2018年06月04日

2018.6.2 京都薪能@平安神宮

茂山狂言会のファンクラブのイベントで、京都の年中
行事、平安神宮の薪能を見に行ってきた。今年のテー
マは、「源義経」。

2018.6.2 第69回 京都薪能(第二日)

演目
《ナビ狂言》    茂山千五郎、山下守之
能「鞍馬天狗-白頭」(観世流)
    前シテ(山伏)=河村和重、後シテ(大天狗)=河村晴久、
    子方(牛若丸)=大江信之助、 
    ワキ(東谷の僧)=有松遼一、ワキツレ(従僧)=岡 充、
    子方(花見の稚児)=橋本和樹、林、小梅、吉浪咲紀、
            梅田祥隆、林 彩子、吉浪絢音、大江雪乃、
            吉田学史、深野百花、河村梓姫、梅田晃煕、
            味方 遥、味方 慧、吉浪和紗、吉田和史
    アイ(西谷の能力)=茂山忠三郎、
    アイ(木の葉天狗)=網谷正美、松本 薫、山口耕道、
            増田浩紀、井口竜也
    囃子方 笛=森田保美、小鼓=林 大和、
        大鼓=渡部 諭、太鼓=井上敬介
    後見=河村博重、河村晴道、
    地謡=杉浦豊彦、塚本和雄、古橋正邦、吉浪壽晃、
       分林道治、大江泰正
《火入式》     杉 市和、茂山あきら、橋本雅夫
《挨 拶》     井上裕久(京都能楽会理事長)
《ナビ狂言》    茂山千三郎、鈴木 実
能「祇王(ぎおう)」(金剛流)
    シテ(仏御前)=金剛永謹、ツレ(祇王)=金剛龍謹、
    ワキ(瀬尾太郎)=村山 弘
    囃子方 笛=杉 市和、小鼓=曽和鼓堂、大鼓=河村 大
    後見=廣田泰三、廣田幸稔、重本昌也
    地謡=松野恭憲、種田道一、豊嶋晃嗣、宇高徳成、
       和田次夫、漆垣謙次
《ナビ狂言》    茂山逸平、島田洋海
能「正尊(しょうぞん)-起請文 翔入」(観世流) 
    シテ(土佐坊正尊)=浦田保浩、
    子方(静御前)=深野和奏、
    ツレ(源義経)=浅井通昭、(江田源三)=松野浩行、
      (熊井太郎)=吉田篤史、(姉和光景)=浦田保親、
      (正尊の郎党)=宮本茂樹、浦田親義、河村和晃、
              松井美樹、大江広祐、河村浩太郎
    ワキ(武蔵坊弁慶)=原  大
    アイ(召使の女)=丸石やすし
    囃子方 笛=左鴻泰弘、小鼓=竹村英敏、
        大鼓=石井保彦、太鼓=前田 雪
    後見=深野新次郎、深野貴彦
    地謡=大江又三郎、浦部好弘、青木道喜、 
       片山伸吾、味方 團、田茂井廣道

薪能の開演前に、平安神宮に隣接するロームシアター
で、「能の世界におこしやす」という事前レクチュア
があった。簡単な解説と、謡・型・囃子の入門体験、
狂言方の“笑い”体験。
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最後に、舞拍子「嵐山」を実演していただき、全部で
約50分・・外に出たら、まだ3時だというのに、会場
入口にはすでに人の列・・いくら自由席とは言え、開
場は5時ですよ! しも、炎天下、日陰もないところ
に・・・熱心だなぁ。

団体入場のわたしたちは、一旦、解散して、5時に再
集合。団体席を確保してくださるそうで、並ばなくて
済んで大助かり。

入場開始から1時間、6時に開演。この時点ではまだ
お日さまカンカン照りで、西日が暑い。顔の半分だけ
日焼けしそうになりながら見る。
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能三曲の合間に、《ナビ狂言》として、狂言師さんた
ちが次の演目の解説をしてくれる・・これ、分かりや
すくて面白く、良い企画。

