2018年01月11日

2018.1.7 新春天空狂言@大槻能楽堂

2018.1.7 新春天空狂言 第一部・第二部

第一部演目
「舞初式(まいぞめしき)」
     茂山千五郎、茂山七五三、茂山あきら、茂山千三郎、
     茂山宗彦、茂山 茂、茂山逸平、茂山童司
新春トーク    茂山宗彦
  (休   憩)
狂言「縄綯(なわない)」
     太郎冠者=茂山千作、主人=千五郎、
     何某=あきら   後見=島田洋海
狂言「髭櫓(ひげやぐら)」
     男=七五三、女房=茂、近所の男=丸石やすし、
     女房たち=宗彦、逸平、童司、増田浩紀
     地謡=千三郎、島田、鈴木 実、山下守之  後見=あきら
附祝言「猿唄」  茂山千三郎、島田洋海、鈴木 実、山下守之

第二部演目
新春トーク   茂山童司
狂言「犬山伏(いぬやまぶし)」
     山伏=茂山千三郎、僧=茂山あきら、
     茶屋=茂山七五三、犬=島田洋海  後見=鈴木 実
  (休   憩)
「那須の語(なすのかたり)」  茂山逸平
狂言「首引(くびひき)」
     親鬼=茂山千五郎、鎮西ゆかりの者=茂山宗彦、姫鬼=童司、
     眷属鬼=茂山 茂、島田、増田浩紀、丸石やすし  後見=あきら
附祝言「猿唄」  茂山あきら

昨年までの会場だった大阪能楽会館が、年末で
閉館となったそうで、今回から会場も日程も変
更になった。

おかげで、行きたいと思いつついつも休館だっ
た、大阪市立東洋陶磁美術館を見ることが出来
たが・・・なかなか忙しい。

開場5分前に着いたら、もう、待ってる人多数。
三が日よりその後の連休の方が、出かけやすい
という人が多いのかな。

「舞初式」。ここ数年の恒例だが、今回は、千
作師に替り、新・当主、千五郎さんが「鎧」を
謡う。名実ともに世代交代。

宗彦さんのトークは、いつもながら軽妙に。休
憩時間には、舞台に掛けられていた三柱の神様
の名を書いた掛軸を、苦労して?外すパフォー
マンス?まで披露。
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「縄綯」。博打の借金のかたに、何某に譲られ
てしまった太郎冠者、もとの主人のもとに帰り
たくて、まったく仕事をしない。

呆れかえった何某は、やはり金で返せと催促。
困った主人は太郎冠者をいったん戻し、仕事を
させるから・・・と。

こんな薄情な主人なのに、太郎冠者はなぜ、そ
んなに慕うのか・・と、現代感覚では思えてし
まうのだが。

太郎冠者にとってこの主人は、子どものころか
ら面倒をみて来た、息子のような存在なのかも
しれない・・って、演じているのは本当の親子
だけれど。

「鬚櫓」。髭自慢の男が、その髭のおかげで、
宮中の行事の大役を仰せつかる。しかし、名誉
職なので準備にかかる費用はすべて持ち出し・
・・と、聞いた女房は、怒り心頭。

そんなものは断って!というのだが、男は聞か
ず、女房を打擲。

ここで、黙って泣き寝入りなんかしないのが、
狂言の女房・・・仲間を募って、総攻撃に・・・

名誉な仕事だと、採算など度外視して喜ぶ男と、
あくまで実生活を基本に考える女・・・なんか
今でもよくありそうなシチュエーション。

ちょっと違うかもしれないが、昔TVで見た、
ソフィア・ローレンの映画を思い出した。
(『昨日・今日・明日』デ・シーカ監督、1963)

地謡の4人がそのまま残って、「猿唄」で終演。

合間に、今夜のお宿にチェックイン。市営地下
鉄一日乗車券・エンジョイエコカードが大活躍。

第二部は、童司さんのトークから。
お母上の、七草のゆで汁に爪をひたすという習
慣について話してくれた・・・会場の全員?が、
ポカーンだったけれど、これ、「七種爪(なな
くさづめ)」という邪気を払う習慣だそう。

知らなかったなぁ!

「犬山伏」。今年の干支にちなんだ演目。茶屋
で鉢合わせした僧と山伏が、経と呪文で、人喰
犬(!)を懐かせる技を競う。

実は、これ、傲慢な山伏を懲らしめようと、茶
屋の亭主が仕組んだこと。僧には、こっそりと、
トラという言葉のある経を読むように言う。

犬の名は、トラというのだ。

この「トラヤートラヤー」と繰り返されるお経
が本当にあるというのは、以前に調べて分かっ
たこと・・・「大悲心陀羅尼」という、禅宗で
よく読まれる経だそうだ。

「那須の語」。能「屋島」の替間(かえあい)
を独立して演じるもので、内容は、お馴染み、
那須与一扇の的の一件である。

普通、能の中で狂言師が務める間は、立ったま
まの語りであることが多いが、この那須の語は、
仕方話・・3人の人物を、居所を変えつつ語り
分ける・・というのは、今回、童司さんの冒頭
の解説で初めて知った。

今まで何度も見てるのに・・我ながらナサケナイ。

「首引」。鎮西にゆかりの者(というが、鎮西
八郎為朝と解釈してよい、というのが、童司さ
んの解説)が、播磨の印南野(現加古川市)を
通りかかり、鬼と出くわす。

鬼は、娘の姫鬼に、「人間の喰い初め」をさせ
ようと考えるが、さすがに豪胆な鎮西八郎、力
比べで負けたら、潔く喰われようと、交換条件
を持ち出す。

姫鬼はしかし、このイイ男に一目ぼれ・・さて
勝負の結果は?

何度も何度も、「イイ男」と言われる役・・宗
彦さん、とっても楽しそうですねぇ。

力比べ三種は、腕押し、脛押し、首引。腕押し
は今でいう腕相撲のようだ。

首引は、互いの首に帯を掛けて引き合う勝負・・
確か、鳥獣戯画の中にも描かれていたはず。
・・・狂言の歴史の長さを感じるねぇ。


この大槻能楽堂は、毎年、能の公演で舞台開き
をするそうで、天空狂言の三が日の開催はもう
無理のようだ。・・ちと残念ではある。

でも、やっぱり、これがないと春が来たような
気がしないよな。
posted by JTm at 14:07| 狂言 | 更新情報をチェックする