2018年08月12日

2018.8.11 音の会@国立小劇場

2018.8.11 第20回 音の会

演目
鳴物/義太夫「寿式三番叟」
    笛=田中傳三郎、立鼓=田中傳九郎、
    小鼓=田中傅吉、望月太喜十朗、
    大鼓=田中佐吉郎、太鼓=望月太左一郎
    蔭囃子=田中佐次郎、田中傳四郎
    浄瑠璃=竹本樹太夫、竹本拓太夫、竹本葵太夫(助演)
    三味線=鶴澤繁二、鶴澤卯太吉、鶴澤慎治(助演)
    配役 翁=中村吉兵衛、千歳=市川蔦之助、
       三番叟=市川新十郎
       後見=中村吉二郎、中村竹蝶、中村京純
  (休   憩)
長唄「矢の根」
    唄=鳥羽屋和樹、鳥羽屋長孝(助演)
    三味線=鳥羽屋里松、鳥羽屋三之助
長唄「俄獅子」
    唄=杵屋巳志郎、杵屋巳津二朗(助演)、杵屋佐陽助(助演)
    三味線=杵屋巳佐、杵屋長之介、杵屋浅吉(助演)
  (休   憩)
歌舞伎「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」一幕
  土佐将監閑居の場
    浄瑠璃=竹本樹太夫、竹本拓太夫
    三味線=鶴澤繁二、鶴澤卯太吉
    配役 浮世又兵衛=中村又之助、お徳=中村京蔵、
       土佐将監=澤村宇十郎、北の方=中村竹蝶、
       修理之助=中村吉二郎   外
    黒御簾 唄=鳥羽屋三之助、杵屋巳志郎 外
        三味線=杵屋長之介、鳥羽屋里松、鳥羽屋和樹 外
        鳴物=田中傳九郎、田中傳四郎、望月太喜十朗

毎年、惨敗を感じつつ、今年こそはとの思いで、音の会
三度目の参加である。

「寿式三番叟」。もともとは能の「翁」である。様々な
芸能に取り入れられており、見る機会も多い・・が、や
はり、難しい。例のごとく、途中で沈没した。

長唄「矢の根」。市川家十八番のひとつ。
長唄のなかで、特に「大薩摩」と呼ばれる分野がある。
調べたら、二代目團十郎のころに、荒事の伴奏として一
時代を築いた浄瑠璃だが、その後、長唄に吸収されたと
のこと。

「矢の根」は、二代目團十郎が初演した演目なので、そ
の伴奏音楽として大薩摩が使用されているのは当然か。
いかにも荒事にふさわしい、勇壮な曲である。

長唄「俄獅子」。江戸時代、吉原で8月に行われていた
「俄(にわか)」を題材にした曲だそうだ。

でも、わたしにとっては、それよりも、ふたりの噺家さ
んの出囃子としておなじみの曲。扇橋師⇒扇里師、そし
て左龍師。扇橋・扇里師のは、前半部分、左龍師のは、
最後の部分の、どちらも唄のない、三味線演奏のみの部
分だった。

今年は、実を言えば最後の「傾城反魂香」が見たかった。
「吃又(どもまた)」の通称で知られる義太夫狂言だ。
本公演では、しばらく出ていない。国立劇場では、2009
年に上演記録があるが、その後は鑑賞教室等で出ている
だけのようだ。

「反魂香」という落語があるが、この芝居の後半の物語
がそのネタ元なのだ。ところが、この部分は歌舞伎でも
文楽でも、今は上演されない。

もっとも、この前半部にも、絵に描いた虎が抜け出すと
いうくだりがあり、落語・抜け雀は、これのパロディな
んだろう・・落語とご縁のある芝居なのだ。

又兵衛が最後に、師から賜る名前は、土佐光起。これ、
実在の絵師です。江戸時代初期に活躍した土佐派の絵師。
昨年から、何度かその作品を見る機会があったので、そ
れもあって、「傾城反魂香」、見たかったのです。

とまぁ、今年もまた、音の会の感想としては非常にお粗
末なことを書き並べ・・・まことに申し訳ない。ご容赦
あれ。
posted by JTm at 15:12| 雑記 | 更新情報をチェックする

