2019年07月19日

2019.7.18 獅子の会@宝生能楽堂(その2)

この公演、実はお弁当付き。入場時に配られたそれを
昼夜の合間にいただく・・宝生能楽堂は国立よりもロ
ビーが広く、椅子もテーブルもたくさんあるのだが、
それでも、立食になっちゃった方も多かったみたい。

こんなかわいいお弁当でした。
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デザートは猪最中。
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2019.7.18 第一回 獅子の会 第二部・乱能

「乱能」というのは、「すべての出演者が本来の専門
の役ではないものを担当して催す」ことを言うそうだ。
以下、出演者名の後の括弧内は、その人の本来の専門。

演目
舞囃子「高砂」
  住吉明神=野村又三郎(狂言方)
  囃子方 笛=大友 順(シテ方)、小鼓=辰巳大二郎(シテ方)、
      大鼓=金子聡哉(シテ方)、太鼓=上田拓司(シテ方)
  地謡=内潟慶三(笛方)、高野 彰(大鼓方)、原 大(ワキ方)
仕舞「橋弁慶」
  武蔵坊弁慶=山本泰太郎(狂言方)、牛若丸=井上松次郎(狂言方)
  地謡=亀井広忠(大鼓方)、成田達志(小鼓方)、鳥山直也(小鼓方)
狂言「六地蔵」
  すっぱ甲=金井雄資(シテ方)、田舎者=辰巳満次郎(シテ方)、
  すっぱ乙=長島 茂(シテ方)、すっぱ丙=井上貴寛(シテ方)、
  後見=金野泰大(シテ方)
能「土蜘蛛-入違之伝
  怪僧=守家由訓(大鼓方)、土蜘蛛の精=桜井 均(太鼓方)、
  源頼光=大倉慶乃助(大鼓方)、従者=一噌幸弘(笛方)、
  胡蝶=茂山七五三(狂言方)、独武者=藤田貴寛(笛方)、
  立衆=江野 泉(笛方)、飯島六之佐(大鼓方)、
  独武者の下人=鳥山直也(小鼓方)
  囃子方 笛=佐野弘宜(シテ方)、小鼓=長島 茂(シテ方)、
      大鼓=原 大(ワキ方)、太鼓=村岡聖美(シテ方)、
  後見=野村又三郎、山本泰太郎(いずれも狂言方)
  地謡=井上松次郎、野口隆行、奥津健太郎(いずれも狂言方)、
     内潟慶三(笛方)、高野 彰(大鼓方)、
     亀井広忠(大鼓方)、成田達志(小鼓方) 
附祝言  (地謡方)

歌舞伎などでも、立役・女形が役を変えて演じる「天
地会」というのがあるが、そちらはあくまで役者間で
の役割交換。比較すると囃子方の演能、シテ方の演奏
というのは、より一層、ハードルが高い気がする。

もっとも、プログラムによれば、「能楽師は修行過程
において専門外のことも身につけ」るのだそうだ。そ
れによって、お互いの苦労を理解し、息の合った舞台
を務めることが出来るのだろう。

いやー、それにしてもみなさん、さすがに芸達者です!

「高砂」。お馴染み「たかさごやー」の謡に乗せて、
神々しく降臨する住吉明神・・最後が狂言「福の神」
みたいな“笑い止”だったのは、狂言師さんの“自己主張”
だったかな?・・・豪快な高砂でした。

「橋弁慶」。小柄でスリムな弁慶に、超がつくほど大
柄な牛若丸・・・これぞ、配役の妙。登場しただけで
場内爆笑。なんか、楽しそうなチャンバラごっこ。

「六地蔵」。仏像をあつらえる田舎者を騙そうとする
三人のすっぱ。三人で6体の地蔵像に化けようと・・

台本を手に後見座に座った金野さん、大丈夫そう?と
判断してか台本を下に置いたとたんに、田舎者役がセ
リフを失念・・「何だっけ?」と問われて、あわてて
台本をめくる・・

「ちゃんと見とけ!」って怒鳴られて・・「そっちこ
そ、ちゃんと覚えろ!」と、言い返したかったかも?

そして、仏師に化けたすっぱ甲のために、六地蔵の曰
く因縁故事来歴を“代読”・・すっぱ役は、なんと!
口(くち)パクで。

この演目は、後見が大活躍でした。

「土蜘蛛」。まず前段は、頼光の従者役・一噌幸弘師
が、すべてをさらった感。亥年生まれではないような
ので、助演ということなのだろうが・・大活躍。

対する胡蝶役の七五三師もまた、余裕をもってアドリ
ブで受け流す・・こちらはもう、慣れたものかも?

後ろで見守る他の演者や囃子方も、笑いを堪えるのに
必死だったような。

そして、前シテの怪僧も、後シテの土蜘蛛の精も、こ
れでもか!とばかりに蜘蛛の糸をまき散らす・・なん
か、途中で切戸の方から、土蜘蛛に加勢した方もいら
したようで・・・

やりたい放題、支離滅裂・・かと思えば、意外にしっ
かりセリフを言ったのが、アイに出た下人役の鳥山直
也師・・・でも最後には・・残った弁当の心配?

