2020年01月20日

2020.1.19 新春浅草歌舞伎@浅草公会堂

2020.1.19 新春浅草歌舞伎 第2部

演目
お年玉<年始ご挨拶>       中村橋之助
「絵本太功記」
  尼ヶ崎閑居の場
  (配役)武智光秀=中村歌昇、十次郎=中村隼人、
      初菊=中村米吉、皐月=中村梅花、
      操=坂東新悟、佐藤正清=中村橋之助、
      真柴久吉=中村錦之助   外
  (休  憩)
「仮名手本忠臣蔵」
  祇園一力茶屋の場
  (配役)大星由良之助=尾上松也、お軽=中村米吉、
      寺岡平右衛門=坂東巳之助、
      斧九太夫=大谷桂三    外

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浅草の新春は、若手奮闘の歌舞伎公演。今まで行った
ことがないのだが、ふとしたことからチケットを譲り
受け、初めて参加。

たまたまだが、この日の第2部は、「着物で歌舞伎」
というイベントだったようで、着物のお客さん多数・・
そして、案内のお嬢さんたちも着物姿。

ま、わたしはいつも通りのジーンズですが。

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冒頭に出演俳優の挨拶がある。この日の担当は橋之
助さん・・携帯切ってと再三言っておられたが、始
まってすぐ、どこかで鳴ってましたね・・グリーン・
スリーブス。

演目の解説をしてくれるのは、分かりやすくて良い
けれど、一か所???のところが。
「光秀の母・皐月は尼ヶ崎の閑居というところに隠
れ住んで・・」って・・閑居は地名???

閑話休題。

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「絵本太功記・尼ヶ崎閑居の場」。主君・小田春永
を討った息子を許せず、母・皐月は尼ヶ崎の田舎家
に隠れ住んでいる。

そこに、光秀の子、十次郎が出陣の挨拶にやって来
るところから話が始まった。
(実はこの以前に、光秀の妻・操が十次郎の許婚の初菊を
連れて、また、敵の大将・真柴久吉も旅僧に化けてこの家
に入り込んでいる)

死を覚悟しての出陣を、なんとか止めたい初菊と、
武士の生き方を貫きたい十次郎の場面は重い・・が、
ちと眠気を誘うのも確か。

そこへ戦場の傷も生々しい光秀が現れて、物語は一
気に「動」に転じる。

と思ったら、湯殿にいる久吉を貫いたはずの光秀の
竹槍は、なぜか母の皐月の胸に・・というところで
またまた「静」の場面に・・あー、また眠くなった。

最後にようやく登場する久吉は、錦之助丈。若手の
芝居の中での「上置き」といった役どころ。さすが
に舞台が締まる。

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「仮名手本忠臣蔵・祇園一力茶屋の場」。忠臣蔵十
一段の中では、最も華やかな場面。おかげで眠くな
るヒマはない。

敵の目を欺くため、祇園に入り浸る由良之助・・そ
こへ、若い浪士たちがお頭の真意を確かめに来、足
軽の平右衛門も仇討の仲間に入れてもらおうとして
同行。

さらに、由良之助の息子・力弥が密書を持って登場
し、その手紙の内容を、お軽と斧九太夫が盗み読み・・

誰でも知ってますよね、この場の筋は・・多分。

後半、お軽と兄である平右衛門の場面は、落語「七
段目」で、あまりにもなじみ深い。ふたりのセリフ
を、ほぼ完ぺきになぞることが出来る・・と気づい
て、ひとり苦笑した。

改めて出演者の顔ぶれを見ると、ほとんどの方が、
その父上を見ている・・と気づく。すごーく熱心と
いうほどの歌舞伎ファンではないけれど、年月だけ
は、重ねて来たようだ。

なんとなく、感慨にふけりつつ帰路につく。

着物じゃなくても、記念品はいただけました。
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2020年01月16日

2020.1.15 国立劇場初春歌舞伎公演

2020.1.15 国立劇場初春歌舞伎公演

演目
通し狂言「菊一座令和仇討」4幕9場
   (きくいちざれいわのあだうち)
    四世鶴屋南北=作『御国入曽我中村』より
    尾上菊五郎=監修、国立劇場文芸研究会=補綴
序 幕 鎌倉金沢瀬戸明神の場
    飛石山古寺客殿の場
    六浦川堤防の場
  (休  憩)
二幕目 朝比奈切通し福寿湯の場
    鈴ヶ森の場
  (休  憩)
三幕目 下谷山崎町寺西閑心宅の場
    大音寺前三浦屋寮の場
    元の寺西閑心宅の場
  (休  憩)
大 詰 東海道三島宿敵討の場
 (配役)幡随院長兵衛、寺西閑心実ハ蒲冠者範頼=尾上菊五郎、
     笹野権三=尾上松緑、白井権八=尾上菊之助、
     源頼家=尾上左近、八重梅=尾上右近、
     おさい=中村梅枝、三日月おせん、政子御前=中村時蔵、
     茶道順斎、湯屋番頭=市村橘太郎、
     同宿残月、さぼてんの源六、和田義盛=片岡亀蔵、
     笹野三太夫、大江広元=市川團蔵    外