2018年08月09日

2018.8.7 人形浄瑠璃 夏休み文楽特別公演@国立文楽劇場

2018.8.7 人形浄瑠璃 夏休み文楽特別公演 第二部

演目
「卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)」
  平太郎住家より木遣り音頭の段
   太夫=(中)豊竹睦太夫、(切)豊竹咲太夫、(奥)豊竹呂勢太夫 
   三味線=(中)竹澤宗助、(切)鶴澤燕三、(奥)鶴澤清治
   人形役割 横曽根平太郎=吉田玉男、女房お柳=吉田和生、
        平太郎母=吉田文昇、和田四郎=吉田文哉、
        進ノ蔵人=吉田勘市、みどり丸=吉田蓑太郎  外
  (休  憩)
「大塔宮曦鎧(おおとうのみやあさひのよろい)」
  六波羅館の段
   太夫=(中)豊竹咲寿太夫、(奥)豊竹靖太夫 
   三味線=(中)鶴澤清馗、(奥)野澤錦糸   
  身替り音頭の段
   太夫=(中)竹本小住太夫、(奥)竹本千歳太夫 
   三味線=(中)野澤勝平、(奥)豊澤富助
   人形役割(各段共通) 
     斎藤太郎左衛門=吉田玉也、常盤駿河守=吉田玉輝、
     永井右馬頭=吉田玉志、妻・花園=吉田勘彌、三位の局=吉田清五郎、
     若宮=桐竹勘次郎、鶴千代=吉田和馬、力若丸=吉田蓑之 外  
   はやし 望月太明藏社中

「卅三間堂棟由来」。今までにも何度か?見ているが、今回、
お初の人物が登場。和田四郎。平四郎にあらぬ盗みの疑いを
かけ、かつ、出世のネタとして、お柳が隠し持っていた髑髏
を奪おうとする。

プログラムの記事によると、大阪では1992年以来の“登場”と
のこと。調べたら東京では1977年に一度、出たきりだ。

この人物がいることで、最後、平四郎との間で派手な立ち回
りが繰り広げられることになるので、確かに、“見せ場”は増
える。

ただ、その反面、母と子、夫と妻の予期せぬ別れという悲劇
に、いささか、水を差された気分になるのも否めない。それ
にもまして、“髑髏”の在処を聞き出そうと、老母を拷問する
場面は、正直言って、見るのが辛い。

この部分、あくまで脇筋であり、無くても構わないのでは?
と、つい、考えてしまった。

「大塔宮曦鎧」。こちらは2013年に一度見ている。
若宮(後醍醐天皇の皇子)を守るため、家臣が自らの子や孫
を争って身代わりにしようという・・・理不尽な話。

今回のプログラムに、「子どもの死亡率の高かった時代、誰
でも我が子や親しい子を亡くした経験があっただろう・・そ
の早くに逝った子どもたちの犠牲の上に、自分の人生がある
と考える者も多かったのではないか」という趣旨の解説が出
ていた。

うーん、そう考えると少しは納得出来るかな。
祭りの踊りの輪の中で、白刃が翻る・・哀切な祭囃子が涙を
誘う。

この悲しい後段に比べ、前段の六波羅館は、三位の局に横恋
慕する守護職・常盤駿河守の“道化”ぶりが可笑しい。局から
の返歌や灯籠に描かれた絵を、都合の良いように良いように
解釈して、ひとりで悦に入っている。

それを悉く暴く、斎藤太郎左衛門の硬骨ぶりが見事・・が、
これがとんでもない“伏線”になって行くのだが。



2018.8.7 人形浄瑠璃 夏休み文楽特別公演 第三部

演目
「新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)」
  野崎村の段  
   太夫=(中)竹本文字久太夫、(前)竹本津駒太夫、(後)竹本三輪太夫 
   三味線=(中)鶴澤清志郎、(前)鶴澤寛治、(後)竹澤團七、(ツレ)鶴澤清公
   人形役割 おみつ=豊松清十郎、久作=桐竹勘壽、久松=吉田文昇、
   油屋お勝=吉田蓑助、お染=吉田一輔、船頭=桐竹紋秀 外
  (休  憩)
「日本振袖始(にほんふりそではじめ)」
  大蛇退治の段
   太夫 岩長姫=竹本織太夫、稲田姫=豊竹希太夫、
      素戔嗚尊=竹本南都太夫、ツレ=豊竹亘太夫
   三味線 鶴澤藤蔵、鶴澤清𠀋、鶴澤寛太郎、
       野澤錦吾、野澤燕二郎
   人形役割 岩長姫=桐竹勘十郎、稲田姫=桐竹紋臣、
        素戔嗚尊=吉田玉助  外
   はやし 望月太明藏社中

「新版歌祭文」。おなじみ、野崎村である。
百姓・久作の一子(と言っても実は主家の忘れ形見)久松は、
大坂の商家・油屋に奉公しているが、主人の娘・お染と恋仲
になる。

