2019年08月19日

2019.8.18 東次郎家伝十二番@横浜能楽堂

2019.8.18 東次郎家伝十二番 第五回

演目
狂言「朝比奈」
  シテ(朝比奈)=山本則秀、
  アド(閻魔王)=山本凛太郎、後見=山本泰太郎
  囃子方 笛=一噌隆之、小鼓=住駒允彦、
      大鼓=亀井洋佑、太鼓=梶谷英樹
  地謡=山本則孝、山本則俊、山本則重
  (休  憩)
狂言「布施無経(ふせないきょう)」
  シテ(住持)=山本東次郎、
  アド(檀家)=山本則俊、後見=山本則孝

「朝比奈」。仏教信仰が盛んになって、人々がみな極楽
に行ってしまう・・地獄は閑古鳥。仕方なく閻魔大王自
ら、六道の辻で、亡者を“勧誘”・・・

落語「お血脈」みたいな話の発端。ところがたまたま出
会った亡者は、なんと無双の豪傑・朝比奈三郎で・・。

閻魔王のリクエスト?に応えて、北条氏との戦いの様子
を仕方話で語るのは、修羅能のパロディだろうか。閻魔
大王も形無しの豪勇無双ぶりを発揮。

閻魔王役の凛太郎さんはまだ20代の若さ・・それゆえか、
朝比奈役・則秀さん、遠慮なく引きずり回していた?

「布施無経」。お馴染みの茂山千五郎家では、漢文式に
「無布施経」と書くが、山本家ではこう書くらしい。

毎月、お経をあげに行く檀家で、いつものお布施を忘れ
ている・・・さて、どうしよう・・と悩む住持。

いろいろ考えては何度も小戻りし、それとなく「ふせ、
ふせ」と、聞かせてはみるのだが・・・。

最後、お檀家がようやく気付いてくれたところで、住持
が実はお布施欲しさで何度も出たり入ったりしていたこ
ともバレてしまう。

ここで、お檀家が、明らかに住持に対して軽蔑を見せた
のが、ちょっと意外だった。

茂山家の演出とは違う・・と感じたからだ。茂山家では、
お檀家は「しょうがないねぇ」と笑って済ます感じだっ
たかと。

武家式楽の伝統を強く受け継ぐ山本家と、お豆腐狂言の
茂山家、同じ大蔵流でも違いは大きい。
posted by JTm at 08:26| 狂言 | 更新情報をチェックする

2019年08月18日

2019.8.17 納涼茂山狂言祭2019東京公演@国立能楽堂

2019.8.17 納涼茂山狂言祭2019東京公演 第一部・第二部

第一部演目
お話(解説)      茂山千三郎
狂言「蚊相撲」
    大名=茂山千之丞、太郎冠者=茂山千五郎、
    蚊の精=茂山あきら、  後見=井口竜也
狂言「呂蓮(ろれん)」
    出家=茂山宗彦、男=茂山七五三、
    女房=茂山 茂、    後見=丸石やすし
  (休  憩)
狂言「釣針」
    太郎冠者=茂山逸平、主=千三郎、妻=鈴木 実、
    端女=茂、増田浩紀、井口、千之丞、千五郎、後見=丸石
附祝言「猿唄」     丸石やすし

「蚊相撲」。蚊の精が人間に化けて、相撲を取りながら
思いっきり血を吸おうと・・こんな設定、いったい誰が
思いつくのか。

蚊の顔なんて知らないけれど、あの面を見ていると、だ
んだん、これぞ蚊!って思えてくる不思議。

「呂蓮」。旅の出家が、宿の主人に頼まれて、彼を出家
させる。ところが女房が怒り出し・・

「女房も賛成している」とのことだったのに、いざ、女
房が怒り出すと、主人は責任逃れ。旅の出家には、理不
尽な迷惑。

「釣針」。信心の甲斐あって、欲しいものがなんでも釣
れる釣針を手にした男。まずは連れ添う女房を・・そし
てこれに仕える端女を。

橋掛や切戸口から、被衣をかぶって次々に登場する端女
たち・・ずらっと並んだ乙の面が、とっても可愛らしい。

この演目、最初に釣られる“お妻さま”を、子方が演じる
ことか多いように思うが、今回は大人が・・そのせいか、
最後まで被衣を取らなかった。顔、見たかったなー。

第二部演目
お話(解説)      茂山逸平
狂言「神鳴(かみなり)」
    神鳴=茂山千三郎、医者=茂山千之丞、
    地謡=茂山あきら、逸平、増田浩紀、井口竜也
    後見=鈴木 実
狂言「察化(さっか)」
    太郎冠者=茂山 茂、主=丸石やすし
    察化=茂山宗彦、    後見=増田浩紀
  (休  憩)
新作狂言「ふろしき」(帆足正規=作、二世千之丞=演出)
    若い男=茂山千五郎、女=逸平、亭主=あきら、
    近所の男=茂山七五三、 後見=井口、鈴木
  
「神鳴」。空を暴れまわるカミナリが、雲の隙間から転
落。腰を打って動けずにいると、旅の医師が・・。

この医師、腕が悪くて都で商売できず、東へ都落ちの途
中だというが、意外にもカミナリの脈の取り方まで知っ
ているし、鍼でたちどころに治してしまうし・・
実は名医。わたしも世話になりたいくらい。

・・いや、あんなデッカイ鍼はごめんだな、やっぱり。

「察化」。都で名うての“すっぱ”を、こともあろうに主
人の伯父だと思って連れてきてしまう太郎冠者。伯父の
方が甥よりもずっと年若いってなに!?・・と、これが
まずは笑いどころだったり。

