2018年05月25日

2018.5.24 人形浄瑠璃5月文楽公演@国立小劇場

2018.5.24 人形浄瑠璃5月文楽公演 第二部

演目
「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」
 須磨浦の段
  太夫 お菊=竹本三輪太夫、内匠=豊竹睦太夫、
     友平=竹本小住太夫、弥三松=豊竹咲寿太夫
  三味線=鶴澤清友
 瓢箪棚の段
  太夫=(中)豊竹希太夫、(奥)竹本津駒太夫
  三味線=(中)鶴澤寛太郎、(奥)鶴澤藤蔵、(ツレ)鶴澤清公
  (休   憩)
 杉坂墓所の段
  太夫=(口)豊竹亘太夫、(奥)豊竹靖太夫
  三味線=(口)野澤錦吾、(奥)野澤錦糸
 毛谷村六助住家の段
  太夫=(中)豊竹睦太夫、(奥)竹本千歳太夫
  三味線=(中)野澤喜一朗改め野澤勝平、(奥)豊澤富助
  尺八=川瀬順輔
  人形役割(各段共通)
   お園=吉田和生、毛谷村六助=吉田玉男、
   京極内匠=吉田玉志、お菊=吉田勘彌、
   弥三松=桐竹勘次郎、お幸=桐竹勘壽   外

「彦山権現」は、歌舞伎でも文楽でも過去に見ているが、
いずれも、「杉坂墓所」からで、その前段は初見。

中で、「瓢箪棚」が、抜群に面白かった。
“女武道”と言われる役どころのお園だが、六助登場後は、
普通に女っぽくなっちゃうきらいがある。でもこの場面
では、まさに「女武道」の面目躍如。

仇の内匠を追って、瓢箪棚に上り、刀を折られると鎖鎌
まで取り出しちゃう・・(いったいどこにしまっていた
の?という疑問は、口にしないのがお約束。)

最後は、内匠が操る人形遣いごと、棚から地面に飛び降
りる・・・プログラムに書いてあったけれど、読んでな
かったから驚いた。

後半の杉坂墓所からは、お馴染みの物語・・と思ってい
たが、やはり、歌舞伎とは若干の演出の違いがあるよう
だ。押しかけ女房ならぬ押しかけ姑の登場に、困り果て
た様子の六助が、なんだか可愛らしい。

最後は、仇の居場所も分かり、六助と言う頼もしい助っ
人も出来て、さあ!・・というところだが、仇討場面は
割愛だった・・ちと残念。

床に近い席だったので、時折、床の方も見る・・・津駒
太夫×藤蔵の、動×動のコンビ、三輪太夫×富助の動×静
のコンビ・・・対照的で、見ていて面白かった・・って、
そこかい!
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2018年05月19日

2018.5.18 人形浄瑠璃5月文楽公演@国立小劇場

2018.5.18 人形浄瑠璃5月文楽公演 第一部

演目
「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」
 桔梗原の段
   太夫=(口)豊竹芳穂太夫、(奥)竹本三輪太夫
   三味線=(口)竹澤團吾、(奥)竹澤團七
  (休   憩)
吉田幸助改め
 五代目 吉田玉助襲名披露口上
   (前列下手から)吉田蓑二郎(司会)、吉田玉男、
    吉田和生、幸助改め吉田玉助、吉田蓑助、桐竹勘十郎
   (後列下手から)吉田玉佳、吉田玉輝、吉田玉也、
    吉田玉志、吉田玉勢、吉田玉誉
  (休   憩)
 景勝下駄の段
   太夫=竹本織太夫、三味線=鶴澤寛治
 《襲名披露狂言》勘助住家の段
   太夫=(口)豊竹呂太夫、(後)豊竹呂勢太夫
   三味線=(口)鶴澤清介、(後)鶴澤清治
   人形役割(各段共通)
    横蔵後に山本勘助=幸助改め吉田玉助、
    その母=桐竹勘十郎(勘助住家・前まで)・吉田蓑助(勘助住家・後)
    慈悲蔵実は直江山城之助=吉田玉男、女房お種=吉田和生、
    長尾景勝=吉田玉也   外
  (休   憩)
「義経千本桜」
 道行初音の旅
   太夫 静御前=豊竹咲太夫、狐忠信=竹本織太夫
      ツレ=竹本津國太夫、竹本南都太夫、豊竹咲寿太夫、
      竹本小住太夫、豊竹亘太夫、竹本碩太夫
        三味線 鶴澤燕三、竹澤宗助、鶴澤清志郎、鶴澤清馗、鶴澤清𠀋、
       鶴澤友之助、鶴澤清公、鶴澤清允、鶴澤燕二郎
   人形役割 静御前=豊松清十郎、狐忠信=桐竹勘十郎
   囃子=望月太明藏社中

襲名披露の方に目が行き、物語の下調べを怠ってしまった。
「本朝廿四孝」は、八重垣姫の物語をよく見るが、今回の
上演部分は、武田家の軍師、山本勘助の物語である。その
おおもとを理解せずに見始めたのは、大いに無念である。

ただ、初代・二代とふたりの勘助のうち、あの有名な(大
河ドラマになった)山本勘助が、果たしてどちらなのか・・・
プログラムの解説では、横蔵の二代勘助がそうと読めるの
だが、ちょっと時代が合わないような・・・?
未だにはっきりしない。

