2014年10月31日

2014.10.31 2014.10月のまとめ

2014.10月のまとめ -今月の展覧会から-

10.9 「京へのいざない」展「国宝鳥獣戯画と高山寺」展
@京都国立博物館
 5年間も休館していた常設展示館の建て替えが完成し、
 「平成知新館」としてオープン。「京へのいざない」は、こ
 のリニューアル記念展であり、同時に高山寺の鳥獣戯
 画を全巻展示する特別展もと聞いて、日帰りで京都遠征。
 鳥獣戯画の方は、全巻展示とは言うものの、前後期で巻
 き替えがあり、決して「全部を見られる」わけではない、と
 いうのは、ま、仕方ないとは言え、ちょっと残念。
 「京へのいざない」の方は、まさに、満を持しての展示な
 のだろう、国宝、重文がずらりと並ぶ贅沢さ。これが、常
 設展示の料金、520円で見られるとは! 
 なかでも、神護寺所蔵の「伝頼朝像」を見られたのは嬉
 しかった。教科書でもお馴染みだったこの肖像画、いつの
 ころからか、「頼朝ではない」という説が有力になりつつあ
 るようだが、それからこっち、なかなか見る機会がなかっ
 たので・・・(10月13日で展示終了)
 15日から11月16日の後期展示も、見ごたえがありそう
 だが、さすがに、京都までもう一度行くのは辛い・・・残念。
 (11月16日まで。鳥獣戯画は11月24日まで)

10.10と28 「菱田春草」展@国立近代美術館
 展示替えを挟んで、2回通った。格安のペアチケットが、
 珍しく、開催前日まで発売されていて、大いに助かった。
 この手のチケットは、「早割り」と称して、かなり早い時期
 の限定販売になることが多く、気がついたらもう販売期間
 が終わっていることが多い。新聞販売店などで招待券を
 配るくらいなら、こちらの販売期間を延ばせばいいのに。
 春草という人が、わずか36歳で亡くなったこと、代表作と
 され、国の重文にしていされている「黒き猫」が、まさにそ
 の死の年に描かれたものである、ということは驚きだった。
 (11月3日まで)

10.15 「日本国宝」展@東京国立博物館
 開催初日だったので、混んでいるかな?と思い、まずは
 偵察に行ったのだったが、お天気が悪かったからか、意
 外に空いていたので、入った。(年間パスを持っているの
 で、常設だけなら何度でも出入りできる)
 奈良・安倍文殊院のこの「善財童子」像が、ポスターや幟
 に活躍中。平成25年に指定された、一番新しい国宝のひ
 とつだそうで。(12月7日まで。展示替えあり)
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10.23 「フェルディナント・ホドラー」展@国立西洋美術館
 今年は、スイスとの国交樹立150周年だそうで、国立新美
 術館の「チューリヒ美術館展」と、このホドラー展と、ふたつ
 の記念美術展が開催中である。
 ホドラーは、スイスの国民的画家だそうだが、日本での知名
 度はあまり高くない。今回の回顧展、日本では40年ぶりだ
 そうだ。・・・・40年前はまだ、絵なんか見てなかったなぁ!
 印象的なのは、鮮やかなブルーの色彩と、平行線。
 アルプス、湖、澄んだ空と、スイスのイメージそのまま。(行っ
 たことないが)
 しかしその明るい色彩が、決してウキウキした楽しい気分と
 いう訳でなく、澄みきった悲しみの表現のように感じられるの
 は、若くして両親や兄弟を結核で亡くしたという、ホドラーの
 年譜を見てしまったからだろうか。(1月12日まで)

10.31 「高野山の名宝」展@サントリー美術館
 ここにも童子像がたくさん・・・・
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 八大童子は、不動明王の眷属。なぜ、童子形であらわさ
 れるのかがよく分からないが、なかなかナマイキそうな面
 構えではないか・・・・それでいて、どこか可愛らしいのが
 いいね。
 他に、快慶作の四天王像も四躰揃って展示されている。
 なかで、確か、持国天だったかと思うが、足元の邪鬼の、
 なんと、顔面を踏んづけているのには、思わず笑ってしまっ
 た・・・・痛そうだ。(12月7日まで。展示替えあり)

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2014年07月31日

2014.7月のまとめ

2014.7月のまとめ 今月の展覧会から 

2014.7.10 「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム」展@世田谷美術館
チラシから。
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台風の余波で、強い風の吹く中、久々の世田谷美術館へ。
以前は、大きな展覧会が頻繁に開かれていて、当時の職場
から近いこともあり、たびたび訪れたものだったが、たぶん、
もう何年もご無沙汰していた。

今日び、区立レベルの美術館で、大きな展覧会を開催する
のはキビシイだろうなぁ。・・・それだけに、満を持しての展示
ということではあろうけど。

ひと言で言うと、大変に意欲的で工夫の凝らされた展示だと
思う。

ボストン美術館は、世界でも有数の日本美術のコレクション
を有し、また、もちろん、西洋美術作品にも名品が多い。

その中から、江戸時代の終わりから明治にかけて、「神秘の
国・ニッポン」へのあこがれに満ちた作品を、そのインスピレー
ションの元となったと思われる日本の作品と並べて展示しよ
うというのである。

