2017年03月14日

2017.3.13 国立劇場三月歌舞伎公演

2017.3.13 国立劇場三月歌舞伎公演

演目
通し狂言「伊賀越道中双六」5幕7場 近松半二ほか=作
 序 幕  相州鎌倉 和田行家屋敷の場
 二幕目  相州鎌倉 円覚寺方丈の場
       同      門外の場  
  (休  憩)
 三幕目  三州藤川 新関の場
      同    裏手竹藪の場
  (休  憩)
 四幕目  三州岡崎 山田幸兵衛住家の場
  (休  憩)
 大  詰  伊賀上野 敵討の場
 (配役)唐木政右衛門=中村吉右衛門、和田志津馬=尾上菊之助、
      政右衛門妻お谷=中村雀右衛門、沢井股五郎=中村錦之助、
      山田幸兵衛=中村歌六、妻おつや=中村東蔵、
      娘お袖=中村米吉、佐々木丹右衛門・奴助平=中村又五郎 外

三月の演目が「伊賀越」と聞いた時、正直、思いまし
たね・・え、また?と。

2013年に文楽と歌舞伎、2014年に歌舞伎・・4年間
に4回、歌舞伎だけでも3回。・・・異例の多さだ。

今回は、前回2014年に44年ぶり復活上演された「岡
崎」の場が、読売演芸大賞・最優秀作品賞とやらを受
賞した、その“凱旋公演”らしい。

というわけで、メインの「岡崎」は、前回通りの配役。
ただし、その前段の場面は、前回の「誉田家城中」の
場を、「本覚寺」に差し替えた(86年ぶりの復活!)。

差し替えの理由はいろいろあるだろうが、わたしの私
見では、ひとえに、政右衛門役の負担軽減だと思う。
・・・前回上演から二年ちょっと・・年とりますよ、
演る方も、見る方も。

そして結果的に、これは正解だったと思う。

吉右衛門丈が「岡崎」での演技に集中することによっ
て、仇を捜すために我が子に手を掛ける政右衛門の、
深い苦しみが、より一層、明確に伝わった。
(前回は泣かなかったが、今回は泣かされた・・)

さらに、「円覚寺」での沢井一派の卑怯な裏切りを見
せることで、「なんとしても仇を討ちたい」という、
政右衛門の固い決意に、納得も出来るのである。


以下は、本筋とはあまり関係のないどうでもいい感想。

和田志津馬と、政右衛門の妻・お谷は、姉弟である。
序幕では、姉は親の許さぬ相手と駆け落ち、弟は悪い
友だちにそそのかされて廓通い・・・父の行家は、ご
く厳しそうな人なのに、いったい、この家の教育はど
うなってるのか・・・と。

しかし、志津馬の廓通いは、決して無駄ではなく・・・
藤川の新関では、関守の娘・お袖に色目を使って、関
所破りをしてしまうのだから。

生まれたばかりの幼子を亡くす姉のお谷と違って、こ
の弟の、なんと呑気なことか・・と思わないでもない。

もうひとつ。第二幕で沢井股五郎を受け取りに本覚寺
を訪れる、行家の弟子の佐々木丹右衛門を演じるのが、
中村又五郎丈・・というのも、なんか、可笑しかった。

マタゴロウがマタゴロウを受け取りに?
演じている方も、可笑しかったんじゃなかろうか。
posted by JTm at 09:45| 芝居 | 更新情報をチェックする

2017年01月20日

2017.1.19 国立劇場初春歌舞伎公演

2017.1.19 国立劇場初春歌舞伎公演

演目
国立劇場開場50周年記念
通し狂言「しらぬい譚(ものがたり)」
 (柳下亭種員ほか=作『白縫譚』より。
  尾上菊五郎=監修、国立劇場文芸研究会=脚本)

発 端        若菜姫術譲りの場
序 幕     (筑前)博多柳町独鈷屋の場
二幕目 第一場 (筑前)博多菊地館の場
    第二場    同  奥庭の場
          三味線=杵屋巳太郎、尺八=神永大輔
  (休   憩)
三幕目     (筑前)博多鳥山邸奥座敷の場
  (休   憩)
四幕目 第一場 (京)錦天満宮゜鳥居前の場
    第二場 (京)室町御所の場
  (休   憩)
大 詰     (肥前)島原の塞(とりで)の場

 <配役> 大友若菜姫=尾上菊之助、鳥山豊後之助=尾上菊五郎、
      鳥山秋作=尾上松緑、乳母秋篠・足利義輝=中村時蔵、
      菊地貞行=坂東亀三郎、大友刑部・謎の参詣人=片岡亀蔵、
      傾城綾機・足利狛姫・山猫の精=尾上右近  外

毎年の吉例で、正月の歌舞伎公演は、一種“お祭り”である。

その「仕掛人」は、尾上菊五郎丈・・・最近は、もっぱら、息子
の菊之助丈が奮闘役、それでも、重鎮としての存在感、さら
に、え!?と、思わせるような柔軟な発想(いい意味でのお
ふざけでもあるが)など、この人無くしては、国立の初春は明
けないと言っても過言ではないだろう。

今回の演目は「しらぬい譚」。原作は江戸時代末期から明治
にかけて、何人もの作者に書き継がれた長篇小説である由。

小説の刊行途中から、何度も芝居になっていたそうだが、そ
の後途絶え、昭和52(1974)年に、国立劇場で復活上演。
(さすがに、見てません)