傲慢な兄の横蔵と、親孝行な弟の慈悲蔵・・しかし、母は、
なぜか兄を贔屓し、弟には辛く当たる。

セリフから、弟は長く家を留守にし、少し前に戻ったばか
りと知れる。母にしてみれば、今さら・・ということなの
だろうか。

そして、背景にあるのは、足利将軍家の若君失踪。探索を
命じられた武田・長尾(=上杉)両家は、期限内に若君を
見つけられなければ、自らの跡取り息子の命を差し出さね
ばならない。

横蔵と慈悲蔵は、初代勘助の遺児で、父が残した軍書を探
している・・・見つけた方が、二代勘助に、との思惑もあ
るらしい。

と、なんとか理解出来たのは、見終わってあれこれ調べた
挙句のことだった。やれやれ。

見ている間は、「口減らしのために血を分けたわが子を捨
てる」「年老いた母のために雪中に筍を掘る」などの、い
わゆる唐土の二十四孝に取材した出来事に、気を取られて
しまった・・・落語の聞きすぎぢゃ。

最後、ふたりの兄弟は、兄は山本勘助として武田家に、弟
は直江山城之助として長尾家に仕えることとなり、戦場で
の再会を約して別れるのだが・・・さて、これはハッピー
エンドなのか?・・大いに疑問。

そして、もうひとつ、残った疑問。弟が名乗る直江山城之
助という名前は、あの直江兼続?・・兼続は山城守と称し
ていたそうなので、その可能性はあるかと思うのだが・・
やっぱり、ちょっと時代が合わないんだよなー。

途中に挟まる襲名披露口上は、人形部の幹部が勢ぞろい。
1月に見た織太夫襲名のふたりだけの口上とは大違いだっ
た。

そして、新・玉助師。大きな体格を活かして、横蔵の大き
な人形を、自在に操る・・最後、慈悲蔵との降りしきる雪
の中での対決は、実に迫力満点だった。

「義経千本桜」。長い物語の中から一場、静御前と狐忠信
の道行を。

幕が開くと、舞台上に9人の太夫と9人の三味線弾きが雛
段に並ぶ・・・圧巻。客席は「ほぅー・・」という声。

咲太夫・織太夫両師の師弟コンビを中心に、明るく華やか
に。そして、勘十郎師の操る狐は、何度見てもすごい・・
早変わりも見事に決まって、楽しい舞踊だった。

二部「彦山権現誓助剣」は、24日、観劇予定。
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2018年02月23日

2018.2.22 人形浄瑠璃2月文楽公演@国立小劇場

2018.2.22 人形浄瑠璃2月文楽公演 第三部

演目
「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」(近松門左衛門=作)
  徳庵堤の段(野澤松之輔=作曲)      
    太夫 与兵衛=豊竹靖太夫、お吉・小菊=豊竹希太夫、
       七右衛門・森右衛門・お大尽=竹本小住太夫、
       小栗八弥・弥五郎=豊竹亘太夫、お清・花車=竹本碩太夫
    三味線=野澤錦糸
  河内屋内の段(野澤松之輔=作曲)
    太夫=(口)豊竹咲寿太夫、(奥)竹本津駒太夫
    三味線=(口)竹澤團吾、(奥)鶴澤清友
  (休   憩)
  豊島屋油店の段(八代目竹本綱太夫、七代目竹澤弥七=作曲)
    太夫=豊竹呂太夫、三味線=鶴澤清介
  同  逮夜の段(五代目鶴澤燕三=作曲)
    太夫=豊竹呂勢太夫、三味線=竹澤宗助
    人形役割(各段共通)
      お吉=吉田和生、河内屋与兵衛=吉田玉男、
      河内屋徳兵衛=吉田玉也、女房お沢=吉田勘彌、
      河内屋太兵衛=吉田幸助、豊島屋七左衛門=吉田玉志、
      山本森右衛門=吉田玉輝     外
    (囃子=望月太明藏社中)

文楽でこの演目を見るのは、たぶん二度目。
前回は、住太夫師引退公演の喧騒?の中だった。その
時は、豊島屋の殺しの場までだったが、今回は、その
後の、与兵衛の捕縛される場面まで通し。

先に見てきた友人が、ひどく憤っていた。与兵衛とい
うどうしようもない若者の自分勝手な論理や、彼を甘
やかしてしまった親たちの育て方について。

ま、確かにね。人間が演じれば、役者のピカレスク?
な美しさに魅せられてしまう部分もあるが、人形相手
では、それがないから「おいおい、そりゃないだろう!」
という思いが先に立つ。

そして、この与兵衛という男、決して悪党ですらない。
真の?悪党なら、眉ひとつ動かさずに、殺しをやって
のけるだろうし、親たちの愁嘆場も、せせら笑って見
るだろう。

油店の段で、親たちの心を知った与兵衛が、お吉に向
かって、改心を口にする場面、「これが真の改心か、
金を借りたいがための偽りか」は、解釈の分かれると
ころだと、プログラムの解説にあった。

わたしの印象では、これは彼なりの真の改心ではなかっ
たかと思う。しかし、短絡的で先を見通せない(頭悪
い)気質から、「今、そこにある金」をなんとしても
手に入れよう・・・としか、考えられないのだ。

気の毒なのは、お吉である。

そのお吉を遣う吉田和生師、河内屋内で妹・おかちを
遣う吉田蓑助師、ふたりの人間国宝を見られたのは嬉
しい。

そして、殺しの場面を迫力たっぷりに聞かせた、呂太
夫師&清介師のコンビに、大きな拍手を贈りたい。
posted by JTm at 10:57| 文楽 | 更新情報をチェックする