2018年03月17日

2018.3.16 国立劇場三月歌舞伎公演

2018.3.16 国立劇場三月歌舞伎公演

演目
「増補忠臣蔵ー本蔵下屋敷ー」(一幕二場)
 第一場  加古川家下屋敷茶の間の場
        浄瑠璃=竹本蔵太夫、三味線=鶴澤翔也
 第二場  同      奥書院の場
        浄瑠璃=竹本愛太夫、三味線=鶴澤慎治
  (配役)桃井若狭之助=中村雁治郎、加古川本蔵=片岡亀蔵、
      井浪伴左衛門=市村橘太郎、三千歳姫=中村梅枝 外
  (休   憩)
「梅雨小袖昔八丈-髪結新三-」(三幕六場)
    河竹黙阿弥=作、尾上菊五郎=監修
 序 幕  白子屋見世先の場
      永代橋川端の場
  (休   憩)
 二幕目  富吉町新三内の場
      家主長兵衛内の場
      元の新三内の場
 大 詰  深川閻魔堂橋の場
  (配役)髪結新三=尾上菊之助、家主長兵衛=片岡亀蔵、
      家主女房お角=市村橘太郎、手代忠七=中村梅枝、
      弥太五郎源七=市川團蔵、白子屋お熊=中村梅丸、
      白子屋後家お常=市村萬次郎  外

「増補忠臣蔵」。増補というのは、本篇には登場しない
脇筋のエピソードという意味だそうで、現代風に言えば、
忠臣蔵スピンオフというところだろうか。

忠臣蔵九段目、山科閑居の場に、松の廊下で塩冶判官を
抱き止めた桃井家家老の加古川本蔵が登場して、大星の
息子・力弥に討たれる。


ここの本蔵の登場は、よくよく考えてみると、なんか、
唐突じゃないかい?・・・という疑問の解答の物語だ。

師直を討とうと考えたのに、家老の本蔵が、密かにまい
ないを贈ったためその機を得られず、松の廊下以降、
「へつらい武士」と陰口を言われている若狭之助。

殿様の怒りは本蔵に向かい、本蔵は自ら、下屋敷に蟄居
している。その屋敷内には、若狭之助の妹で判官の弟と
許婚の間柄の三千歳姫もかくまわれている。
(今風に言うと、マスコミから隠れている・・というところか)

そこへ、若狭之助がお成り・・との知らせ。
いったい、なに?・・と色めき立つ屋敷内。三千歳姫に
横恋慕する伴左衛門は、この機に乗じて、お家乗っ取り
を画策するが・・・。

最後、本蔵を死罪にすると言いながら、実は伴左衛門の
悪事を暴く若狭之助に、つい、先日見たばかりの、某T
Vドラマの最終回を思い出したのは、我ながら苦笑せざ
るを得なかった。

そして自らの心情を語る若狭之助のセリフ・・・
「へつらい武士は数多いる」・・うん、最近では財務省
辺りに、多く生息しているようだ。

閑話休題。
本蔵の処罰は済んだと、若狭之助は言い、本蔵に虚無僧
の身支度をしてやり、師直邸の絵図面を渡す・・そうか、
それで!・・・と、山科に突然本蔵が登場する謎が、見
事に解けたのだった。

「梅雨小袖昔八丈」。こちらは2015年に芝翫(当時は
橋之助)丈の主演で上演したものと、ほぼ同じ内容。

新三役の菊之助丈・・・いい男すぎ!
なんか、落語「雪とん」のお祭り佐七を思わせるなぁ・・・
これじゃ、お熊は、「親指と人差し指、指二本で」あっ
さりと、忠七から乗り替えちゃうんじゃないかい?