久松には、久作の妻の連れ子、おみつという許婚がいる。お
みつは久松を慕い、病気の母の看病をしながら、祝言の日を
心待ちにしている。

そこへ思いがけなく、久松の帰郷・・それは、主家の金を盗っ
たという疑いを向けられての“謹慎”だった。

それでも喜ぶおみつ。久作もまた、おみつの母が生きている
うちに、娘の祝言を見せたいと思う。

が、お染は収まらない。久松を追って野崎村にやって来る。

嫉妬するおみつ。しかし、久松とお染が、「死」を覚悟して
いることを察して、自ら身を引くことに。

最後、歌舞伎だと、おみつと久作が、舞台に残ってお染と母、
久松を見送るのだが、文楽では、土手を駕籠で行く久松と、
舟に乗り込んだお染母娘が、並んで、下手から上手へと移動
する・・おみつさん、可哀そうだな。せめて、幕を切らせて
やって欲しいよ。

「日本振袖始」。そもそも、この猛暑の中、大阪への遠征を
思い立ったのは、先月、歌舞伎鑑賞教室で見たこの演目がきっ
かけだった。

八岐大蛇の八つの頭を、ウロコ模様の装束の8人の役者が演
じるという、かなり前衛的な(とわたしには思えた)演出を
見て、「文楽ではどうするの?」という単純な疑問を持った
のだ。

結論。以前に、石見神楽で見た、あの大蛇と一緒でした。
龍頭に蛇腹をつないで、くねくねと動かす。

でもなぜか、八岐ではなくて、四岐だけだったけれど。大蛇
も人手不足かな?・・冗談です。

プログラムの解説にも「立ち廻りには石見神楽で用いる大蛇
を取り入れて」と書いてあった。

ただ、これが、果たして享保3(1718)年の初演から行われて
いる演出なのかは分からない。石見神楽は、明治期に「見せ
る」ことを意識して、派手な演出を取り入れるようになった
そうなので、あの大蛇が、それ以前から演じられていたのか
調べきれなかった。

この大蛇・岩長姫を遣うのが、桐竹勘十郎師・・妖狐とか大
蛇とか、“人外のもの”を遣わせたら、右に出る者がいないの
では?と思わせる。

時折、正体を現して、鬼のような形相に変わる岩長姫(角出
しのガブという特殊なかしらを用いる)・・なにやら妖艶な、
官能的ともいえる魅力にあふれていた。
posted by JTm at 15:40| 文楽 | 更新情報をチェックする

2018年08月07日

2018.8.6 柳家三三独演会@横浜にぎわい座

次回のチケットを引き取りに行ったら、歌丸師匠に
出くわした。にぎわい座2階ロビーには、まだご健
在です・・・ご冥福をお祈りします。
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2018.8.6 柳家三三独演会 横浜三三づくし
演目
柳家三三     湯屋番
 〃       藁人形
  (仲 入 り) 
柳家三三     青菜
     (三味線:森吉あき)

三三の三席。
「湯屋番」。若旦那が、湯屋の女将に惚れて?、お
家乗っ取り?を図る・・というパターン。

これだと若旦那は、人の良いお坊ちゃんタイプでは
なく、少しアクが強いなーと感じる。
・・・三三師らしいかも。

妄想全開で、番台から落ちるところまで。

「藁人形」。今回のネタ出し。
三三師のこの噺はほぼ一年ぶり。聞く機会の多い扇
辰師版と、展開は同じだ。

もともと、八代目正蔵(彦六)師から、扇橋師匠を
経てと、扇辰師匠からは聞いている。三三師のも、
ルーツは一緒ということだろう。

前回も思ったが、西念が少し若く、逆にお熊は少し
年が行っているような印象。少し抑えた声音で、静
かに、じっくりと相手を騙す。

仲入り後は「青菜」。この夏は青菜、大当たり!だ
けど、三三師のは、2016年以来。

前日に、小満ん師の“絶品”を聞いてしまったので、
少し分が悪い?と思って聞き始めたが、後半の長屋
での大騒ぎが、なんとも愉快で、これもまた結構、
でした。

ところで、柳陰がおつもりになった時の植木屋さん
のセリフ、「柳陰が“義経”になりました」と言う人
がほとんどだけど、三三師は、「柳陰が“九郎判官”」
と。・・・理屈から言えば、こっちが正解、なんで
すけどね。
posted by JTm at 06:21| 落語 | 更新情報をチェックする