「鞍馬天狗」。平家が天下を取り、危うく命を失うと
ころだった牛若丸・・つまり、後の義経は、鞍馬山中
に預けられ遮那王と呼ばれている。

花見の季節、招待された東谷の僧や稚児が西谷を訪れ
る。と、そこへ怪しい山伏が・・・これを嫌った僧と
稚児は帰ってしまうが、ひとりだけ、美しい少年が残っ
ている・・・

この少年が牛若丸。その美しさを愛した山伏は、実は
自分は鞍馬の大天狗・・そして、貴方こそ源氏の御曹
司だと告げ、通力で各地の花の名所を見せてくれる。

さらに、大天狗は、平家を滅ぼすために貴方に兵法を
教えようと約す・・・。

牛若丸の鍛錬の様子は、アイの木の葉天狗たちが、ユー
モラスに見せ、大天狗は「平家を滅ぼすその日まで、
わたしは貴方の味方です」と。

花見の稚児が15人も登場したのはビックリ。以前、国
立能楽堂の公演で見たときは7人だったから、倍以上。
いずれも、能楽会会員さんたちのお子さんなのかな?
可愛い行列でした。

ここで、ようやく日没となり、いよいよ薪に火がつけ
られて、会場は幽玄な雰囲気?に・・それは良いが、
急激に温度が下がる・・上着は必携です。
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「祇王」。こちらは平家物語に取材するが、義経とは
直接の関係はない演目。

飛ぶ鳥落とす勢いの清盛に寵愛される白拍子・祇王。
ある日、その清盛のもとをもうひとりの白拍子・仏御
前が訪れる。

清盛は、白拍子は祇王ひとりで十分と、面会を断るが、
同じ白拍子として仏御前に同情した祇王は、その願い
をかなえてやろうと考える。

やがて、ふたり揃って清盛の前へ・・しかし、相舞を
舞ううちに、なんと、清盛は若い仏御前に心を移して
しまう・・・。

祇王の屈辱・・そして仏御前は、祇王への義理と清盛
の命令の間で引き裂かれるような複雑な思い。

このふたりの関係は、一度は平家討伐のために力を合
わせながら、その目的が達成されると対立を深めてし
まう、頼朝・義経兄弟の関係を思わせる。

表面は静かな、でも、その奥にある人々の心理を思う
と、ざわざわと胸の騒ぐ・・・そんな曲だった。

「正尊」。頼朝の命を受けて、義経の命を奪いに来た
僧兵の正尊を、義経主従が撃退する・・いわゆる「堀
川夜討」を題材にしている。

土佐坊正尊の上洛を知り、弁慶が正尊のもとを訪れる。
正尊は「熊野詣の途中」と偽るが、義経主従は信じな
い。正尊は起請文を書いて読み上げ、自分の身の証と
するのだが・・・

その夜、義経が秘かに正尊の宿舎を探らせると、案の
定、戦支度を整えている。

ここから先は、敵味方入り乱れてのチャンチャンバラ
バラ。えー?!と思うような、アクロバティックな立
ち回り。・・いやー、こんな能もあるんですね!と、
大感激。

能三曲の間に、ナビ狂言や“儀式”が入り、休憩時間の
設定がない。「途中で席を立ったり、会場外に出入り
しても構いません」と言われていたけれど、あまりに
面白くて、席を立つことなんて出来ませんでした・・。

後で、茂山家の狂言師さんに聞いた話では、「いつも
よりずっと派手」とのことだったから、初めての人で
も分かりやすく・・という演出だったのだろう。

おかげで、まったく眠くもならず、ぶっ続けで3時間
弱・・堪能しました。

この薪能、京都能楽会の自主事業だそうで、入口での
チケットもぎり、パンフレットやグッズの販売、会場
整理等々、会員のみなさんが自らなさっているそう。
・・・それで、もう、69回!
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来年の70回目も、「見に来たい!」と、本気で思って
しまった。
・・ただ、3時から並ぶのはなぁ・・・ちと勘弁。
posted by JTm at 15:05| | 更新情報をチェックする