これは、ボストン美術館所蔵の、日本と西洋の美術双方の
作品をよく知らなければ、絶対に企画出来ない展示だ。おそ
らくは、かなりの年月をかけて練り上げられたものだろう。

出展作は、148点と非常に多く、見るのには時間がかかるし、
正直、かなりくたびれた。しかし、見ごたえは十分で、興味深
い。ざっと数えたところでは、出展作の約1/10が、日本の作
品。浮世絵が多いが、これがまた、非常に保存状態の良いも
のが多いのに驚かされた。

19世紀末から20世紀の初め、日本には、世界中から注目
を集めるような文化があった・・・・・さて、今はどうなのかな?


2014.7.14 「オルセー美術館」展@国立新美術館
月曜休館の美術館の多い中、六本木の新しい美術館は、押
し並べて火曜が休館だ。・・・・ならば、月曜は空いてるかも?
という期待で出かけたが・・・・そう上手く行くものではないね。

ポスターやチラシに使われている、マネの「笛を吹く少年」を
始め、ミレーの「晩鐘」、モネの大作「草上の昼食」(マネにも
同題の作品があるが、今回来日はモネ)などの著名な作品
が多く出品されていて、賑わうのも無理はない。

出展数は、84点と、世田谷に比べるとだいぶ少ないけれど、
公式HPの「至高の名画」という紹介は、まさに看板通りだ。

だが、わたしが一番心を引かれたのは、モネの小品だった。

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(図録より部分転写)

「死の床のカミーユ・モネ」。

そう、世田谷のポスターで、赤い着物を身にまとい、艶然と
微笑んでいたあの女性の、最期の姿なのだ。

調べてみたら、モネの最初の妻だったカミーユは、1878年
に第二子を出産した後、体調を崩し、翌年にわずか32歳と
いう若さで亡くなったのだそうだ。

世田谷のポスターの「ラ・ジャポネーズ」は、1876年の第2
回印象派展への出展作だから、それから三年後のことだ。
まだ幼いふたりの子どもを残し、旅立って行かねばならなかっ
た彼女の無念さを思うと、平静な気持ちでは見られなかった。

「ラ・ジャポネーズ」の輝くばかりに明るい笑顔と、「死の床」
の悲しい諦念・・・・あまりにも対照的なふたつの作品を通じ
て、ひとりの女性の「生」と「死」を見た。


「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム」展は、世田谷美
術館で9月15日まで。その後、京都・名古屋に巡回。

「オルセー美術館」展は、国立新美術館で10月20日まで。


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2014年06月01日

2014.5月のまとめ

2014.5月のまとめ

今月の展覧会から。

5.21「法隆寺-祈りとかたち」展@東京藝術大学大学美術館
 国宝・重文に指定されている仏像の展示もさることながら、
 昭和24年の火災で焼損した金堂壁画の、焼損前の姿を
 伝える模写の展示が話題になっているようだ。

 たまたま、某講座でこの金堂壁画の話を聞いたので、そ
 の足で、ドシャ降りの雨の中を、上野に向かった。

 金堂壁画の主要な部分は、外陣の12の壁画で、4点が
 大壁、8点が小壁である。四大壁には、釈迦・阿弥陀・薬
 師・弥勒の四大浄土が描かれ、八小壁には様々な菩薩
 の姿が描かれて、全体として荘厳な仏教世界を現わして
 いる・・・と、いう説が、通説とされていた。

 しかし、この四大壁の壁画を、図像学的に細かく分析す
 ると、実は、薬師如来を描いたとされていたものが、釈迦
 であることが分かり、また、阿弥陀浄土とされるものは、
 実は、浄土ではなくて、阿弥陀がこの世に出現した様子
 を描いたものであることが分かった。

 また、この壁画には、多くの同じパターンの仏の姿が、細
 部を少しだけ変えて用いられており、当時、大陸から請来
 されていた、数少ない図像を、目いっぱい駆使して、この
 金堂という“聖域”を、ただただ、美しく飾ることが目的だっ
 た・・・・・・というのが、講座で聞いた話だったのだが。

 残念ながら、この展覧会の解説では、この説は採用され
 ておらず、従来の「四大浄土図」との説明がされていた。

 翌週の講座で、講師に質問してみたところ、前回の講座
 での話は、もう10年ほど以前から言われていることで、
 認められてもいるのだが、なかなか浸透しないとのこと。

 これだけのものを描くのだから、そこにはなにか、全体と
 して表現しようとする、哲学的なものがあるに違いない、
 という「思い込み」が、どうしても拭えないのかもしれない。

 6月22日まで。美術館の隣の陳列館では、この法隆寺
 金堂壁画の、写真による原寸大復元を展示する、「別品
 の祈り」という展示も行われていて、こちらは入場無料。


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