2019年05月31日

2019.5.29 素浄瑠璃の会@深川江戸資料館

2019.5.29 素浄瑠璃の会 復曲浄瑠璃「花魁莟八総」

演目
復曲浄瑠璃「花魁莟八総」滝田の城の段
   太夫=竹本千歳太夫
   三味線=野澤錦糸
  (休  憩)
対談 「花魁莟八総」の復曲について
   千歳太夫&錦糸(司会:資料館職員)

「花魁莟八総」。これで「はなのあにつぼみのやつふさ」
と読む。滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』を、江戸時代後
期の戯作者・山田案山子という人が人形浄瑠璃に脚色、
天保7(1836)に初演された。

その後、幕末~明治にかけてはたびたび上演されたが、
大正11年を最後に、人形浄瑠璃としての上演は途絶えた。

それを、馬琴生誕の地・深川で復曲しようという試みは、
2016年を皮切りに、今年で4回目・・だそうだ。
今まで、参加してこなかったことを悔やむばかり。

復曲というのは、当時の譜面が残っていることが前提で、
それがなければ「作曲」となるそうだ。・・なるほど、
昼間の「出世景清」は、もっとずっと古い作品だから、
譜面がなくて、だから「鶴澤燕三作曲」だったんだなー
と、改めて納得。

今までの復曲上演は、2016年の「伴作住家」に始まって、
「蟇六住家」「芳流閣の決闘」と続いて今回は「滝田城
の段」。

これは、物語の発端部分、敵に囲まれた里見義実が、ふ
と魔が差してか、飼い犬の八房に「敵将の首を取って来
たら娘の伏姫をやる」と言ってしまう場面である。

この義実の言葉の重さ・・・その言葉の前には、なにや
ら怪しい魑魅魍魎の跋扈を感じさせる場面が。

「怪しや飛び来るひとつの陰火、臥したる犬のその上へ
落ちると見えしがそのままに形は消えて跡もなし」

里見家に恨みを抱く女、玉梓(たまずさ)の怨霊の出現。

すべての悲劇、波乱に満ちた物語は、ここから始まった
のだ。・・今までの三回を聞き逃したのは残念だが、こ
の場面を最初に聞けたのは、それはそれでよかったかも
しれない。

後半の対談は、復曲へのプロセスを中心に。

譜面があると言っても、西洋音楽の五線譜ほどには厳密
なものではないし、第一、浄瑠璃とのからみまでは分か
らない。
太夫と三味線のやり取りを、何度も何度も繰り返しつつ、
ひとつの曲に仕上げて行くのだという。

今回の上演場面の最後で、伏姫は八房と共に富山に籠り、
やがて、その死と共に飛び散った八つの玉から、物語は
発展していく。

次回はどうやら、この、伏姫の死の場面が上演されるら
しい・・期待したい。

そして、期待と言えば、これもまた、人形付きで文楽本
公演での上演を・・ぜひ!


<オマケ>言わずもがなの注釈
演題の「花魁」・・つい、おいらんと読みたくなってし
まうが、ここでは「はなのさきがけ」という本来の意味。
すべての花に先駆けて咲くことから、梅の花のことを指
す。そして、一番早く生まれるから「花の兄」というこ
と・・なんだそうだ。
posted by JTm at 09:18| 文楽 | 更新情報をチェックする