2018年11月11日

2018.11.10 国立能楽堂普及公演

2018.11.10 国立能楽堂普及公演

演目
解説・能楽あんない
  「橋姫伝説、鬼、呪術」  林 望(作家・書誌学者)
狂言「梟山伏(ふくろうやまぶし)」(和泉流)
   シテ(山伏)=井上松次郎、
   アド(兄)=鹿島俊裕、(弟)=今枝郁雄
  (休   憩)
能「鉄輪(かなわ)-早鼓之伝」(観世流)
   シテ(前・女、後・女の生霊)=観世恭秀、
   ワキ(安倍晴明)=舘田善博、ワキツレ(男)=野口啄弘、
   アイ(社人)=佐藤友彦
   囃子方 笛=寺井宏明、小鼓=幸清次郎、
       大鼓=柿原崇志、太鼓=梶谷英樹
   後見=寺井 榮、清水義也
   地謡=木月章行、津田和忠、武田祥照、中島志津夫、
      坂井音晴、坂井音重、坂井音隆、関根知孝

丑の刻詣の“原型”とも言える「鉄輪」という演目が出る
というのに、なぜか、女子中高生の団体が・・・確かに
初心者にもわかりやすい演目ではあるけれど。

というわけで、リンボウ先生の解説は、「鉄輪」の物語
を、噛み砕いてわかりやすく。中高生からは程遠い当方
も、おおいに助かった。

まずは狂言「梟山伏」。今回は和泉流だが、大蔵流では
「梟」という題で何度か見ている。

山へ行った弟が、病?に倒れ、兄は山伏に祈祷を依頼す
る。山伏の見立てでは、山で梟の巣を取り下ろしたため、
梟が取り憑いた・・で、早速に梟の嫌うカラスの印を結
んで呪文を唱えるが・・・

後半になると、セリフは「ポーッ!」だけ。客席の女子
中高生たちに大ウケ・・・なんか、いつもより余分に鳴
いてたんじゃない?

そんなのんきな狂言から一変して、いよいよおどろおど
ろしい「鉄輪」へ。

夫に新しい妻が出来たために離縁された女が、夫と後妻
を呪い殺そうと、真夜中の京の町を駆け抜けて、貴船の
山中へ。

冒頭の解説によると、女のたどる道筋は、貴船に続く本
街道ではなく、一直線に山を目指す、険しくて恐ろしい
道だとか。一刻も早く貴船に着きたい女の思いの強さ。

一方、呪われた元夫は、身体の不調を感じて、陰陽師の
安倍晴明を訪れる。

ひと目で呪いの存在を察知する晴明・・そして女の呪い
を「転じ変え」る祈祷を行うことに。

結局、女の呪いは晴明に退けられて、女は「時節を待つ
べしや、まづこの度は」と、帰って行く・・って、つま
り、まだ諦めてないのね。

後半の、女と晴明の“呪い合戦”の方に、つい、意識が向
いてしまうけれど、今回は、リンボウ先生の解説のおか
げで、前半の女の“変貌”ぶりに大いに心を惹かれた。

この演目、能としては珍しく、最初に狂言方の演じるア
イが登場する。「狂言口開」と言うそうだ。

これが貴船神社の社人で、神様の夢のお告げを、深夜に
訪れる女に伝えに来た、と言う。

そのお告げが、「鉄輪を被ってその三つ足に火を灯し、
身に赤い丹(赤い土、またそれからとれる染料)を塗り、
赤い衣を着て、怒る心を持つならば、女の願いはかなう」
というのだ。

女と出会った社人は、「あなたがその方ですか?」と問
うけれど、女は否定。

しかし、この神様からの“伝言”を聞くうちに、女は次第
に恐ろしく見えて来るのだ・・・

まさに、女が「鬼」に変じる瞬間。
いやー、恐ろしい・・・やっぱり、こんなの中高生に見
せちゃダメ!

それにしても、こんな恐ろしいご託宣を下される神様っ
て、いったい何?と、思わざるを得ない。

これ、キリスト教だったら、絶対に、悪魔の声だよなぁ。
・・・もっとも、旧約の神様なら、あり、かも?だけど。
posted by JTm at 10:17| | 更新情報をチェックする