2018年09月21日

2018.9.20 人形浄瑠璃9月文楽公演@国立小劇場

2018.9.20 人形浄瑠璃9月文楽公演 第二部

演目
「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」
  住吉鳥居前の段(野澤松之輔=補曲)
   太夫=(口)竹本小住太夫、(奥)豊竹睦太夫
   三味線=(口)鶴澤寛太郎、(奥)野澤勝平
  (休   憩)
  内本町道具屋の段(野澤松之輔=補曲)
   太夫=(口)豊竹亘太夫、(奥)竹本三輪太夫
   三味線=(口)鶴澤清公、(奥)竹澤宗助
  道行妹背の走書(竹澤團七=作曲)
   太夫 磯之丞=竹本織太夫、お中=豊竹芳穂太夫、
      三婦=竹本文字栄太夫、伝八=竹本南都太夫
   三味線=竹澤團吾、鶴澤清𠀋、野澤錦吾、鶴澤燕二郎 
  (休   憩)
  釣船三婦内の段
   太夫=(口)豊竹咲寿太夫、(奥)豊竹呂勢太夫
   三味線=(口)鶴澤友之助、(奥)鶴澤清治
  長町裏の段
   太夫 団七=竹本織太夫、義平次=竹本三輪太夫
   三味線=鶴澤清志郎
  (休   憩)
  田島町団七内の段
   太夫=竹本文字久太夫、(アト)豊竹希太夫
   三味線=鶴澤清介、(アト)=鶴澤清𠀋
   人形役割(各段共通)
    団七=桐竹勘十郎、義平次=吉田玉男、
    徳兵衛=吉田文司、三婦=吉田玉也、お辰=吉田蓑助、
    お梶=豊松清十郎、おつぎ=桐竹勘壽  外
   囃子(各段とも) 望月太明藏社中

「夏祭浪花鑑」は、割りによく掛かる演目である。なにしろ、
見ていてカッコイイし、物語も分かりやすい。しかし、今ま
で、文楽でも歌舞伎でも、長町裏の殺しの場面までしか見た
ことがないので、今回はそれを楽しみにしていた。

冒頭の鳥居前では、喧嘩で入牢していた団七が釈放されるこ
とになり、女房のお梶と倅、そして男伊達仲間?の釣船三婦
が迎えに来る。

そこに、団七等の主筋の若様・磯之丞、その恋人・琴浦と彼
女に横恋慕する佐賀右衛門、それに雇われた一寸徳兵衛・・
と、ほとんどの登場人物が次々に登場。

要するにここは、人物紹介場面で、見どころとしては、牢内
でのみすぼらしい姿から、スカッといなせな男に変わる、団
七のかたちの変化・・かな。

この磯之丞という若様、傾城琴浦に入れあげて勘当となり、
母に仕えていたことのあるお梶を頼って大坂にやって来た。
団七夫婦は、ひとまず、磯之丞を町人の清七の姿に変え、内
本町の道具屋の手代に住み込ませる。(内本町道具屋の段)

ここで呆れるのは、この若様、トンデモな放蕩者で、住み込
み先の娘・お中と、とっとといい仲になっている。

ったく、こんなろくでもないヤツのために、団七たちは、色々
と苦労をするのかよー・・・と、釈然としない気分。

次の道行の場面は、お初。お中に惚れている番頭・伝八の悪
巧みで、店の金を騙し取られた上に、その恨みから人殺しま
でしてしまった磯之丞は、お中に言われるままに逃げる。

これを追う伝八。お中は、言葉巧みに伝八を騙して、首を吊
らせてしまう・・・

次の三婦内の段では、なんと、磯之丞の殺人の罪を、死んだ
伝八にかぶせようとの画策がなされており、磯之丞は、恋人・
琴浦と再会して痴話喧嘩の最中。お中はというと、無事?親
元に返された・・らしい。(よく納得したものだ)

正直、この展開には、呆れるばかり。このお話、あんまり、
イイ奴は出て来ないゾ・・・でも、カッコイイけど。

ここの見せ場は、一寸徳兵衛の女房・お辰の場面。
故郷の備中(磯之丞の親元でもある)に帰るお辰に、磯之丞
の同行を頼む、三婦の女房・おつぎ。しかし、三婦はこれを
止める・・「お前のような美しい女とは同道させられない」
・・・そうだよねぇ、あの、浮気者の若様じゃ。

いったん引き受けたものを、今さら止められないと、お辰は
その美しい顔に、真っ赤に焼けた鉄串を押し付ける・・・

お辰を遣う蓑助師、ほんの小さな何気ない仕草にも、このお
辰という女の性格が現されているよう・・本当に“生身”のお
辰が、そこに居る。

磯之丞とお辰が旅立ち、琴浦には、団七から頼まれたという
舅の義平次が迎えに来る。何も知らないおつぎは、琴浦を義
平次に渡すが・・・

実は、これは真っ赤な嘘。義平次は佐賀右衛門に金で頼まれ
て、琴浦をさらいに来たのだった。

追いかける団七・・そして、物語は、長町裏の殺しの段へ。

いやー・・・すごい迫力だった。
団七を遣う勘十郎師、義平次の玉男師、共に大熱演で、はっ
と気づくと、息するのを忘れてた・・・。

そして、団七を語った織太夫師、舅への怒りを必死で押さえ
ている前半と、額を割られたことに気づいての「こりゃ、こ
れ、男の生き面を!」以降の“爆発”への転換が、実に鮮やか。

そして、初見の団七内・・・ところが、なんと、前の場面で
息を詰めすぎたせいか、急激な睡魔に襲われてしまった・・。

どうやら、団七が義平次を殺したことは、まだ明らかになっ
ていないようだが、三婦や徳兵衛等の仲間たち、そして女房
のお梶(義平次の実娘)も、うすうす察しているらしい。

徳兵衛は、団七に本当のことを打ち明けて貰いたい、その上
で、団七を助けたいと思っているが、団七はかたくなに口を
閉じている。

一計を案じて、徳兵衛がお梶との不義を装い、団七に去り状
を書かせる・・・団七の“親殺し”が露見すれば、女房・子も、
連座で裁かれる。それを避けようとしてのことである。

やがて、殺しの目撃者が現れて、役人が団七を捕縛に来る。
徳兵衛は、なんとか団七を逃がそうと、自ら、捕縛を申し出
る・・・

大詰は、団七と徳兵衛の屋根の上での立ち回り。八犬伝の芳
流閣みたいだな・・などと思いつつ見ていた。

怪我の療養でしばらく休演していた、文字久太夫師が、この
段のほとんどの長丁場を語り、東京での復帰後初登場を飾っ
てくれたのは、非常に嬉しいことだった。

この日の募金活動。
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 ↑ 開演前            ↑ 長い休憩の時
posted by JTm at 10:15| 文楽 | 更新情報をチェックする