2019年03月27日

2019.3.26 国立劇場三月歌舞伎公演@国立小劇場

2019.3.26 国立劇場三月歌舞伎公演

演目
「元禄忠臣蔵・御浜御殿綱豊卿」2幕5場
     真山青果=作、真山美保=演出
 第一幕 御浜御殿御殿松の茶屋
 第二幕 御浜御殿綱豊卿御座の間
     同   入側お廊下
     同   元の御座の間
     同   御能舞台の背面
  (配役)徳川綱豊=中村扇雀、お喜世=中村虎之介、
      富森助右衛門=中村歌昇、
      新井勘解由=中村又五郎 外
  (休  憩)
「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」常磐津連中
     宝田寿来=作
  (配役)関守関兵衛実ハ大伴黒主=尾上菊之助、
      小野小町姫・傾城墨染実ハ小町桜の精=中村梅枝、
      良峯少将宗貞=中村萬太郎
  (常磐津)浄瑠璃=常磐津兼太夫、常磐津菊美太夫 外
       三味線=常磐津文字兵衛、岸澤式松 外

小劇場での歌舞伎本公演は12年ぶりだそうだ。
12年前のその公演は、新作台本の入選作だったの
ではないかな。とっても斬新な演出だったという
記憶がある。 

今回も、新作という範疇ではあるけれど、真山青
果作となれば、これはもうすっかり定着した演目
ではある。

「御浜御殿綱豊卿」は、2011年の前回上演が記憶
に新しい。ベテラン揃いだった前回と異なり、小
劇場歌舞伎らしく、若手が大活躍。

御浜御殿に吉良上野介が来ると聞いて、赤穂浪士
のひとり。富森助右衛門が、つてをたどって御殿
に入り込む。

妹(実は名目上の)が、綱豊卿の愛妾となったこ
とを頼りに御殿を訪れる助右衛門・・なんだか、
「妾馬」の八五郎だな・・なんて思ったりして。

しかし、綱豊卿は助右衛門の正体もその目的も、
とうに察している。そしてなんとか仇討をさせた
いものと思っているのだ。

ただ、本妻の実家の近衛関白家は、大石内蔵助を
召し抱えたいと考えており、そのためには浅野家
を再興して、仇討をさせない方が良い。

妻の実家の意向と、自分の気持ち・・板挟みになっ
た綱豊卿は苦しい立場だ。

助右衛門に迫って、仇討の企ての有無を明かさせ
ようとする綱豊卿・・頑として口を割らない助右
衛門。火花を散らすやり取りだ。

最後、能舞台で演じられている(という設定)の
演目は、当初、「船弁慶」だったのが、能楽関係
者の助言で「望月」に変えられた・・と、プログ
ラムに紹介されていた。

「望月」は、主君の仇を討つ物語だそうで、確か
に、この場にはよりふさわしいと言えよう。

「積恋雪関扉」。こちらは上演回数の少ない演目
で、前回は1991年の正月、大劇場での上演。故
團十郎丈と玉三郎丈の顔合わせだったらしい。
・・・見ているはずだがな・・記憶にない。

今回は、今まさに“旬”の菊之助丈が、初役で関兵
衛を務めるというので、楽しみに見る。

もちろん、菊之助丈は良かったけれど、それ以上
に、小町桜の精を演じた梅枝丈が美しかった。

なにやら陶然として、夢心地・・・どっぷりとそ
の世界に浸った。


小劇場での歌舞伎公演は、若手中心の座組や、新
作など、意欲的な試みが多かったと記憶している。

なぜ、12年もの間、途絶えていたのか、その事情
は知らないが、これを機に、復活してくれるのか
・・・大いに期待したい。

桜が花盛りは、劇場の外も。
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いつもは10日前後に見に行く歌舞伎・・今回は
楽日前日になったおかげで、桜の方も堪能しま
した。
posted by JTm at 09:54| 芝居 | 更新情報をチェックする

2019年01月24日

2019.1.23 国立劇場新春歌舞伎公演

2019.1.23 国立劇場新春歌舞伎公演

演目
通し狂言「姫路城音菊礎石」五幕九場
    (ひめじじょうおとにきくそのいしずえ)
      並木五瓶作『袖簿播州廻』より 
 序 幕 曽根天満宮境内の場
 二幕目 姫路城内奥殿の場
     同 城外濠端の場
  (休  憩)
 三幕目 姫路城天守の場
  (休  憩)
 四幕目 舞子の浜の場
     大蔵谷平作住居の場
     尾上神社鐘楼の場
  (休  憩)
 大 詰 印南邸奥座敷の場
     播磨潟浜辺の場
  (配役)印南内膳=尾上菊五郎、
      弓矢太郎・お辰・小女郎狐=尾上菊之助、
      古佐壁主水・与九郎狐・加古川三平=尾上松緑、
      飾磨大学=片岡亀蔵、兵庫之助・碪の前=中村時蔵、
      桃井陸次郎・同八重菊丸=中村梅枝、傾城尾上=尾上右近、
      平吉実ハ桃井国松=寺島和史、福寿狐=寺島眞秀   外

