2018年09月13日

2018.9.12 人形浄瑠璃9月文楽公演@国立小劇場

入場して、最初に目についたお知らせ。
  0912(1).JPG
悲しい・・ここのところ、文楽公演のたびに、どなたか
の訃報が掲示されるような気が・・・

2018.9.12 人形浄瑠璃9月文楽公演 第一部

演目
南都二月堂 良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)」
  志賀の里の段
   太夫 渚の方=豊竹睦太夫、乳母小枝=竹本小住太夫、
      腰元=豊竹亘太夫、竹本碩太夫
   三味線=鶴澤清友、(ツレ、八雲)=鶴澤友之助、野澤錦吾
   (休   憩)
  桜の宮物狂いの段
   太夫=竹本津駒太夫、竹本津國太夫、豊竹芳穂太夫、
      豊竹咲寿太夫、
   三味線=鶴澤藤蔵、鶴澤清馗、鶴澤寛太郎、
       鶴澤清公、鶴澤清允
   (休   憩)   
  東大寺の段
   太夫=豊竹靖太夫、三味線=野澤錦糸
  二月堂の段
   太夫=竹本千歳太夫、三味線=豊澤富助
   人形役割(各段共通)
    渚の方=吉田和生、船頭=桐竹亀次、
    良弁僧正=吉田玉男、雲弥坊=吉田蓑一郎  外
   (休   憩)
「増補忠臣蔵」
  本蔵下屋敷の段
   太夫=(前)豊竹呂太夫、(切)豊竹咲太夫
   三味線=(前)竹澤團七、(切)鶴澤燕三  
   琴=鶴澤燕二郎  尺八=川瀬順輔
   人形役割
    加古川本蔵=吉田玉志、桃井若狭之助=吉田玉助、
    井浪伴左衛門=吉田玉佳、三千歳姫=吉田一輔  外
   囃子(すべて)=望月太明藏社中

「良弁杉由来」。今年の1月に大阪で見たばかりだった
ので、ちょっと残念な気がしつつ。

それでも、二度目なので気づくことも少しある。

まず、志賀の里の段で、大鷲が、幼い日の良弁を攫う場面、
BGMが、鯉昇師匠の出囃子「鯉」だった。魚じゃなくて
鳥なんだけどなー・・とか。

そして最後の二月堂の段。大阪で見た時は、舞台中央に、
まさに今、二月堂の前に立っているような、杉の巨木がそ
びえていたと思うのだが・・・今回は、かなり小ぶり。

えー・・なんか、物足りないな・・・

などと思っていたせいか、ものの見事に爆睡してしまった。
(いや、他人のせいにしてはいけません。寝不足でした。)

志賀の里で、ちょっと声がかすれ気味の太夫がいらしたの
はちと残念。そして、桜の宮の津駒太夫師、文字通り見台
につかまっての大熱演・・三味線の藤蔵師とは、動×動の
コンビ・・・お人形ばかりでなく、床も見なくちゃ・・だ
から、とっても忙しい。

「増補忠臣蔵」。今年3月に、歌舞伎の公演を見た演目を
文楽で。前にも書いたけれど、忠臣蔵のスピンオフだ。

冒頭に悪役の伴左衛門が、茶室の茶釜に毒を入れる・・こ
れを本蔵が見ているのだが、そのことをなかなか言い出せ
ず・・・もしかして、誰か飲んじゃったら?と、ハラハラ。