そして、その分、ワルの要素に乏しい感が・・・無きに
しも非ず。まあ、このあたりは次に期待としておく。
なにせ、尾上菊五郎家にとっては、まさしく「家の芸」
ですからね。今後も、見る機会は多そうだ(って、国立
で演ってくれないとダメなんだけどね)。

「忠臣蔵」で敵対する武士を演じた亀蔵・橘太郎両丈が
こちらでは大家夫婦に扮して、コミカルな演技を見せる。
達者な脇役無くして、芝居は成り立たない・・というこ
とを、体現して見せた。

お熊役、梅丸丈がなんとも可愛らしい娘振り。
最近の若手はよく知らないので調べてみたら、梅玉丈の
部屋子で、21歳。歌舞伎のお家の出ではなく、ご両親は
ともに出版関係のお仕事とか。

梨園外から人気役者になった女形には、坂東玉三郎丈と
いう素晴らしい先輩もあることだし、今後、ますますの
ご活躍を期待したい。

もうひとり、若手も若手、今年5歳になる、菊之助丈の
長男、寺嶋和史くんが、新三を呼びに来る小僧さんの役
で、登場している。

こちらは、当代の菊吉を祖父に持つ、サラブレット中の
サラブレットだ。今から活躍を期待などと書くのは、さ
すがに早すぎるけれど、一生懸命芝居振りを演じて、と
ても可愛らしく、客席からは大きな拍手。

お父さんと手をつないで、袖に入って行く背中は、親子
共にほっとした様子に見えた。
posted by JTm at 10:36| 芝居 | 更新情報をチェックする

2018年01月16日

2018.1.16 国立劇場新春歌舞伎公演

2018.1.16 国立劇場新春歌舞伎公演

演目
通し狂言「世界花小栗判官(せかいのはなおぐりはんがん)」四幕十場
 発 端(京)     室町御所塀外の場
 序 幕<春>(相模) 鎌倉扇ヶ谷横山館奥庭の場
            同       奥御殿の場
            江の島沖の場
  (休   憩)
 二幕目<夏>(近江) 堅田浦浪七内の場
            同  湖水檀風の場
  (休   憩)
 三幕目<秋>(美濃) 青墓宿宝光院境内の場
            同  万屋湯殿の場
            同    奥座敷の場
  (休   憩)
 大 詰<冬>(紀伊) 熊野那智山の場
  (配役)盗賊風間八郎=尾上菊五郎、小栗判官=尾上菊之助、
      照手姫=尾上右近、漁師浪七=尾上松緑、
      細川政元・万屋お槙=中村時蔵、鬼瓦の胴八=片岡亀蔵、
      浪七女房小藤・万屋お駒=中村梅枝  外

馬が活躍?する物語からだろうか、開幕時、暗くした
場内に馬頭琴の音が響き、舞台では、銀河を流れる星
の中から、馬の姿が・・・(チンギス汗か!?)

発端で父を殺された小栗判官が、許婚の照手姫ととも
に、父を殺しお家の重宝を奪った盗賊を探し求める。

彼らを助ける者あり、妨害する者あり、また、その目
的とはまったく関りがないのに、知らない内に渦中の
人となる者も。

派手な立ちまわりあり、チャリ場あり、女の嫉妬と恨
み、果ては幽霊まで登場するという・・・まさにサー
ビス満点というか、やりたい放題というか・・・

色々とツッコミたいところは、多々あれど、まあ、別
にいいか・・と、許せてしまうのが、歌舞伎の楽しさ
だねぇ。

そんなことを、再確認させてくれた新春の歌舞伎。
楽しゅうござんした。

先月は岳父の吉右衛門丈と一座した菊之助丈が、今月
は実父の菊五郎丈と。見た目の美しさ、口跡の良さ、
惚れ惚れする男っぷり。

・・お父上には申し訳ないが、この人が八代目になる
日を、なんとか見たいもの・・と思ってしまった。

そして、松緑丈が、11月の坂崎出羽守役に次ぐ好演。
二幕目の後半、舟の櫂や網を用いての立ち回りは、昔
見た、先代辰之助(三代目松緑を追贈)丈の「蘭平物
狂」を思い出し、大いに懐かしかった。

この場面と、序幕の小栗判官の馬の曲乗りの場面、三
階さんたちの活躍に、大きな拍手を贈りたい。

※1/25追記。
名馬「鬼鹿毛」を演じたのは、坂東八重之、尾上音之助、尾
上音蔵、坂東橘助の4名である由(おそらくは、2名ずつの
交互)。この公演での国立劇場賞特別賞を受賞されたとのこ
と。おめでとうございます!
posted by JTm at 21:43| 芝居 | 更新情報をチェックする