いやー、なんとも楽しい公演でした。
お弁当付きとは言え、12,000円というチケット代に、
行こうかどうしようかとかなり迷ったのでしたが・・・
終わってみれば、もう、十分以上にもとはとったかな。
大満足。
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2019.7.18 獅子の会@宝生能楽堂(その1)

2019.7.18 第一回 獅子の会 第一部

演目
能「忠信」(宝生流)
  佐藤忠信=辰巳満次郎、伊勢義盛=原 大、
  源義経=大友 順、従者=金森隆晋、藤井秋雅、
  法師武者=佐野弘宜、
  立衆=辰巳大二郎、金野泰大、田崎 甫、今井 基、金井賢郎
  囃子方 笛=内潟慶三、小鼓=観世新九郎、大鼓=守家由訓
  後見=小林与志郎、金井雄資
  地謡=澤田宏司、和久荘太郎、水上 優、
     山内崇生、大坪喜美雄、野月 聡
舞囃子「鶴亀」(観世流)
  皇帝=観世喜之
  囃子方 笛=江野 泉、小鼓=観世新九郎、
      大鼓=高野 彰、太鼓=桜井 均
  地謡=金子聡哉、久田勘鷗、寺井 栄、上田拓司
小舞「七つ子」(和泉流)
   三宅右矩  地謡=三宅近成、前田晃一
一調「土車」(喜多流)
   高林白牛口二  大鼓=飯島六之佐
仕舞「室君(むろぎみ)」(金春流)
   井上貴覚    
   地謡=村岡聖美、林 美佐、柏崎真由子
仕舞「鮎之段」(喜多流)
   谷 大作
仕舞「鵜之段」(喜多流)
   出雲康雅
   以上、地謡=高林昌司、狩野了一、中村邦生、
         佐々木多門
仕舞「夕顔-キリ」(観世流)
   寺井 栄
   地謡=久田勘鷗、上田拓司、金子聡哉
  (休  憩)
仕舞「隅田川」(観世流)
   久田勘鷗
   地謡=寺井 栄、上田拓司、金子聡哉
仕舞「雨月-前」(宝生流)
   小林与志郎
仕舞「梅枝-キリ」(宝生流)
   大坪喜美雄
   以上、地謡=大友 順、佐野弘宜、辰巳大二郎、
         金野泰大
仕舞「船弁慶」(観世流)
   上田拓司
   地謡=寺井 栄、久田勘鷗、金子聡哉
小舞「祐善」(和泉流)
   野村又三郎 
   地謡=井上松次郎、奥津健太郎、野口隆行
舞囃子「安宅-延年之舞」(宝生流)
  武蔵坊弁慶=金井雄資
  囃子方 笛=藤田貴寛、小鼓=成田達志、大鼓=亀井広忠
  地謡=小林与志郎、野月 聡、和久荘太郎、水上 優
狂言「二人大名」(大蔵流)
  道通りの者=茂山七五三、
  大名甲=山本泰太郎、大名乙=若松 隆
半能「石橋(しゃっきょう)」(喜多流)
  獅子=長島 茂、寂昭法師=殿田謙吉、
  囃子方 笛=一噌幸弘、小鼓=鵜澤洋太郎、
      大鼓=大倉慶乃助、太鼓=桜井 均
  後見=友枝昭世、高林白牛口二、中村邦生

「獅子の会」は、亥年生まれの能楽師さんたちの流派
を越えての会だそうで、「え、シシ違い?」と思った
けれど、獅子奮迅の意味も兼ねるとのことで・・なん
となく納得。

文字通り、会員のみならず助演のみなさんも、獅子奮
迅の大活躍。次から次に、これでもか!とばかりの演
目が・・・ということでコメントは一部に。

能「忠信」。事前にちょっと調べたが、この演目につ
いてはあまり資料が見当たらず・・役名から、あの狐
忠信の?程度の見当で見る。

狐は出てこなかったが、吉野に隠れた義経一行が、吉
野の衆徒に裏切られて落ち延びるという経緯。

義経を逃したあと、ひとり残った忠信が、それこそ獅
子奮迅の大活躍。アクロバティックな大立ち回りで、
初心者にも楽しい演目だった・・どうしてあまり取り
上げられていないのかなぁ?

間に狂言小舞を挟んで、「鶴亀」の観世喜之師と「土
車」の高林白牛口二(こうじ)師が、最高齢会員の御
年84歳。・・・えー?と思うくらいにお元気で。

休憩前後は、仕舞の連続・・聞き覚えがあるような、
ないような・・・そんな謡が続く。こうして聞く人間
の声って、本当に心地よいですね。

仕舞の最後「船弁慶」。先月、鑑賞教室で見たばかり。
知盛の霊が義経一行の前に現れて、弁慶がそれを調伏
する場面。

素人考えだが、この場面の知盛と弁慶には、敵をただ
憎むのではなく、敵対しながらも相手に対する尊敬が
感じられる。・・考えすぎかな?