2018年05月13日

2018.5.12 国立能楽堂普及公演

2018.5.12 国立能楽堂普及公演

演目
解説・能楽あんない
  「足摺する俊寛、しない俊寛」
    佐伯真一(青山学院大学文学部教授)
狂言「茶壺」(大蔵流)
    シテ(すっぱ)=茂山宗彦、アド(中国方の者)=茂山 茂、
    アド(目代)=網谷正美、      後見=山下守之
  (休   憩)
能「俊寛」(金剛流)
    シテ(俊寛僧都)=宇高通成、
    ツレ(平判官康頼)=豊嶋晃嗣、(丹波少将成経)=宇高徳成、
    ワキ(赦免使)=福王和幸、アイ(船頭)=茂山千三郎
    囃子方 笛=槻宅 聡、小鼓=後藤嘉津幸、大鼓=大倉正之助
    後見=松野恭憲、豊嶋幸洋
    地謡=遠藤勝實、山田純夫、見越文夫、金剛龍謹、
       元吉正巳、種田道一、工藤 寛、宇高竜成

解説の「足摺する俊寛」は、平家物語の中に、ひと
り島に取り残された俊寛が、「幼き者の乳母や母な
どをしたふように」足摺をするという描写があるこ
とから。

佐伯先生、この俊寛の動作を実演付きで解説。この
時の俊寛は、学識高い僧でも、奢る平氏に一矢を報
いようとした英雄でもなく、ただひとり、孤島に取
り残されて、子どものように心細い弱い人間である
ことを示した。

そして、この意外なくらい透明な俊寛の姿ゆえに、
後世の作者による「それぞれの俊寛」が生まれた
・・・という、ま、そんなお話だったかと。

狂言「茶壺」。京の栂尾の茶を買い付けて、茶壺を
背負った中国方の者、兵庫の小夜野の宿の遊女の誘
いに乗って、したたかに酔い、道端に寝てしまう。

ふっと目が覚めると、外した肩掛けの一方を肩に、
隣で寝ている男がいる。

「俺のだ!」「いや、俺のだ!」と茶壺を奪い合う
ふたり・・・そこへ、目代(代官)が、仲裁に登場、
それぞれの言い分を聞くが・・・?

すっぱが秘かに相手の説明を盗み見て、そっくり真
似をする動きが愉快。こういう、お調子者の役、宗
彦さん、ホントによく似合うんだよな・・・

でも、今回は、目代の方が上手(うわて)だった。
「奪い合う物は中(仲裁人)から取る」と、ちゃっ
かり漁夫の利。

能「俊寛」。歌舞伎や文楽で見た「平家女護島」の
俊寛とは違うんだなー・・というのは、プログラム
の解説を見たので、分かってはいた。

しかし、地味ーな装束の男三人が、ただただ語り合
うだけ・・という前半は、やはりどうしても、ドラ
マチックな盛り上がりとは無縁だ。

そこに赦免使が到着し、一瞬、三人の心が浮き立つ。

しかし、赦免状に書かれた名はふたつだけ・・・
残される俊寛はもちろん、赦されるふたりだって、
決して素直には喜べない。

場の雰囲気は、また、たちまち暗ーくなってしまう。

という訳で、今回も、動きのほとんどない、謡だけ
での物語進行・・・これ、結構、厳しいです。

最後の最後に退場する俊寛は、両手を顔の前に斜め
に構える、泣きのポーズ(シオル、と言う)のまま、
長い橋掛を進んで行く。

ここに至ってようやく、ひとり取り残された俊寛の
孤独さ、寂しさが、胸に迫って感じられたのだが・・
・・・遅いよねぇ。ホント、情けない。
posted by JTm at 08:32| | 更新情報をチェックする

