2019年08月26日

2019.8.25 国立能楽堂ショーケース公演

2019.8.25 国立能楽堂ショーケース公演<8月>

演目
解説       武田宗典
狂言「柿山伏」(和泉流)
  シテ(山伏)=野村又三郎、アド(畑主)=野口隆行
  (休  憩)
能「安達原」(観世流)
  シテ(前・里の女、後・鬼女)=上田公威、
  ワキ(山伏祐慶)=大日方寛、
  ワキツレ(同行の山伏)=野口琢弘、
  アイ(能力)=松田髙義、
  囃子方 笛=成田寛人、小鼓=田邊恭賀、
      大鼓=佃良太郎、太鼓=林雄一郎
  後見=観世芳伸、角幸二郎
  地謡=新江和人、武田友志、武田宗典、藤波重彦、
     坂井音晴、藤波重孝、木月宣行、野村昌司

能狂言になじみの無い方にも、気楽に見てほしいという
趣旨で、分かりやすい演目を解説付きで、しかもコンパ
クトに・・という公演。

コンパクト・・ってことは、もしかしたら若干、切り詰
めてあったのかな?・・どのみち、よくわからないが。

解説の武田宗典師は、観世流シテ方。この公演、外国人
の観客も想定してか、解説も字幕付きだった。簡単に能
舞台の説明をした後、上演演目を紹介。明快な解説だ。

「柿山伏」。柿を盗み喰う山伏を、柿の木の持ち主がか
らかう・・・「犬か?」と言えば「ビョウビョウ」と鳴
き、「猿か?」と言えば「キャーキャー」と。最後は、
「鳶か?」と言われて、つい飛べる気に・・

最初の犬に、やや違和感・・茂山家では烏だったはず。
うーん、犬は柿の木に上るだろうか?

「安達原」。以前に見た金春流では「黒塚」だった。
旅の山伏一行が、奥州安達原で一軒の貧しい家に一夜の
宿を乞う。

そこに住んでいたのはひとりの女・・夜更けて寒くなっ
たので、女は「薪を取って来ます」と言って出かける。
その留守に、「決して見ないで」と言われていた女の閨
を、好奇心に駆られた能力がのぞくと・・・?

人を殺して喰うという罪は重いが、「見ない」という約
束を破ったのは山伏の方。

約束を守っていれば、何事もなく夜を明かし、無事に旅
立つことが・・・さて、出来たのだろうか?

約束を破られた女は鬼女に変じ、山伏たちに襲いかかる
が、結局その法力に調伏されてしまう。

人を喰らうという大きな罪を、実は心の奥では恥じてい
たに違いない女が、仏の慈悲によって救われることを祈
りたい。
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2019年07月28日

2019.7.27 東次郎家伝十二番@横浜能楽堂

2019.7.27 東次郎家伝十二番 第四回
  
演目
狂言「寝音曲」
   シテ(太郎冠者)=山本則俊、
   アド(主)=若松 隆、  後見=山本則重
  (休  憩)
能「船弁慶-重前後之替・船中之語・名所教」(観世流)
   シテ(前・静御前、後・平知盛の霊)=梅若紀彰、
   子方(源義経)=谷本康介、
   ワキ(弁慶)=森 常好、
   ワキツレ(従者)=舘田善博、梅村昌功、則久英志、
   アイ(船頭)=山本東次郎、
   囃子方 笛=杉 信太朗、小鼓=大倉源次郎、
       大鼓=國川 純、太鼓=小寺真佐人
   後見=山中迓晶、松山隆之、谷本健吾
   地謡=内藤幸雄、土田英貴、安藤貴康、川口晃平、
      坂真太郎、馬野正基、柴田 稔、角当直隆

チケットを家に忘れるというへまをやらかしたが、購入
記録を調べて入れてもらう・・横浜能楽堂のサイトから
購入していたのが正解だった。

「寝音曲」。茂山狂言会では上演頻度が高い演目だが、
山本家ではたぶんお初。

召使の太郎冠者が自宅で謡をうたっているのを聞いた主
人が、「聞かせてくれ」と言う。

太郎冠者は、今後、お客が来るたびにうたわせられては
かなわないと、「酒を飲まなきゃ・・」「女房に膝枕し
てもらわなきゃ・・」と逃げ口上。

しかし、大杯3杯の酒を飲み干したうえ、主人が膝を差
し出すのでは、うたわないわけにはいかなくなり・・・

今までも面白いと思っていたけれど、今回、「封建社会
では主人の客の前で使用人が酒を飲むことなど決して許
されることではなかった」という、プログラムの言葉で、
より一層、味わいが深まった。

「船弁慶」。先月、能楽鑑賞教室でダイジェスト版を見
たけれど、今回は「省略なしのフルバージョン」とのこ
と。さらに小書という特殊演出が三つも付く。

小書のうち、「重前後之替」は、シテ方の舞と後シテの
出の方法についての変更、「船中之語」は、ワキ方の弁
慶が、船中で対平家の戦の様子を物語るもの、そして
「名所教」は、アイの船頭が周囲に見える風景を解説す
るものだそうだ。

と言われても、小書なしの演出をちゃんと理解していな
い者としては、「あ、これかな?」と思うのがせいぜい。

例えば、後シテの知盛の霊が、橋掛と揚幕の中を何度か
出たり入ったりしていたのが「重前後之替」の一部だっ
たのかな?・・とか。ま、その程度。

前半は、義経との別れを惜しむ静御前が、優雅な舞を見
せ、後半は知盛の霊と義経・弁慶の迫力満点の対決・・
この対極的な場面を、ひとりの役者が演じ分ける。

歌舞伎でも、ひとりの役者が何役も務める演出があるけ
れど、そのもとになったのは、もしかして、能だったの
かも?と、思えてきた。

ところで、休憩時間にたまたま他の観客の会話が耳に入
り・・・「〇〇さん、チケット忘れて、調べてもらった
けど購入記録がわからなくて・・帰るって」。

いやー、なんだか申し訳ない・・もう二度と忘れないよ
う、大いに気をつけなきゃ。
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2019年07月19日