後半は、勘違いの太郎冠者の独壇場で、引き回されるすっ
ぱには大迷惑。すっぱ役の宗彦さん、第一部に続いて、
理不尽な災難の役。

「ふろしき」。落語の「風呂敷」を脚色した新作。
・・と言っても、書かれたのは昭和の時代のようだが。

落語の「風呂敷」と違うのは、ことを解決した兄貴分が、
これもまた女房に言い寄るってところ。この女房、そう
とうしたたかな女のようで。

あきら師のぐだぐだの酔いっぷり、その後ろでセリフな
しで見せる千五郎師の戸惑いぶり、そして、なにより、
七五三師が最後に見せるニヤケっぷりが、いずれもお見
事で、楽しいハーモニーを繰り広げた。

毎年、楽しみにしている納涼狂言だが、来年は東京五輪
と日程が被り、混乱が予想されるので、東京公演は無し
だって!・・残念無念。改めて五輪反対!って叫びたい。
posted by JTm at 09:05| 狂言 | 更新情報をチェックする

2019年07月08日

2019.7.7 大蔵流五家狂言会@国立能楽堂

2019.7.7 第五回 大蔵流五家狂言会

演目
狂言「業平餅」
  在原業平=善竹大二郎、従侍=大藏教義、
  稚児=大藏ゆき、白丁=茂山千之丞、大藏基誠、
  白丁・傘持=善竹隆平、茶屋=茂山逸平、
  茶屋の娘=善竹忠亮、  後見=善竹隆司
  囃子方 笛=杉 信太朗、小鼓=田邊恭資、大鼓=亀井広忠
狂言「止動方角(しどうほうがく)」
  主人=善竹富太郎、太郎冠者=茂山千五郎、
  伯父=山本則孝、馬=茂山 茂、 後見=島田洋海
  (休  憩)
狂言「唐相撲」
  帝王=大藏彌太郎、日本人=山本泰太郎、
  通辞=茂山忠三郎、
  唐子=大藏章照、大藏康誠、大藏ゆき、大藏さき、茂山良倫、
  唐人=茂山千五郎、山本則孝、善竹隆司、茂山宗彦、茂山 茂、
    善竹隆平、大藏基誠、茂山逸平、善竹富太郎、善竹忠亮、
    大藏教義、善竹大二郎、茂山千之丞、山本凛太郎、
    石倉昭二、上田圭輔、江口史明、小川一幸、小梶直人、
    片桐伸直、川野誠一、肥沼潤一、鈴木 実、髙木謙成、
    寺本雅一、冨田昌美、中村隆志、野島伸仁、肘岡拓朗、
    宮田蒼一、宮本 昇、吉田信海
  囃子方 笛=杉 信太朗、小鼓=田邊恭資、
      大鼓=亀井広忠、太鼓=大川典良
  後見=山口耕道、島田洋海、井口直也、山本善之

東京と関西で交互に開催のこの会、今回は第五回記念?
に、大曲「唐相撲」・・国立能楽堂、満席です。

「業平餅」。玉津島に向かう在原業平の一行が、途中の
茶屋で休憩・・ところが、代金が払えない。代わりに歌
を詠もうと言う業平に、茶屋の亭主はプンプン。

しかし、代わりに「うちの娘を京都に連れて行って行儀
作法を仕込んでください」という話になり、業平はよう
やく餅にありつく・・食べっぷり、お見事!

もとより色好みの業平は、これ幸いという気だったのだ
けれど・・さて、この娘は?

他の白丁(召使い)がさっさと引っ込んだあとも、橋掛
で居眠りをしていた傘持が、最後に大活躍の逆転も愉快。

「止動方角」。人使いの荒い主人の命で、伯父のもとに
沢山の借り物に行った太郎冠者。上手く借りられて喜ん
で帰るが、主人は「帰りが遅い!」と。

この馬には、ちょっと癖があって、後方で咳をすると暴
れる・・伯父からそれを聞いていた太郎冠者は、一矢報
いようと・・・

横暴でわがままな主人だが、馬から落ちて呆然とする姿
は、ちょっと可愛らしい。そんなに悪い人でもないのか
も・・と、太郎冠者も思っているみたい。

ここまでの二曲、セクハラとパワハラが主題・・でした。

「唐相撲」。全部で40人近い(囃子方を入れればそれ以
上)人が、舞台から橋掛にかけて勢揃い・・そして、日
本人と通辞役のふたり以外は、なにやら怪しげな言葉を
話すという・・タモリさんを思い出す。

多くの出演者を必要とするので、上演機会はあまり多く
ない。10年ほど前に、国立能楽堂の記念公演で見たくら
いだろうか。その時は、今回の通辞役、茂山忠三郎師の
お父上、先代忠三郎師が帝王役だった。

唐の皇帝に仕えていた日本人相撲取りが、故郷忘じ難く
帰国を願い出る。すると皇帝は、名残にもう一度相撲を
見せて欲しいと言い、帝室の使用人たちを次々に召し出
して・・・

この相撲の取り組みがすごい。そしてめちゃくちゃ楽し
い・・見ている方ばかりじゃなく、演ってる皆さんも大
いに楽しそう・・

だけど、一夜明けたらあざだらけ、なんてことになって
いませんように。

狂言師さんたちの身体能力の高さに、大いに感動。
posted by JTm at 11:27| 狂言 | 更新情報をチェックする