2020年01月17日

2020.1.16 桂吉坊・春風亭一之輔二人会@日本橋劇場

2020.1.16 第11回 桂吉坊・春風亭一之輔二人会

演目
三遊亭歌つを      牛ほめ
春風亭一之輔      短命(終演後の貼り出しは「長命」)
桂 吉坊        帯久
  (仲 入 り)
桂 吉坊        七福神
春風亭一之輔      浜野矩随(はまののりゆき)
         (三味線:???)

不定期開催のこの会も、11回目となり、お客さんが
どんどん増えている感じ・・二階席もかなりの入り。

歌つを「牛ほめ」。前々日に続き・・なので、ごめ
んなさい、休憩しました。

一之輔「短命」。繰り返し聞いた噺だけれど、聞く
たびに、“新しい何か”が、追加されているようだ・・
だから聞くたびに、いつでもどこでも大笑いしてし
まう。・・今回、羽織を脱ぐタイミング、お見事!

吉坊「帯久」。今回のネタ出し。かなり以前に志の
輔師で聞いた記憶があるが、その後、遭遇せず。
前回も長かったけれど、今回はなんと1時間超の大
長講。

大坂・瓦屋町で、ともに呉服商を営む、和泉屋と帯
屋。繁盛する和泉屋に対し、帯屋の方はパッとしな
い。帯屋が商売の資金を借りに来ると、和泉屋の主
人は、無利息無証文で貸してやる。

帯屋の方も、信頼に応えてきちんきちんと返してい
たが、ある大晦日、返しに来たはずの百両の大金を、
ひょんなことから持ち逃げしてしまう。

ここからふたつの店の運命は逆転。想定外の資金を
得た帯屋は、思い切った商売で大繁盛、一方、和泉
屋の方は、娘と妻に先立たれ、奉公人には裏切られ、
さらには火事でまる焼けに。

別家していた元の奉公人のところに居候、自身も病
の身となった和泉屋の主人・与兵衛・・10年の歳月
を経て、ようやく、健康を取り戻す。

自分の面倒を見てくれた別家(と言っても商売に失
敗して没落している)の武兵衛に、もう一度和泉屋
の暖簾をあげさせたいと、与兵衛は帯屋に借金を頼
むが・・・

調べたところ、元は講釈ネタらしい。講釈では大岡
政談とのことだから、もともとは江戸の話なのか・・
と言っても、落語としては上方落語のイメージが強い。

笑いのない噺を、1時間、ダレさせずに語る吉坊師
の話術の巧みさに脱帽・・だけど、これだけひっぱっ
て、あの馬鹿馬鹿しいオチとは・・なんとも、落語
らしいなぁ。

吉坊「七福神」。帯久が長すぎて、「わたしの持ち
時間はあと5分」と。まさかねぇ・・と思ったら、
本当に5分・・正月らしい小噺で。

主人公が思い出せなかったあとの一福は、布袋様です。

一之輔「浜野矩随」。今回のネタ出し。
こちらも釈ネタだが、落語でもよく演じられている
ようだ。今までにさん喬師、談四楼師、甚語楼師等
で聞いた記憶がある。

根付などを彫る腰元彫りの名人・浜野矩康の息子、
矩随は、父の仕事を継いだもののさっぱりと芽が出
ない。道具屋の若狭屋は、矩康への恩返しという気
持ちもあって、そんな矩随の面倒を見ている。

しかし、ある時、酔った勢いで、若狭屋は矩随を厳
しく叱責・・出入りを禁じてしまう。

家に帰った矩随は、絶望のあまり死を覚悟して、母
に打ち明ける・・と、母は「そうだね、死んだ方が
良いね・・でもその前に、わたしに形見を・・観音
様を彫っておくれ」。

死を覚悟した矩随が、素晴らしい観音像を彫り上げ
る・・という結末は、推して知るべし。

最後、母が自害を試みて、本当に死んでしまう場合
と、間一髪助かる場合、二通りの結末があるが、一
之輔版は、母が死んでしまうかたちだった。

後味悪いはずの結末なのに、不思議と気にならず、
カラッと明るい雰囲気・・これは、一朝師匠のDN
Aだよなぁ・・と思いつつ聞く。

感心したのは、父の矩康は観音像を彫らなかったと
いう設定。父の作の真似ではなく、矩随自身の作を
母は彫らせたかったのだ。

そしてもうひとつ、心休まる河童狸の存在。矩随の
失敗作ではあるけれど、見る人を皆、笑顔にしてし
まう作・・そこに、矩随の秘めたる実力が垣間見え
る・・・のではないか?
posted by JTm at 10:31| 落語 | 更新情報をチェックする