2019.7.18 獅子の会@宝生能楽堂(その2)

この公演、実はお弁当付き。入場時に配られたそれを
昼夜の合間にいただく・・宝生能楽堂は国立よりもロ
ビーが広く、椅子もテーブルもたくさんあるのだが、
それでも、立食になっちゃった方も多かったみたい。

こんなかわいいお弁当でした。
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デザートは猪最中。
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2019.7.18 第一回 獅子の会 第二部・乱能

「乱能」というのは、「すべての出演者が本来の専門
の役ではないものを担当して催す」ことを言うそうだ。
以下、出演者名の後の括弧内は、その人の本来の専門。

演目
舞囃子「高砂」
  住吉明神=野村又三郎(狂言方)
  囃子方 笛=大友 順(シテ方)、小鼓=辰巳大二郎(シテ方)、
      大鼓=金子聡哉(シテ方)、太鼓=上田拓司(シテ方)
  地謡=内潟慶三(笛方)、高野 彰(大鼓方)、原 大(ワキ方)
仕舞「橋弁慶」
  武蔵坊弁慶=山本泰太郎(狂言方)、牛若丸=井上松次郎(狂言方)
  地謡=亀井広忠(大鼓方)、成田達志(小鼓方)、鳥山直也(小鼓方)
狂言「六地蔵」
  すっぱ甲=金井雄資(シテ方)、田舎者=辰巳満次郎(シテ方)、
  すっぱ乙=長島 茂(シテ方)、すっぱ丙=井上貴寛(シテ方)、
  後見=金野泰大(シテ方)
能「土蜘蛛-入違之伝
  怪僧=守家由訓(大鼓方)、土蜘蛛の精=桜井 均(太鼓方)、
  源頼光=大倉慶乃助(大鼓方)、従者=一噌幸弘(笛方)、
  胡蝶=茂山七五三(狂言方)、独武者=藤田貴寛(笛方)、
  立衆=江野 泉(笛方)、飯島六之佐(大鼓方)、
  独武者の下人=鳥山直也(小鼓方)
  囃子方 笛=佐野弘宜(シテ方)、小鼓=長島 茂(シテ方)、
      大鼓=原 大(ワキ方)、太鼓=村岡聖美(シテ方)、
  後見=野村又三郎、山本泰太郎(いずれも狂言方)
  地謡=井上松次郎、野口隆行、奥津健太郎(いずれも狂言方)、
     内潟慶三(笛方)、高野 彰(大鼓方)、
     亀井広忠(大鼓方)、成田達志(小鼓方) 
附祝言  (地謡方)

歌舞伎などでも、立役・女形が役を変えて演じる「天
地会」というのがあるが、そちらはあくまで役者間で
の役割交換。比較すると囃子方の演能、シテ方の演奏
というのは、より一層、ハードルが高い気がする。

もっとも、プログラムによれば、「能楽師は修行過程
において専門外のことも身につけ」るのだそうだ。そ
れによって、お互いの苦労を理解し、息の合った舞台
を務めることが出来るのだろう。

いやー、それにしてもみなさん、さすがに芸達者です!

「高砂」。お馴染み「たかさごやー」の謡に乗せて、
神々しく降臨する住吉明神・・最後が狂言「福の神」
みたいな“笑い止”だったのは、狂言師さんの“自己主張”
だったかな?・・・豪快な高砂でした。

「橋弁慶」。小柄でスリムな弁慶に、超がつくほど大
柄な牛若丸・・・これぞ、配役の妙。登場しただけで
場内爆笑。なんか、楽しそうなチャンバラごっこ。

「六地蔵」。仏像をあつらえる田舎者を騙そうとする
三人のすっぱ。三人で6体の地蔵像に化けようと・・

台本を手に後見座に座った金野さん、大丈夫そう?と
判断してか台本を下に置いたとたんに、田舎者役がセ
リフを失念・・「何だっけ?」と問われて、あわてて
台本をめくる・・

「ちゃんと見とけ!」って怒鳴られて・・「そっちこ
そ、ちゃんと覚えろ!」と、言い返したかったかも?

そして、仏師に化けたすっぱ甲のために、六地蔵の曰
く因縁故事来歴を“代読”・・すっぱ役は、なんと!
口(くち)パクで。

この演目は、後見が大活躍でした。

「土蜘蛛」。まず前段は、頼光の従者役・一噌幸弘師
が、すべてをさらった感。亥年生まれではないような
ので、助演ということなのだろうが・・大活躍。

対する胡蝶役の七五三師もまた、余裕をもってアドリ
ブで受け流す・・こちらはもう、慣れたものかも?

後ろで見守る他の演者や囃子方も、笑いを堪えるのに
必死だったような。

そして、前シテの怪僧も、後シテの土蜘蛛の精も、こ
れでもか!とばかりに蜘蛛の糸をまき散らす・・なん
か、途中で切戸の方から、土蜘蛛に加勢した方もいら
したようで・・・

やりたい放題、支離滅裂・・かと思えば、意外にしっ
かりセリフを言ったのが、アイに出た下人役の鳥山直
也師・・・でも最後には・・残った弁当の心配?

いやー、なんとも楽しい公演でした。
お弁当付きとは言え、12,000円というチケット代に、
行こうかどうしようかとかなり迷ったのでしたが・・・
終わってみれば、もう、十分以上にもとはとったかな。
大満足。
posted by JTm at 15:07| | 更新情報をチェックする