2018年05月13日

2018.5.12 国立能楽堂普及公演

2018.5.12 国立能楽堂普及公演

演目
解説・能楽あんない
  「足摺する俊寛、しない俊寛」
    佐伯真一(青山学院大学文学部教授)
狂言「茶壺」(大蔵流)
    シテ(すっぱ)=茂山宗彦、アド(中国方の者)=茂山 茂、
    アド(目代)=網谷正美、      後見=山下守之
  (休   憩)
能「俊寛」(金剛流)
    シテ(俊寛僧都)=宇高通成、
    ツレ(平判官康頼)=豊嶋晃嗣、(丹波少将成経)=宇高徳成、
    ワキ(赦免使)=福王和幸、アイ(船頭)=茂山千三郎
    囃子方 笛=槻宅 聡、小鼓=後藤嘉津幸、大鼓=大倉正之助
    後見=松野恭憲、豊嶋幸洋
    地謡=遠藤勝實、山田純夫、見越文夫、金剛龍謹、
       元吉正巳、種田道一、工藤 寛、宇高竜成

解説の「足摺する俊寛」は、平家物語の中に、ひと
り島に取り残された俊寛が、「幼き者の乳母や母な
どをしたふように」足摺をするという描写があるこ
とから。

佐伯先生、この俊寛の動作を実演付きで解説。この
時の俊寛は、学識高い僧でも、奢る平氏に一矢を報
いようとした英雄でもなく、ただひとり、孤島に取
り残されて、子どものように心細い弱い人間である
ことを示した。

そして、この意外なくらい透明な俊寛の姿ゆえに、
後世の作者による「それぞれの俊寛」が生まれた
・・・という、ま、そんなお話だったかと。

狂言「茶壺」。京の栂尾の茶を買い付けて、茶壺を
背負った中国方の者、兵庫の小夜野の宿の遊女の誘
いに乗って、したたかに酔い、道端に寝てしまう。

ふっと目が覚めると、外した肩掛けの一方を肩に、
隣で寝ている男がいる。

「俺のだ!」「いや、俺のだ!」と茶壺を奪い合う
ふたり・・・そこへ、目代(代官)が、仲裁に登場、
それぞれの言い分を聞くが・・・?

すっぱが秘かに相手の説明を盗み見て、そっくり真
似をする動きが愉快。こういう、お調子者の役、宗
彦さん、ホントによく似合うんだよな・・・

でも、今回は、目代の方が上手(うわて)だった。
「奪い合う物は中(仲裁人)から取る」と、ちゃっ
かり漁夫の利。

能「俊寛」。歌舞伎や文楽で見た「平家女護島」の
俊寛とは違うんだなー・・というのは、プログラム
の解説を見たので、分かってはいた。

しかし、地味ーな装束の男三人が、ただただ語り合
うだけ・・という前半は、やはりどうしても、ドラ
マチックな盛り上がりとは無縁だ。

そこに赦免使が到着し、一瞬、三人の心が浮き立つ。

しかし、赦免状に書かれた名はふたつだけ・・・
残される俊寛はもちろん、赦されるふたりだって、
決して素直には喜べない。

場の雰囲気は、また、たちまち暗ーくなってしまう。

という訳で、今回も、動きのほとんどない、謡だけ
での物語進行・・・これ、結構、厳しいです。

最後の最後に退場する俊寛は、両手を顔の前に斜め
に構える、泣きのポーズ(シオル、と言う)のまま、
長い橋掛を進んで行く。

ここに至ってようやく、ひとり取り残された俊寛の
孤独さ、寂しさが、胸に迫って感じられたのだが・・
・・・遅いよねぇ。ホント、情けない。
posted by JTm at 08:32| | 更新情報をチェックする