今回は、それをさらに改訂し、原作の中から“芝居向き”の、
面白そうな場面を選りすぐって脚本を制作したとのこと。

筑紫の菊地家と大友家の領地争い、庶民に身をやつした姫
君、怪しげな蜘蛛や猫の妖怪、そり魔を破る家宝の鏡・・・
等々、これでもか!とばかりに詰め込んだ、面白さの数々。

そして、客席上空を、斜めに飛ぶ菊之助丈の2度にわたる宙
乗り、御殿の屋根に突如として出現する巨大な化け猫、その
化け猫に操られる「猫四天」の立ち回り・・・舞台機構を駆使し
し、外連味もたっぷりで、見るものを飽きさせない。

そして、休憩時間を除けば2時間半ほどという、スピーディな
展開・・・三か月にわたる忠臣蔵の長さに慣れた身には、そ
うか、これも歌舞伎なんだ!と、目からウロコ・・・でした。

国立劇場の初期、「原則は通し上演」という目標を掲げること
に、「上演されなくなったのはつまらないから。それをわざわざ
復活する意義はない」という批判もあった(わたしの母なども
その意見だった)らしい。

しかし、要はそのやり方次第。
現代に生きるように、“面白く”復活させれば良いのです・・・。
ま、今も、ご意見はいろいろあるようではありますが、ね。  
posted by JTm at 21:00| 芝居 | 更新情報をチェックする

2016年12月15日

2016.12.14 国立劇場十二月歌舞伎公演

2016.12.14 国立劇場十二月歌舞伎公演

演目
国立劇場開場50周年記念
通し狂言「仮名手本忠臣蔵」 第三部
  (竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作)

 八段目 道行旅路の嫁入
  <配役> 戸無瀬=中村魁春、娘・小浪=中村児太郎
  <義太夫> 浄瑠璃=竹本東太夫 外
          三味線=鶴澤寿治郎 外
  (休   憩)
 九段目 山科閑居の場
  <配役> 加古川本蔵=松本幸四郎、大星由良之助=中村梅玉、
        戸無瀬=中村魁春、娘・小浪=中村児太郎、
        由良之助妻・お石=市川笑也、力弥=中村錦之助 外
  (休   憩)
 十段目 天川屋義平内の場
  <配役> 天川屋義平=中村歌六、女房お園=市川高麗蔵、
        太田了竹=松本錦吾、大星由良之助=中村梅玉 外
  (休   憩)
 十一段目 高家表門討入りの場
         同 広間の場
         同 奥庭泉水の場
         同 柴部屋本懐焼香の場
        花水橋引揚げの場
  <配役> 大星由良之助=中村梅玉、力弥=中村米吉、
        寺岡平右衛門=中村錦之助、竹森喜多八=坂東亀寿、
        小林平八郎=尾上松緑、和久半太夫=片岡亀蔵、
        原郷右衛門=市川團蔵、桃井若狭之助=市川左團次 外

さて、三か月目、いよいよ大詰めの忠臣蔵である。
ただ、大掛かりで華やかな場面は、先月までに終わって
しまい、今月は、ちょっと地味だなーという印象・・・。

八段目、九段目は、先週見たばかりの文楽とほぼ一緒。
既視感ゆえか、眠気に襲われてしまう・・・スイマセン。

山科閑居の後半、加古川本蔵が登場するあたりから、よ
うやく覚醒して、芝居に集中。

大星の妻・お石が、婚礼の引き出物に、本蔵の首を要求
するところで登場した本蔵が、わざと、お石や力弥の怒り
を買うセリフを吐く・・・槍で突きかかるお石をあしらい、力
弥の手にかかる・・・

この場面、人形でははっきりしなかったけれど、本蔵は、
いったん、力弥の槍をかわし、改めてその穂先を、自らの
手で自分の脇腹に刺し通す・・・・

最初から死ぬつもりで来ていたことが、はっきりと示される
わけだ。

十段目の天川屋では、文楽では省かれた?義平の舅・了
竹が登場。これが元は、斧九太夫の扶持を得ていたという
設定で、それ故に義平は、女房のお園の口から、仇討の
企てが漏れるのを恐れて、女房を里に返したのだ。

この設定のおかげで、義士たちのうちに、天川屋を信じられ
ない者がいるという話に納得・・・大星が、義平を試そうとす
る試みも、仕方ないかなと思えてくる。

討入りの場面は、大劇場の舞台機構をフル活用した素早い
場面転換で、広間、奥庭での立ち回りをたっぷりと・・・うん、
これはやっぱり、歌舞伎ならでは、です。人形では無理。

師直は、庭の柴部屋に潜んでいるところを見つかって討た
れ、大星が懐から取り出した、亡君の位牌に、義士たちが
焼香する・・・これも文楽にはなかった場面。

最後、花水橋の場面で、義士たち全員が、若狭之助に自分
の名を名乗る・・・・これ、かなり感動的でした。


三か月、三十年ぶりの通し公演を見て、不思議と、三十年前
の舞台が思い起こされたのは、我ながら不思議。そんなもの
とっくに忘れたと思っていたのに。(以下、敬称略にて失礼)

判官は、七世梅幸。しんみりと悲しく。

おかる勘平の道行は、おかるが十八世勘三郎(当時勘九郎)
で、勘平が十二世團十郎。きれいだった。

五段目・六段目の勘平は、十七世勘三郎・・・あ、喧嘩場の師
直も・・・これは、憎々しかった!

九段目の戸無瀬は、六世歌右衛門・・・魁春さん、よく似てた。

みんなみんな、故人です・・・懐かしい。

と、まあ、よく言う、團菊ジジィ、菊吉オヤジのようなものにな
りそうな気配濃厚な、この頃のワタクシです。
posted by JTm at 09:00| 芝居 | 更新情報をチェックする