毎年恒例、菊五郎一座の“やりたい放題”新春歌舞伎。

いつも月の中ごろに見るのだが、今年は好みの席を
とることが出来ずに、下旬にずれ込んだ・・さぞか
し、混雑している?と思いきや、一階席は8分くら
いか?・・すぐ前と隣が空席だったのはありがたい。

今年の「目玉」は、菊五郎丈とふたりのお孫さんの
共演。菊之助丈の息子・和史くんは昨年3月に続き
だが、寺島しのぶさんの息子・眞秀(まほろ)くん
は、今回が初舞台だそうだ。

この芝居、平成3年に「袖簿播州廻(そでにっきば
んしゅうめぐり)」の外題で復活したものだそうで、
確実に見ているはずなのだが、さっぱり記憶にない。

お家乗っ取りの陰謀あり、天守に潜む鬼女?あり、
狐夫婦・親子の活躍ありと、変化に富みテンポの速
いテンポの速い展開は、見ていて爽快だった。

帰宅して、前回上演時のプログラムを探し出したが、
前回は、並木五瓶の原作に忠実な復活だったらしい。

今回は、それにとらわれずに思い切って派手にやっ
たのが、功を奏したと言えるかもしれない。

ふたりの坊やの可愛らしさも、見ていて微笑ましく、
正月らしい、明るく嬉しい芝居だった。
posted by JTm at 13:35| 芝居 | 更新情報をチェックする

2019年01月20日

2019.1.19 お正月@座・高円寺1

2019.1.19 玉造小劇店配給芝居vol.24 「お正月」

「お正月」 (作・演出=わかぎゑふ)
   出演 桂 憲一、野田晋市、山像かおり、コング桑田、
      美津乃あわ、うえだひろし、茂山宗彦、水町レイコ、
      有馬自由、浅野彰一、是常祐美  外

いつもなら、役名とともに俳優さんの名を書くところ
だが、この芝居に限っては、あまり意味がなさそうな
ので、役名は省略する。

ま、ひとつにはひとり二役がほとんどで長くなりすぎ
るということもあるのだが・・。

ただ、それ以上に、この芝居、主人公は決して人間で
はない・・という気がしたからだ。

主人公は、最初から最後まで舞台となる、ある一軒の
家の座敷であり、明治から平成、100年を超える時の
流れである。

この座敷の、年ごとの正月元日の情景が、早いテンポ
で次々に展開する。

ひとりの男が翌年には結婚して妻とふたりに・・そし
て、次の場面ではすでに3人の娘を持つ・・というよ
うに。

そうして移って行く時代の流れ、背景が、人々の会話
の中で浮かび上がってくる。

最初の場面は明治5年、維新からわずか5年後。やが
て日清戦争、日露戦争を経て、時代は大正へ。

大正デモクラシーの“春”も束の間、関東大震災・・昭
和に入って、日中戦争から太平洋戦争、自由だった人
の心までが、戦時色一色に染まっていく日々。

それが一転、敗戦後のアメリカナイズと、人々の豹変
(職業軍人だった次男坊が、進駐軍出入りのジャズ歌
手のマネージャーになっている)ぶり。

そして、ついに関東大震災に被災しして、安全な大阪
に嫁に来たと言っていた女性が、71年後、阪神淡路の
震災に合い、この家を手放すことに。

これで終わり?と思ったら、最後にもう一場面。

家はどうやら買い手がつかなかったのか、東日本大震
災の翌年、補修されて、岩手・大槌町からの移住者に、
貸し出されることに。

この新しい居住者を迎える、2012年の元日がラスト
シーンだ。

この芝居、前回上演は、15年前とのことなので、この
あとの大団円的場面は、おそらく、今回の補筆だろう。

各世代の「お正月」をつなぐのが、この一家、鈴木家
の、各代のおせち料理、特に、高野豆腐の煮物。これ
が薄味だったり濃い味だったり、甘かったり辛かった
り・・・と、時代によって種々様々ながら・・どれも
みな、決して美味しそうとは言えないシロモノ・・って
のが、なんとも愉快だ。

ケラケラ笑いながら、この家が、我らが日本が経てき
た、長いようで短い、変化が多いようであまり変わら
ない、100年という歳月について、いろいろと考える
ことが多かった。

以下は余談。
元日の話ということで、女優陣はみなさん晴れ着姿。
男優さんはだいたい、黒のスーツだったが、最後の場
面で、日系三世のケントとして登場する、茂山宗彦さ
んだけが、着物を着て登場した。

その姿が、なんとも自然で、どの女優さんのお着物姿
より、決まっていたなぁ・・という印象。さすがは、
狂言師!・・と、もっぴーファンは、大満足。

 IMG_4377.JPG 最後の挨拶。
posted by JTm at 10:22| 芝居 | 更新情報をチェックする