狂言小舞「祐善」。追善の会の時に附祝言で謡われる
ので、耳に覚えがあるのだが、どんな曲なのか、未だ
によくわかっていない。どうやら、祐善というのは傘
張り職人で、とっても腕が悪かったらしい・・という
ことが、今回判明。

舞囃子「安宅」。歌舞伎十八番「勧進帳」の元になっ
た曲。その最後に弁慶が舞う、延年之舞。
・・それにしても、義経&弁慶の人気度高し。昼夜で
4演目。

狂言「二人大名」。狂言のお家の中では一番硬い芸風
の、山本東次郎家の大名に、茂山千五郎家の七五三師
が、いかにもお豆腐狂言らしく、柔軟にからむ・・面
白さが倍増する配役かも?

今年還暦の若松隆師、起上り小坊主、お疲れさまです。

半能「石橋」。半というのは、後半部分のみの上演だ
から。獅子の会ですからね・・これが出なければ、終
わりませぬ。

プログラムによれば、「喜多流のひとりで演る石橋は
大変大事に扱われており、特別な許しがないと上演出
来ない大曲」とのこと。

そして、獅子が赤い巻き毛というのが非常に印象的。
勇壮な舞で、千秋万歳を祝って、大団円。

第一部の終演が、午後5時半・・わずかのインターバ
ルで、6時から第二部が始まる。
それについてはまた別項で。
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2019年07月14日

2019.7.13 国立能楽堂普及公演

2019.7.13 国立能楽堂普及公演

演目
解説・能楽あんない
  「源融が愛した河原院」
   表 きよし(国士舘大学・日本文学)
狂言「入間川」(和泉流)
  シテ(大名)=野村又三郎、アド(太郎冠者)=奥津健太郎、
  アド(入間の某)=松田髙義     後見有
  (休  憩)
能「融(とおる)-遊曲、思立之出」(金剛流)
  シテ(前・老人、後・源融の霊)=今井清隆、
  ワキ(旅僧)=森 常好、アイ(所の者)=野口隆行
  囃子方 笛=松田弘之、小鼓=観世新九郎、
      大鼓=白坂信行、太鼓=小寺真佐人
  後見=廣田幸稔、豊嶋幸洋、今井克紀
  地謡=田村 修、坂本立津朗、見越文夫、種田道一、
     山田伊純、松野恭憲、元吉正巳、金剛龍謹

解説の表氏、話し方が明瞭で聞きやすく、内容もごくわか
り易い。「融」の主人公・源融の略歴や、この能と古歌の
関係等について。

「入間川」。入間川は埼玉県を流れる川で、その流域にあ
る入間という地名は、律令制以来の古い地名だそうだ。

この入間の里には、なぜか、物事をさかさまに言う風習が
ある(本当とは思えない)・・これを生半可の理解で真似
をしたために、ちょっと困った破目になるというお話。

主人公は、都滞在から本国に帰る途中、入間の里を通りか
かった大名・・さかさ詞の「入間様」を駆使?して、土地
の者と渡り合うが・・?

嬉しがってさかさ詞を使う大名と土地の者・・聞いている
となんだかわからなくなって・・さっさと退場した太郎冠
者が“正解”のようだ。

「融」。旅の僧が京都六条付近までやってくると、荒れた
風情の屋敷の庭が・・休んでいると、老人が現れて汐汲み
を始める・・

海でもないのになぜ?といぶかしく思う僧に、老人は、こ
の屋敷の由来を語る。

源融という人は、嵯峨天皇の息子ながら、臣籍降下して源
姓を賜り、後に左大臣まで上り詰めた方なのだそうだ。

左大臣・融は六条河原院の屋敷に、陸奥の千賀の塩竈の風
景を再現した庭を造り、わざわざ海水を運ばせて、塩づく
りを行わせたという。

そう老人は物語り、旅僧に問われるままに付近の山々の案
内をして、汐を汲んでいなくなる。

所の者から、「その老人はもしかしたら融大臣の化身かも?」
と聞いた旅僧は、この屋敷跡で一夜を過ごし、融大臣の霊
に遭遇・・・

なんかなー、京の都に陸奥の風景を再現するという、あま
りにも贅沢な優雅さには、正直、付いていけない感じ・・
しかも、海のない京都に海水を運ばせるって?

冒頭の表氏の解説では、融は決して思い通りの人生を送っ
たわけではないとのことだったし、桁外れの贅沢も、実は
その憂さ晴らしではないかという解釈が、プログラムに書
かれていたが・・・庶民感覚では???と、はてなマーク
を林立させざるを得ない。

後シテの融大臣の霊の姿は、面・装束ともいかにも優雅で、
でもどこか憂鬱さを感じさせる雰囲気ではあったけれど。
(面は、中将という名で在原業平の相貌を模したと言われるものだそうだ)
posted by JTm at 08:50| | 更新情報をチェックする