国立劇場の初芝居は、毎年、凧に彩られる。
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今年は、新元号最初の新年なので、もう一枚。
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正月ももう半分すぎたけれど、いざ、初芝居へ。

プログラムの解説によれば、正月には曽我ものが上演
されるのが恒例だったそうで、今回はその伝統を活か
して、大南北作の『御国入曽我中村』から・・ただし、
改訂の段階で、曽我兄弟は姿を消し、権三・権八に、
その“気持ち”のみ託したようだ。

序幕の冒頭は、曽我ものらしく鎌倉の神社で幕開け。
中央に将軍・頼朝の名代として、息子の頼家が座り、
執権・大江広元の嫡子、千島之助が父の後継者とし
て挨拶に出る。

しかし、大江の庶子である志摩五郎はこれに反発、大
江家では、家督相続の条件となる「陰陽の判」を紛失
していることを暴露する。

頼家が千島之助に、その家宝の捜索を命じたところへ、
一羽の鶴が鷹に追われて来るが、放たれた二本の矢が、
見事、この鷹を落として、鶴を救う。

ここで今回のW主役、権三と権八の登場・・両花道か
らの登場は、なんとも颯爽としてカッコいい。
ちなみに、演じている松緑・菊之助両丈は、今のわた
しのいちばんの御贔屓・・嬉しい配役です。

その後は、破れ寺での化物退治・・・実は権三と権八
を慕う娘たちの仕業なのだが・・考え方によっては、
こっちの方が化物よりも怖いかも?

さらに、六浦川では、両人の養父が志摩五郎の悪事に
加担していることが明らかとなり、ふたりは互いの養
父を手に掛けることに。・・お互いの父の仇となって
しまって、斬り合いとなるところを、幡随院長兵衛が
仲裁・・・あー、もう、時代背景メチャクチャ。

一方、大江家の家宝は志摩五郎の配下が盗み出してい
る。この男は湯屋の三助として働き、そこへ客として
来た志摩五郎にこれを手渡す・・が、三日月おせんの
色香に迷った志摩五郎、鼻の下を伸ばすうちに、まん
まと板の間稼ぎにやられてしまう。

この湯屋の場面、壁に落語や講談の“ポスター”がいっ
ぱい貼られていて、ついつい、そちらに目が行く。
そして、タピオカドリンクやケロリンの?桶なども登
場して、毎度、菊一座の正月芝居は、やりたい放題。

さて、殺しの罪で追われるふたりのうち、権八はつい
に鈴ヶ森で処刑・・を危機一髪逃れて、名医と言われ
る寺西閑心の家に匿われ・・権三と再会。

この閑心、親切なのか腹黒いのか今ひとつわからない。
そして、家宝を手にした三日月おせんは、この閑心の
女房だった。

ドタバタの挙句、権八は女と間違われて、廓に売られ
てしまい、権三はその身代金百両を手に入れる。
また、この間に、権三・権八のふたりが、ともに同じ
肌守りを持っていることが判明・・さて、その意味は?

廓に売られても、まさか客を取る訳にはいかず、権八
こと小紫花魁は、病気と称して寮に籠りきり・・そこ
へ権八を見初めた今市屋という商人が探し求める家宝
を持って現れる。

これ幸いと盗んで逃げる権八、妹のおさいとも再会す
るが、鈴ヶ森で受けた傷が悪化して、ようやく閑心の
家に逃げ込む・・と、こちらでも、権三の傷が悪化・・

医師閑心は、実は将軍頼朝の弟・範頼で、秘かに天下
を狙い、大江家の家宝も、実は権八が手に入れたのは
偽物、本物は閑心が持っているという。傷の手当にと
飲ませた薬も、実は毒薬・・・

勝ち誇った閑心=範頼は、三日月おせんに後を託して
悠々と引き上げるが・・おせんは・・

あー・・もう、実は実はばかりで、メチャクチャやや
こしい。

おせんは、実は範頼に殺された佐々木秀義の娘であり、
権三・権八と同じ肌守りを持つ・・三人はきょうだい
だったのだ。

という訳で、おせんは仇に身を許した自分を恥じて自
害し、弟ふたりに、飲めばたちどころに本復する妙薬
を与える・・そんな薬、あったらいいよなぁ。

で、ようやく、大団円、仇討の場面に到達・・という
物語です。

先に、ややこしいと書いたけれど、おそらく、南北の
原作は、もっとややこしくてごちゃごちゃしているに
違いない。それをここまでスッキリさせて、しかも元
の意外性を損なわない改訂、補綴は、なかなかお見事
ではある。