2018年03月08日

2018.3.7 国立能楽堂定例公演

2018.3.7 国立能楽堂定例公演

演目
狂言「音曲聟」(大蔵流)
  シテ(聟)=茂山逸平、
  アド(舅)=茂山七五三、アド(太郎冠者)=茂山宗彦、
  アド(教え手)=茂山千三郎     後見=井口竜也
  (休   憩)
能「千手」(金春流)
  シテ(千手の前)=髙橋 忍、ツレ(平重衡)=山井綱雄、
  ワキ(狩野介宗茂)=安田 登
  囃子方 笛=一噌幸弘、小鼓=幸 信吾、大鼓=谷口正壽
  後見=横山紳一、井上貴覚
  地謡=渡辺慎一、山中一馬、本田布由樹、金春安明、
     中村昌弘、辻井八郎、内田善昭、本田芳樹

「音曲聟」。聟入りの行事を控えた聟が、その作法を
教わりに来るが、教え手は、いたずら心を起こし、と
んでもないことを教えてしまう。

この人、悪い人ではないらしい。現に、冒頭で聟殿も
「いつも世話になっている」と言っているし。

じゃ、なぜ、こんないたずらをしたのか?
どうやら、もの知らずの聟が、「あなたは何度も聟入
りしているから」と言ったのに、カチンと来た・・?

聟入りというのは、結婚して初めて舅の家に挨拶に行
く行事。それを聟殿は、舅の家に行くのはすべて聟入
り・・と勘違いしたのだ。

でも言われた方にしたら、「あんたは何度も嫁さんを
取り替えてるから」と言われたように感じたのだろう。

「当世風は、会話をすべて謡でやるのだよ」と・・・

さて、舅の家。謡で話をする聟殿に、舅も太郎冠者も
大いに困惑・・・しかし、舅は言う。
「聟殿は、生真面目な人だから、たぶん誰かにからか
われたのだろう・・しかし、それを指摘したら、かえっ
てこちらがもの知らずと思われる」

というわけで、聟殿に合わせて、謡で会話・・なんか、
落語の「豊竹屋」みたいだなー。

かくて、新しい聟入りの作法が出来上がったのだ(笑)

「千手」。2015年に宝生流で見ている。
解説書を見たが、流派による違いはあまりないらしい。
『平家物語』に取材した物語である。

一の谷の戦で捕らえられた平重衡は、鎌倉に護送され
て、狩野介宗茂に預けられている。

幽閉の身、ましてや自らの罪業(特に南都焼き討ちの)
を悔いる重衡は、鬱々と日々を過ごしているので、狩
野介はこれを慰めようと酒を勧める。

そこへ、頼朝の命で、重衡の世話をする女・千手前が、
琴と琵琶を持ってやって来る。

千手前は、重衡を慰める舞を舞い、どんなに思い罪を
犯した者でも、聞けば天神の守護を受けられるという、
菅原道真の詩を詠じる。

千手前の優しい心に、重衡の心もなごみ、ふたりは琴
と琵琶で合奏・・・しかし、その一夜が過ぎて、重衡
はふたたび、都に護送されることに・・・

南都焼き討ちで興福寺、東大寺を始め、有力寺院を悉
く敵に回した重衡は、やがて、その南都の衆徒の手に
よって、斬首されることになる。

千手前との一夜・・・死に行く重衡にとって、それは
どのような意味を持つものだったのだろうか。

二度目なので、物語の大筋はなんとか理解。しかしな
がら、先月の「熊野」同様、動きが少なく、ほぼ謡だ
けで綴られて行くので、やっぱり、眠気との戦いに・・・

ホント、難しい。やれやれ。
posted by JTm at 10:46| | 更新情報をチェックする