2018年09月17日

2018.9.15 特別企画公演 天の岩戸開きの芸能@国立文楽劇場

2018.9.15 特別企画公演 天の岩戸開きの芸能・第一部

演目
新作落語「天の岩戸」(小佐田定雄=作)
    桂 九雀
京舞「倭文(やまとぶみ)」
    踊り=井上八千代
    地方=小ます、だん佑、小桃、ます穂
    囃子方 笛=斗美千代、小鼓=まめ鶴、
       大鼓=小萬、太鼓=里美
  (休   憩)
銀鏡神楽(しろみかぐら)
  「伊勢神楽」
  「手力男命(たぢからおのみこと)」
  「戸破明神(とがくしみょうじん)」 
    銀鏡神楽保存会(宮崎県西都市)
  (休   憩)
半能「絵馬」(観世流)
   シテ(天照大神)=大槻文藏、ツレ(天鈿女命)=武富康之、
   ツレ(手力雄命)=大槻裕一、ワキ(勅使)=福王茂十郎、
   ワキツレ(従者)=福王和幸、是川正彦
   囃子方 笛=竹市 学、小鼓=成田達志、
       大鼓=山本哲也、太鼓=中田弘美
   後見=赤松禎友、上野雄三
   地謡=寺澤拓海、寺澤幸祐、上野雄介、齊藤信隆、
      上野朝彦、上野朝義、齊藤信輔、山本博通

日本神話の天照大神の物語、天の岩戸。古くから様々な
芸能に取り入れられてきたそれを、“集大成”する公演。

落語「天の岩戸」。この伝説は古典落語にもあるそうだ
が(知らなかった!)、 今回は敢えて新作落語で・・
というのは、要するに物語を知らない人のために、簡単
に紹介しようという試みだったようだ。

吞んで帰って、女房に締め出された男に、物識りの甚兵
衛さんが“講釈”。ついでに、今回上演される演目の解説
も兼ねていたらしいが・・うー・・・早起きが祟って
(朝6:26東京発の新幹線に乗った)、あえなく沈没。

京舞「倭文」。まったく縁なき衆生だが、京舞というの
は、上方舞のうち京都で発達した二流派を指すそうだ。
井上流はそのひとつで、現家元、五世井上八千代師は、
人間国宝。

「倭文」とは、日本書紀のことだそうで、そのうちから、
天の岩戸の物語を舞踊にした、おめでたい演目。毎年、
年の初めに、京都・祇園で演じられるとのこと。

三番叟の鈴の段に用いられる鈴を持っての舞など、古く
から伝わる様々な芸能を取り入れているようだ。
なお、地方を務めるのは、祇園の芸妓さんたちだそうだ。

銀鏡神楽。神話の里・宮崎の米良地方に伝わる神楽で、
毎年、12月12~16日に演じられるそうだ。全部で33番
あるうちから、今回は天の岩戸伝説に密接な三番を。
(なお、この日の第二部には銀鏡神楽のみが上演されたが、未見)

神楽を拝見する機会は、今までにも何度かあったが、お
そらく、どこの神楽にも、この物語はあるに違いない。

ちょっと面白かったのは、舞台下手に畳んで立てられた
屏風を、岩戸に見立てているというところ。天照大神が
登場すると、この屏風が開かれて、中の絵が見える・・
天鈿女が楽し気に舞い、多くの神々がこれを嬉しそうに
見ている絵が描かれていた。