なにせ、この屋敷には今、殿様とその妹が来ているのだ。

・・それにしても、伴左衛門、自分が惚れているお姫様が
お茶を立てようとしたら、いったいどうするつもりなのか。
・・あまり、いい思案ではないような。

前半の呂太夫師、後半の咲太夫師、共に好調で、美声に聞
き惚れる。特に咲太夫師、ここ何回か拝見した中では、い
ちばんお元気そうにお見受けした。

ロビーでは、北海道の地震の義援金を募っていた。先月の
大阪公演では、大阪の地震のための募金が行われていたっ
け・・・本当に災害の多い年だなぁ。

 0912(2).JPG 玉助さん、勘次郎さん。
お人形は、「良弁杉・志賀の里」の腰元・藤野。愛敬たっ
ぷりの、“お福”というかしら。

第二部「夏祭浪花鑑」は、20日観劇予定。
posted by JTm at 14:09| 文楽 | 更新情報をチェックする

2018年08月09日

2018.8.7 人形浄瑠璃 夏休み文楽特別公演@国立文楽劇場

2018.8.7 人形浄瑠璃 夏休み文楽特別公演 第二部

演目
「卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)」
  平太郎住家より木遣り音頭の段
   太夫=(中)豊竹睦太夫、(切)豊竹咲太夫、(奥)豊竹呂勢太夫 
   三味線=(中)竹澤宗助、(切)鶴澤燕三、(奥)鶴澤清治
   人形役割 横曽根平太郎=吉田玉男、女房お柳=吉田和生、
        平太郎母=吉田文昇、和田四郎=吉田文哉、
        進ノ蔵人=吉田勘市、みどり丸=吉田蓑太郎  外
  (休  憩)
「大塔宮曦鎧(おおとうのみやあさひのよろい)」
  六波羅館の段
   太夫=(中)豊竹咲寿太夫、(奥)豊竹靖太夫 
   三味線=(中)鶴澤清馗、(奥)野澤錦糸   
  身替り音頭の段
   太夫=(中)竹本小住太夫、(奥)竹本千歳太夫 
   三味線=(中)野澤勝平、(奥)豊澤富助
   人形役割(各段共通) 
     斎藤太郎左衛門=吉田玉也、常盤駿河守=吉田玉輝、
     永井右馬頭=吉田玉志、妻・花園=吉田勘彌、三位の局=吉田清五郎、
     若宮=桐竹勘次郎、鶴千代=吉田和馬、力若丸=吉田蓑之 外  
   はやし 望月太明藏社中

「卅三間堂棟由来」。今までにも何度か?見ているが、今回、
お初の人物が登場。和田四郎。平四郎にあらぬ盗みの疑いを
かけ、かつ、出世のネタとして、お柳が隠し持っていた髑髏
を奪おうとする。

プログラムの記事によると、大阪では1992年以来の“登場”と
のこと。調べたら東京では1977年に一度、出たきりだ。

この人物がいることで、最後、平四郎との間で派手な立ち回
りが繰り広げられることになるので、確かに、“見せ場”は増
える。

ただ、その反面、母と子、夫と妻の予期せぬ別れという悲劇
に、いささか、水を差された気分になるのも否めない。それ
にもまして、“髑髏”の在処を聞き出そうと、老母を拷問する
場面は、正直言って、見るのが辛い。

この部分、あくまで脇筋であり、無くても構わないのでは?
と、つい、考えてしまった。

「大塔宮曦鎧」。こちらは2013年に一度見ている。
若宮(後醍醐天皇の皇子)を守るため、家臣が自らの子や孫
を争って身代わりにしようという・・・理不尽な話。

今回のプログラムに、「子どもの死亡率の高かった時代、誰
でも我が子や親しい子を亡くした経験があっただろう・・そ
の早くに逝った子どもたちの犠牲の上に、自分の人生がある
と考える者も多かったのではないか」という趣旨の解説が出
ていた。

うーん、そう考えると少しは納得出来るかな。
祭りの踊りの輪の中で、白刃が翻る・・哀切な祭囃子が涙を
誘う。

この悲しい後段に比べ、前段の六波羅館は、三位の局に横恋
慕する守護職・常盤駿河守の“道化”ぶりが可笑しい。局から
の返歌や灯籠に描かれた絵を、都合の良いように良いように
解釈して、ひとりで悦に入っている。

それを悉く暴く、斎藤太郎左衛門の硬骨ぶりが見事・・が、
これがとんでもない“伏線”になって行くのだが。



2018.8.7 人形浄瑠璃 夏休み文楽特別公演 第三部

演目
「新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)」
  野崎村の段  
   太夫=(中)竹本文字久太夫、(前)竹本津駒太夫、(後)竹本三輪太夫 
   三味線=(中)鶴澤清志郎、(前)鶴澤寛治、(後)竹澤團七、(ツレ)鶴澤清公
   人形役割 おみつ=豊松清十郎、久作=桐竹勘壽、久松=吉田文昇、
   油屋お勝=吉田蓑助、お染=吉田一輔、船頭=桐竹紋秀 外
  (休  憩)
「日本振袖始(にほんふりそではじめ)」
  大蛇退治の段
   太夫 岩長姫=竹本織太夫、稲田姫=豊竹希太夫、
      素戔嗚尊=竹本南都太夫、ツレ=豊竹亘太夫
   三味線 鶴澤藤蔵、鶴澤清𠀋、鶴澤寛太郎、
       野澤錦吾、野澤燕二郎
   人形役割 岩長姫=桐竹勘十郎、稲田姫=桐竹紋臣、
        素戔嗚尊=吉田玉助  外
   はやし 望月太明藏社中

「新版歌祭文」。おなじみ、野崎村である。
百姓・久作の一子(と言っても実は主家の忘れ形見)久松は、
大坂の商家・油屋に奉公しているが、主人の娘・お染と恋仲
になる。