2017年12月15日

2017.12.14 国立劇場十二月歌舞伎公演

2017.12.14 国立劇場十二月歌舞伎公演

演目
「今様三番三(いまようさんばそう)」
  (配役)曽我二の宮実ハ如月姫=中村雀右衛門
      佐々木行氏=中村歌昇、結城貞光=中村種之助 外
   大薩摩=芳村伊四之介、三味線=杵屋五七郎
  (長唄連中)唄=鳥羽屋里長、杵屋勝彦、鳥羽屋長孝、
          杵屋五功次、芳村翔太郎、鳥羽屋三之助、
          杵屋六昶俉、鳥羽屋里一郎
        三味線=杵屋栄津三郎、稀音家新之助、
            杵屋正園、杵屋佐助、吉住友孝、
            杵屋栄之丞、杵屋五英治、鳥羽屋和樹
  (鳴物連中)笛=鳳声晴由
        小鼓=田中源一郎、望月左京、田中傳一郎
        大鼓=田中傳吉  太鼓=住田長十郎
  (休   憩)
通し狂言「隅田春妓女容性(すだのはるげいしゃかたぎ)」三幕九場
     -御存梅の由兵衛- 並木五瓶=作
 序 幕 柳島妙見堂の場
     同 橋本座敷の場
     同   入口塀外の場
  (休   憩)
 第二幕 蔵前米屋店先の場
     同   塀外の場
     同   奥座敷の場
     本所大川端の場
  (休   憩)
 大 詰 梅堀由兵衛内の場
     同 仕返しの場
  (配役)梅の由兵衛=中村吉右衛門、
      由兵衛女房小梅・弟長吉=尾上菊之助、
      源兵衛=中村歌六、曽根伴五郎=大谷桂三、
      金谷金五郎=中村錦之助、芸者小三=中村雀右衛門、
      信楽勘十郎=中村東蔵、米屋娘・お君=中村米吉 外

「今様三場三」。能の式三番、つまり翁から派生した
舞踊とのこと。厳粛な儀式的要素の強い翁が、女形の
舞踊となって、華やかで艶めいた舞台に。

源氏に敗れて取り上げられた平家の白旗を、平忠度の
娘・如月が取り返そうとする・・・長くなびかせた白
機を巧みに操っての踊りが見どころ。

「隅田春妓女容性」。読み方、難しー・・

駆け落ちして芸者になった旧主の娘を、なんとか身請
けしようとする侠客・由兵衛が、その金の算段に窮し、
知らぬこととは言え、女房の弟を殺害してしまう。

三組の相愛の男女に、それぞれ横恋慕する男がからみ、
金や主家の重宝を奪い合う・・・よくあるパターン。

大川端で、由兵衛と長吉が出会う場面、ここでひと言
由兵衛が名乗りさえしたら、この悲劇は起こらなかっ
たのに・・・と、思わざるを得ないのだが・・・

もしかしたら由兵衛は、長吉が金を持っていることを
知って、とうから奪うつもりになっていたのかも。
・・悪いことするつもりなら、名前は言えないものな。

その殺しの罪はどこへやったのか・・・重宝は奪い返
し、旧主の娘は、恋人と結ばれるという結末。

気の毒なのは、恋人を殺されたお君さん・・と言いた
いところだが、長吉のための金を、別の男の自分への
恋心を利用して作ろうなんてするから・・因果応報。

このお君の長吉への恋文と、長五郎へのニセ恋文が、
錯綜する米屋の場面は、なにやら落語「文違い」を思
わせる・・大家のお嬢様が、新宿の女郎と同じ手練手
管を使っちゃうんだねぇ。

菊之助丈が、姉の小梅と弟の長吉を二役早変りで見せ
る米屋塀外、吉右衛門・菊之助両丈が、客席を巡る
(わたしのすぐ横を通った!)大川端など、観客への
サービスは満点。

あまり深いところまで考えずに、ただ楽しめばよい・・
のだろうな。
posted by JTm at 10:21| 芝居 | 更新情報をチェックする