半能「絵馬」。半能というのは、前シテの部分を省略し
て、後半の後シテの場面だけを演じたから・・らしい。

前半では、題名になっている絵馬に関するエピソードが
出てくるらしいが、今回はその部分は省略なので、絵馬
という題とのつながりが分かりにくい。

天照大神が、手力雄と天鈿女を従えて登場し、天の岩戸
隠れを再現して見せる・・

これ、あくまで再現ってところが面白い。昔、こんなこ
とがあったんだよー・・と、神様たちも懐かしがってい
るんだね。

もう少し、きちんと予習して行けば、もっと楽しめたか
もしれない。少々、浅はかだったと反省しつつ、終演。 

posted by JTm at 14:53| 雑記 | 更新情報をチェックする

2018年08月12日

2018.8.11 音の会@国立小劇場

2018.8.11 第20回 音の会

演目
鳴物/義太夫「寿式三番叟」
    笛=田中傳三郎、立鼓=田中傳九郎、
    小鼓=田中傅吉、望月太喜十朗、
    大鼓=田中佐吉郎、太鼓=望月太左一郎
    蔭囃子=田中佐次郎、田中傳四郎
    浄瑠璃=竹本樹太夫、竹本拓太夫、竹本葵太夫(助演)
    三味線=鶴澤繁二、鶴澤卯太吉、鶴澤慎治(助演)
    配役 翁=中村吉兵衛、千歳=市川蔦之助、
       三番叟=市川新十郎
       後見=中村吉二郎、中村竹蝶、中村京純
  (休   憩)
長唄「矢の根」
    唄=鳥羽屋和樹、鳥羽屋長孝(助演)
    三味線=鳥羽屋里松、鳥羽屋三之助
長唄「俄獅子」
    唄=杵屋巳志郎、杵屋巳津二朗(助演)、杵屋佐陽助(助演)
    三味線=杵屋巳佐、杵屋長之介、杵屋浅吉(助演)
  (休   憩)
歌舞伎「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」一幕
  土佐将監閑居の場
    浄瑠璃=竹本樹太夫、竹本拓太夫
    三味線=鶴澤繁二、鶴澤卯太吉
    配役 浮世又兵衛=中村又之助、お徳=中村京蔵、
       土佐将監=澤村宇十郎、北の方=中村竹蝶、
       修理之助=中村吉二郎   外
    黒御簾 唄=鳥羽屋三之助、杵屋巳志郎 外
        三味線=杵屋長之介、鳥羽屋里松、鳥羽屋和樹 外
        鳴物=田中傳九郎、田中傳四郎、望月太喜十朗

毎年、惨敗を感じつつ、今年こそはとの思いで、音の会
三度目の参加である。

「寿式三番叟」。もともとは能の「翁」である。様々な
芸能に取り入れられており、見る機会も多い・・が、や
はり、難しい。例のごとく、途中で沈没した。

長唄「矢の根」。市川家十八番のひとつ。
長唄のなかで、特に「大薩摩」と呼ばれる分野がある。
調べたら、二代目團十郎のころに、荒事の伴奏として一
時代を築いた浄瑠璃だが、その後、長唄に吸収されたと
のこと。

「矢の根」は、二代目團十郎が初演した演目なので、そ
の伴奏音楽として大薩摩が使用されているのは当然か。
いかにも荒事にふさわしい、勇壮な曲である。

長唄「俄獅子」。江戸時代、吉原で8月に行われていた
「俄(にわか)」を題材にした曲だそうだ。

でも、わたしにとっては、それよりも、ふたりの噺家さ
んの出囃子としておなじみの曲。扇橋師⇒扇里師、そし
て左龍師。扇橋・扇里師のは、前半部分、左龍師のは、
最後の部分の、どちらも唄のない、三味線演奏のみの部
分だった。

今年は、実を言えば最後の「傾城反魂香」が見たかった。
「吃又(どもまた)」の通称で知られる義太夫狂言だ。
本公演では、しばらく出ていない。国立劇場では、2009
年に上演記録があるが、その後は鑑賞教室等で出ている
だけのようだ。

「反魂香」という落語があるが、この芝居の後半の物語
がそのネタ元なのだ。ところが、この部分は歌舞伎でも
文楽でも、今は上演されない。

もっとも、この前半部にも、絵に描いた虎が抜け出すと
いうくだりがあり、落語・抜け雀は、これのパロディな
んだろう・・落語とご縁のある芝居なのだ。

又兵衛が最後に、師から賜る名前は、土佐光起。これ、
実在の絵師です。江戸時代初期に活躍した土佐派の絵師。
昨年から、何度かその作品を見る機会があったので、そ
れもあって、「傾城反魂香」、見たかったのです。