そして、国立では8年ぶりという両花道を上手く使っ
た演出も面白かった。

特に、大詰の立ち回り、両花道の七三で、ふたりの主
役が、得物は刀と槍という違いがあるものの、見事に
シンクロした動きを見せるのが素晴らしい。

この派手な立ち回りは、若いふたりを主役に据えた賜
物であり、立師の山崎咲十郎師、花四天を務めた三階
さんたち全員の力の結集だと思う。

11月の「髪結新三」では年齢を感じさせない若々しさ
を見せた菊五郎丈が、今回は、動きは少ないものの、
堂々たる大物悪役で貫録を見せつけた・・弥太五郎源
七のセリフではないが、「貫目が違う」のである。
posted by JTm at 13:54| 芝居 | 更新情報をチェックする

2019年12月18日

2019.12.17 国立劇場十二月歌舞伎公演

2019.12.17 国立劇場十二月歌舞伎公演

演目
「近江源氏先陣館―盛綱陣屋―」(近松半二=作)1幕
  (配役)佐々木盛綱=松本白鸚、母微妙=上村吉弥、
      盛綱妻早瀬=市川高麗蔵、高綱妻篝火=中村魁春、
      和田兵衛=坂東彌十郎、北條時政=坂東楽善、
      高綱倅小四郎=松本幸一郎   外
  (休  憩)
「蝙蝠の安さん」―チャールズ・チャップリン生誕130周年
   チャールズ・チャップリン=原作(映画『街の灯』より)
   木村錦花=脚色    4幕8場
 序 幕   両国大仏興行の場
 二幕目 
  第一場  大川端の場
  第二場  上総屋の奥座敷の場
  第三場  八丁堀の長屋の場
  第四場  奥山の相撲の場
 三幕目   
  第一場  上総屋の奥座敷の場
  第二場  茅場町薬師堂裏の場
 大 詰   浅草奥山の茶店の場
  (配役)蝙蝠の安=松本幸四郎、花売りのお花=坂東新悟、
      上総屋新兵衛=市川猿弥    外

「近江源氏先陣館」。歌舞伎・文楽で「陣屋」と言えば
熊谷か盛綱か・・というところだが、今月は文楽で「熊
谷」を、歌舞伎で「盛綱」を・・という上演。
さて、意識してのことなのかどうか。

敵味方に分かれた、真田信之・信繁(幸村)兄弟をモデ
ルに、時代を鎌倉時代に置き換えて書かれた作。

智将佐々木高綱を、兄盛綱とともに召し抱えたいと思う
北條時政は、高綱の息子、小四郎が捕らえられたのを幸
い、高綱を味方に引き入れようと考える。

しかし、忠義の士、高綱は、とうにこのことを予想、逆
手にとっての策略を・・・

対する兄、盛綱は、弟に子ゆえの不忠をさせたくないと、
人質の小四郎に、切腹をさせようとするのだが・・。

あー・・これもまた、親のために子どもが犠牲になる話
だったなぁ・・なんか、許しがたいよ。

・・とは思いつつ、小四郎役の松本幸一郎くんのかわい
らしさ、その可愛い孫に切腹をさせようとする、祖母微
妙(ミミョウと読む)の苦衷が、心に迫って、ハンカチを握り
しめる・・・ホント、ここのところ、涙もろくなって・・

「蝙蝠の安さん」。蝙蝠安といえば、「与話情浮名横櫛」
(お富与三郎)に登場する小悪党の名前だけれど、ここ
では、ただお名前拝借だけで、特段の関係はない。

チャップリンの映画『街の灯』が原作、というのも驚き
だが、実は映画が日本で公開される3年も前に、映画の
脚本を基に歌舞伎で上演されていた・・というのは、もっ
と驚く。

脚色の木村錦花という方、どこかで聞いた名と思ったが、
先月歌舞伎座で上演の「研辰の討たれ」の作者だった。

物語は『街の灯』と同じで、貧しい盲目の花売り娘と、
もっと貧しい浮浪者同然の男との心の交流。

オープニングの石像開幕を大仏に置き換えたり、掛けボ
クシングを相撲に変えたりと、工夫に富んだ脚色。
チャップリンの帽子そっくりのお釜をかぶって見せたり
するのも面白く、時代も国も違う物語ながら、違和感は
感じない。

自らもチャップリンの大ファンだという幸四郎丈が、あ
のパントマイムの名手の仕草の味わいを、しっかり自分
のものにしていたことに大いに感心した。

そして、「盛綱陣屋」では戦いの様子を知らせる注進役
をコミカルに演じた猿弥丈が、人は好いが酒癖の悪い大
金持ちの上総屋を、これまた愉快に演じた。

近頃、アニメを原作にした新作歌舞伎が大流行だが、個
人的にはあまり関心が持てずにいる。
でも、こうした風潮は、決して今に始まったことではな
くて、昭和の初めにすでにこんな例があったんだ・・と、
目からウロコの落ちた思いではある。面白かった。
posted by JTm at 16:11| 芝居 | 更新情報をチェックする