久松には、久作の妻の連れ子、おみつという許婚がいる。お
みつは久松を慕い、病気の母の看病をしながら、祝言の日を
心待ちにしている。

そこへ思いがけなく、久松の帰郷・・それは、主家の金を盗っ
たという疑いを向けられての“謹慎”だった。

それでも喜ぶおみつ。久作もまた、おみつの母が生きている
うちに、娘の祝言を見せたいと思う。

が、お染は収まらない。久松を追って野崎村にやって来る。

嫉妬するおみつ。しかし、久松とお染が、「死」を覚悟して
いることを察して、自ら身を引くことに。

最後、歌舞伎だと、おみつと久作が、舞台に残ってお染と母、
久松を見送るのだが、文楽では、土手を駕籠で行く久松と、
舟に乗り込んだお染母娘が、並んで、下手から上手へと移動
する・・おみつさん、可哀そうだな。せめて、幕を切らせて
やって欲しいよ。

「日本振袖始」。そもそも、この猛暑の中、大阪への遠征を
思い立ったのは、先月、歌舞伎鑑賞教室で見たこの演目がきっ
かけだった。

八岐大蛇の八つの頭を、ウロコ模様の装束の8人の役者が演
じるという、かなり前衛的な(とわたしには思えた)演出を
見て、「文楽ではどうするの?」という単純な疑問を持った
のだ。

結論。以前に、石見神楽で見た、あの大蛇と一緒でした。
龍頭に蛇腹をつないで、くねくねと動かす。

でもなぜか、八岐ではなくて、四岐だけだったけれど。大蛇
も人手不足かな?・・冗談です。

プログラムの解説にも「立ち廻りには石見神楽で用いる大蛇
を取り入れて」と書いてあった。

ただ、これが、果たして享保3(1718)年の初演から行われて
いる演出なのかは分からない。石見神楽は、明治期に「見せ
る」ことを意識して、派手な演出を取り入れるようになった
そうなので、あの大蛇が、それ以前から演じられていたのか
調べきれなかった。

この大蛇・岩長姫を遣うのが、桐竹勘十郎師・・妖狐とか大
蛇とか、“人外のもの”を遣わせたら、右に出る者がいないの
では?と思わせる。

時折、正体を現して、鬼のような形相に変わる岩長姫(角出
しのガブという特殊なかしらを用いる)・・なにやら妖艶な、
官能的ともいえる魅力にあふれていた。
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2018年05月25日

2018.5.24 人形浄瑠璃5月文楽公演@国立小劇場

2018.5.24 人形浄瑠璃5月文楽公演 第二部

演目
「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」
 須磨浦の段
  太夫 お菊=竹本三輪太夫、内匠=豊竹睦太夫、
     友平=竹本小住太夫、弥三松=豊竹咲寿太夫
  三味線=鶴澤清友
 瓢箪棚の段
  太夫=(中)豊竹希太夫、(奥)竹本津駒太夫
  三味線=(中)鶴澤寛太郎、(奥)鶴澤藤蔵、(ツレ)鶴澤清公
  (休   憩)
 杉坂墓所の段
  太夫=(口)豊竹亘太夫、(奥)豊竹靖太夫
  三味線=(口)野澤錦吾、(奥)野澤錦糸
 毛谷村六助住家の段
  太夫=(中)豊竹睦太夫、(奥)竹本千歳太夫
  三味線=(中)野澤喜一朗改め野澤勝平、(奥)豊澤富助
  尺八=川瀬順輔
  人形役割(各段共通)
   お園=吉田和生、毛谷村六助=吉田玉男、
   京極内匠=吉田玉志、お菊=吉田勘彌、
   弥三松=桐竹勘次郎、お幸=桐竹勘壽   外

「彦山権現」は、歌舞伎でも文楽でも過去に見ているが、
いずれも、「杉坂墓所」からで、その前段は初見。

中で、「瓢箪棚」が、抜群に面白かった。
“女武道”と言われる役どころのお園だが、六助登場後は、
普通に女っぽくなっちゃうきらいがある。でもこの場面
では、まさに「女武道」の面目躍如。

仇の内匠を追って、瓢箪棚に上り、刀を折られると鎖鎌
まで取り出しちゃう・・(いったいどこにしまっていた
の?という疑問は、口にしないのがお約束。)

最後は、内匠が操る人形遣いごと、棚から地面に飛び降
りる・・・プログラムに書いてあったけれど、読んでな
かったから驚いた。

後半の杉坂墓所からは、お馴染みの物語・・と思ってい
たが、やはり、歌舞伎とは若干の演出の違いがあるよう
だ。押しかけ女房ならぬ押しかけ姑の登場に、困り果て
た様子の六助が、なんだか可愛らしい。

最後は、仇の居場所も分かり、六助と言う頼もしい助っ
人も出来て、さあ!・・というところだが、仇討場面は
割愛だった・・ちと残念。

床に近い席だったので、時折、床の方も見る・・・津駒
太夫×藤蔵の、動×動のコンビ、三輪太夫×富助の動×静
のコンビ・・・対照的で、見ていて面白かった・・って、
そこかい!
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