒に喜んだり、
悲しんだり、怒ったり、笑ったり・・なかなかに忙
しい、初春の研精会でした。
posted by JTm at 09:08| 落語 | 更新情報をチェックする

2020年01月14日

2020.1.13 東次郎家伝十二番@横浜能楽堂

2020.1.13 東次郎家伝十二番 第十回

演目
狂言「麻生」
 シテ(麻生の何某)=山本東次郎
 アド(頭六)=山本則重、アド(下六)=山本則秀、
 アド(烏帽子屋)=山本修三郎、   後見=山本則俊
 囃子方 笛=杉 信太朗、小鼓=幸 正昭、
     大鼓=亀井洋佑、太鼓=林 雄一郎
  (休  憩)
狂言「庵梅(いおりのうめ)」
 シテ(お寮)=山本泰太郎、
 立衆(女)=山本則孝、山本則重、山本凛太郎、
       寺本雅一、山本則秀
 後見=若松 隆
 囃子方 笛=杉 信太朗、小鼓=幸 正昭、
     大鼓=亀井洋佑、太鼓=林 雄一郎
 地謡=山本東次郎、山本則俊、山本修三郎

「麻生」。訴訟ごとのために長く都に滞在していた
麻生の何某は、それが片付いたのでめでたく、故郷
の信濃に帰れることに。

翌日は元日とあって、正装で挨拶をしてから出立す
ることになる。

気の利く召使が衣装を揃えてくれ、烏帽子ももう烏
帽子屋に取りに行くだけ。早速に、下六を取りにや
り、自分は頭六に烏帽子用の髷を結ってもらう。

舞台上で、この髪結を丁寧に見せるのが、いわば“目
玉”。東次郎師、そのための専用鬘をご着用。

さて、髷を結い終わっても、烏帽子屋に行った下六
が戻らない。頭六を迎えにやると・・・
なんとふたりの召使は、ふたりながらに道に迷って、
主人の家がわからなくなってしまう。

命じられもしないのに、大事な衣装を揃えたり、髷
の結い方まで習っていたりする気の利く召使なのに、
なんで、帰り路がわからなくなっちゃうかねぇ?

「庵梅」。梅の満開の庵に、ひとり住む老尼・お寮
を、歌道の弟子の女たちが訪ね、ひとりずつ、歌を
詠んでお寮の指導を仰ぎ、皆で酒を呑んで謡を謡い、
舞を舞う・・ただそれだけの物語。

うーん、少し、予習しておくんだった・・と思った
けれど、あとの祭り。
・・途中で、見事に意識喪失。終わりの拍手でよう
やく覚醒という・・今日もまたナサケナイ一日になっ
てしまった。無念。
posted by JTm at 10:23| 狂言 | 更新情報をチェックする