とまぁ、今年もまた、音の会の感想としては非常にお粗
末なことを書き並べ・・・まことに申し訳ない。ご容赦
あれ。
posted by JTm at 15:12| 雑記 | 更新情報をチェックする

2018年05月30日

2018.5.29 桂吉坊×木ノ下裕一ふたり会@浅草見番

2018.5.29 凸凹伝芸教室 桂吉坊×木ノ下裕一ふたり会

演目
ご挨拶とオープニングトーク   桂 吉坊
                木ノ下裕一
落語「皿屋敷」         桂 吉坊
  (仲 入 り)
歌舞伎トーク「番町皿屋敷」   木ノ下裕一
まとめ?トーク         桂 吉坊
                木ノ下裕一
 (三味線:恩田えり、鳴物:柳家花ごめ、金原亭小駒)

土曜日に続く浅草見番だが、客筋がまったく違う・・・
若い女性、多数。

木ノ下裕一氏は、「古典演目の現代的上演を行う」、木
ノ下歌舞伎の主催者。月末まで上演中のコクーン歌舞伎、
「切られの与三」でも補綴を担当。

わたしは、三年前に一度、「三人吉三」を見ている。⇒

このおふたりの会は、今まで何度か開かれているようだ
が、この会場で、この主催者で行われるのは初めてだそ
うで、今後も続く・・予定とのこと。ぜひ、お願いしたい。

吉坊「皿屋敷」。今回のテーマが、落語と歌舞伎のお菊
さんなので、まずは落語から。

東京では「お菊の皿」と呼ばれる噺だが、元は上方落語
なのかな。舞台は姫路(播州)で、青山鉄山は、姫路の
代官という設定。皿屋敷は、今は車屋敷と呼ばれている
・・調べたら、姫路城の車門近くにあるから、だそうだ。

伊勢参り帰りの男が、三十石船で皿屋敷のことを知らず
に恥をかいた・・というところから、丁寧に演じた。

お菊さんの人気が高まって、観客が増え、演技?がクサ
くなる・・などというのはお江戸版と一緒だが、興行師
は登場しなかった。

お菊は二度の登場だが、いずれも鳴物が入って、一度目
は淋し気に、かつ、不気味に。そして、二度目は見事な
芝居振りで。サゲは「風邪だから明日休むの」と。

木ノ下裕一「歌舞伎トーク」。歌舞伎の「番町皿屋敷」
は、岡本綺堂作で、大正5年に、二代目市川左團次、市
川松蔦の顔合わせで初演。ジャンル?としては新歌舞伎、
である。

お菊伝説は、各地にあるそうで、皿が一枚無くなる原因
もいろいろ、中にはお菊が粗忽で割ってしまう・・とい
うのもあるとか。

岡本綺堂版は、殿様・青山播磨は、純粋にお菊を愛して
いたが、身分違いの恋なので、不安にかられたお菊が、
播磨の心を試すべく、皿を割った・・ということになっ
ている。(これ、落語「厩火事」みたい)

鉄山の横恋慕が原因となる落語と比べ、より、現代(と
言っても大正時代の)的に、人の深層心理を扱う内容と
なっているようだが・・・うーん、正直、歌舞伎では見
たくないなぁ・・・あまりに暗すぎる。

木ノ下歌舞伎で上演したら、どんなふうに作り上げる?
・・・そのあたり、もう少し突っ込んで聞きたかった。

最後は、吉坊師も登場して、再びふたりのトーク。
ここからは、落語の皿屋敷について、木ノ下氏が吉坊師
に聞く・・というかたち。

皿屋敷は、三代目春団治師が得意としていた噺だそうで、
鉄山がお菊を責め、最後は斬り殺す場面など、実に美し
い所作だったとのこと。米朝師から伝わった噺だが、
「春団治師匠の方がきっちり演ってはった」そうだ。

男性ながら大阪のオバチャンそのまんま、という雰囲気
の(失礼!)木ノ下氏、しゃべり出したら止まらない勢
いで、いつ終わるのか、少々、不安にかられたが、意外
に早く、きっちり2時間で終演。
posted by JTm at 09:47| 雑記 | 更新情報をチェックする